ppmとは何か?除菌剤の濃度調整や単位換算の方法
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執筆者:高荷智也
ハイターやミルトンなど次亜塩素酸ナトリウムの除菌剤を用いる際には必ず水で希釈します。その際の言葉、ppmとはなんでしょうか。また市販されている次亜塩素酸水の濃度もppmという言葉で表現されています。ppmの意味、使い方、単位変換の方法をご紹介します。
「ppm(ピーピーエム)」とはなにか?
次亜塩素酸水や次亜塩素酸ナトリウムに限らず、液体の微量な濃度を示す際には「ppm」という言葉が用いられますが、これはいったいなんでしょうか?「ppm」とは「parts per million(パーツ・パー・ミリオン)」の頭文字をとった言葉で、「ピーピーエム」と呼びます。またppmは「g(グラム)」や「L(リットル)」などの”単位”ではなく、「100万分の1」という”割合”を表す言葉です。
ppmは%(パーセント)と同じように使います。ppmは百万分の1を表しますので、100万ppmが100%と等しくなります。(ですので、ppmの上限値は100万です。少量を表すための表現ですので、100万ppmという使い方はまずしませんが)。
- 10%…10万ppm
- 1%…1万ppm
- 0.1%…1,000ppm
- 0.01%…100ppm
- 0.001%…10ppm
- 0.0001%…1ppm
となります。
液体でppmを用いる場合は、1ppm=1mg=0.0001%と考える
液体でppmを使う場合は重量比を用いますが、特に水溶液(水)の場合は[mg/L=ppm]として扱います。具体的には、まず水1Lを1kgと近似します。そして水1kgは1,000g(グラム)であり、これをさらに1,000分の1、つまりm(ミリ)の単位に換算すると、1,000,000mg(ミリグラム)になりますので、1ppmは1mgとして表現できるのです。
例えば濃度100ppmの次亜塩素酸水というのは、水1リットル辺り100mgの次亜塩素酸(HCLO)が含まれているということになります。割合%で言えば、0.01%の濃さということです。家庭用として入手できる次亜塩素酸水の中では400ppmが最も濃いものになりますが、これは水1L辺り400mgの次亜塩素酸が含まれ、%で言えば0.04%の濃さです。
ハイターは次亜塩素酸ナトリウムの濃度が5%です。1%は1万ppmですから、5%は5万ppm、ハイターの次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)濃度は50,000ppmです。ミルトンは次亜塩素酸ナトリウムの濃度が1%ですから、濃度は10,000ppmとなります。ただ実際に利用する際に原液のままでは濃すぎますので、水で濃度を薄めて利用することになります。
%とppmを変換する場合は、1万を掛けたり割ったりする
原液を薄めて希釈水溶液を作る場合など、%とppmを換算しなければならない場合があります。この場合は下記の計算式を用います。
- %をppmにする場合は、%を1万倍にする。
5%は5×10,000で50,000ppm
0.01%は0.01×10,000で100ppm - ppmを%にする場合は、ppmを1万分の1にする。
100ppmは100÷10,000で0.01%
400ppmは400÷10,000で0.04%
原液を水で薄める場合の計算式は?
次亜塩素酸ナトリウム(次亜塩素酸ソーダ)や次亜塩素酸水(電解酸性水)を殺菌消毒に用いる場合、原液のままでは濃すぎますので薄めて使います。この場合は次の手順で計算をしてください。
使う原液の量=作りたい量÷(原液の濃度÷作りたい濃度)
- (1)まず作りたい除菌液の量を決めてください
- (2)次に作りたい除菌液の濃度(%かppm)を決めてください
- (3)原液の濃度(%かppm)を調べてください
上記(1)~(3)の数字を計算式に当てはめますと、使用する原液の量が求められますので、最後に「作りたい除菌液の量-原液の量」の水を用意して、それに原液を入れれば完成です。下記に具体例をいくつか紹介します。
濃さ200ppmの次亜塩素酸水を500ml作りたい場合
まず、(3)原液の濃度を、(2)作りたい濃度で割ります。使用する次亜塩素酸水の原液が濃度400ppmで、作りたい次亜塩素酸水の濃度が200ppmであれば、『400ppm ÷ 200ppm = 2(倍に薄めるということ)』になります。
つぎに、(1)作りたい液体の量を、上記で求めた数字(○○倍に薄める)で割ります。例えば500mlのペットボトル1本分を作りたい場合は、『500ml÷2(倍に薄める)=250ml』となり、これが使用する原液の量です。
そして最後に、(1)作りたい除菌液の量から、求めた原液の量を引きます。今回は『500ml - 250ml=250ml』となりますので、水250mlに、濃さ400ppmの原液250mlを入れれば、濃さ200ppmに薄まった次亜塩素酸水500mlが作れます。
濃さ1,000ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を2リットル作りたい場合
まず、(3)原液の濃度を、(2)作りたい濃度で割ります。例えばハイターを用いる場合は原液の濃度が5%(5×10,000で50,000ppm)で、作りたい水溶液の濃さは1,000ppmですから、『50,000ppm ÷ 1,000ppm = 50(倍に薄めるということ)』になります。
つぎに、(1)作りたい液体の量を、上記で求めた数字(○○倍に薄める)で割ります。例えば2L(2,000ml)のペットボトル1本分を作りたい場合は、『2,000ml÷50(倍に薄める)=40ml』となり、これが使用する原液の量です。
そして最後に、(1)作りたい除菌液の量から、求めた原液の量を引きます。今回は『2,000ml - 40ml=1,960ml』となりますので、水1,960mlに、濃度5%のハイター40mlを入れれば、濃さ1000ppmに薄まった次亜塩素酸ナトリウム水溶液2Lが作れます。
※除菌剤の計算をする場合には、単位を全てmlとppmに換算してから計算をすると分かりやすくなります。
※計量器具がない場合は、ペットボトルのフタの「内側のスクリュー線最上段まで注いだ場合の容量」がおおよそ5mlであることを覚えておくと便利です。
詳しくはこちら『ペットボトルのフタの容量は実用7ml・安全5ml』