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地震の事前予知・予言とのつきあい方

最終更新日:

執筆者:高荷智也

地震の事前予知・予言とのつきあい方

今から地震の予言をします。

「明日、東北沿岸から東海・東南海・南海地震のエリアで地震が発生します、注意してください。」

「来週中に、国内いずれかの地点で大きな地震が発生します、十分な準備と警戒をしてください。」

おそらく、どちらも的中します。

適当な事前予知・予言はほぼ当たる。

地上で発生する地震の2割が集中するとされる日本列島では、大なり小なり毎日どこかで地震が発生しています。例えば2002年から2011年の10年間において、全国いずれかの地域で震度1以上の大きさを観測した地震の回数は、なんと25,291回(気象庁:震度データベース)にも上ります。

平均すれば1日に7回、どこかで有感地震が発生している計算になる訳ですから、「東北沿岸から東海・東南海・南海地震のエリア=太平洋沿岸」で地震が発生すると「予言」すれば、大きさを無視した場合100%に近い確率で言い当てることができるわけです。

また少し大きな地震、例えば全国いずれかの地点で震度4以上の大きさを観測した地震の回数は、同様にここ10年を見ると772回、平均すれば週に1.4回のペースで発生しています。ですから、「来週、どこかで大きな地震が発生します」という予言も、場所を限定しなければ100%近い可能性で当たるのです。

まじめな事前予知・予言はまず当たらない。

さて、適当な予知・予言はおおよそ当たる一方で、まじめな予知・予言はそうそう当たるものではありません。例えば2002年から2011年の10年間に発生した震度6弱以上の大地震は、下記の通り実に28回にも及びますが、これらの事前予知・予言が広く話題になったという話がこれまでにあったでしょうか?

  •  2003年05月26日18:24 M7.1/震度6弱 宮城県沖
  •  2003年07月26日00:13 M5.6/震度6弱 宮城県中部
  •  2003年07月26日07:13 M6.4/震度6強 宮城県中部
  •  2003年07月26日16:56 M5.5/震度6弱 宮城県中部
  •  2003年09月26日04:50 M8.0/震度6弱 十勝沖
  •  2003年09月26日06:08 M7.1/震度6弱 十勝沖
  •  2004年10月23日17:56 M6.8/震度6強 新潟県中越地方
  •  2004年10月23日18:11 M6.0/震度6強 新潟県中越地方
  •  2004年10月23日18:34 M6.5/震度6強 新潟県中越地方
  •  2004年10月23日19:45 M5.7/震度7 新潟県中越地方
  •  2004年10月27日10:40 M6.1/震度6弱 新潟県中越地方
  •  2005年03月20日10:53 M7.0/震度6弱 福岡県北西沖
  •  2005年08月16日11:46 M7.2/震度6弱 宮城県沖
  •  2007年03月25日09:41 M6.9/震度6強 能登半島沖
  •  2007年07月16日10:13 M6.8/震度6強 新潟県上中越沖
  •  2007年07月16日15:37 M5.8/震度6弱 新潟県上中越沖
  •  2008年06月14日08:43 M7.2/震度6強 岩手県内陸南部
  •  2008年07月24日00:26 M6.8/震度6弱 岩手県沿岸北部
  •  2009年08月11日05:07 M6.5/震度6弱 駿河湾
  •  2011年03月11日14:46 M9.0/震度7 三陸沖
  •  2011年03月11日15:15 M7.6/震度6強 茨城県沖
  •  2011年03月12日03:59 M6.7/震度6強 長野県北部
  •  2011年03月12日04:31 M5.9/震度6弱 長野県北部
  •  2011年03月12日05:42 M5.3/震度6弱 長野県北部
  •  2011年03月15日22:31 M6.4/震度6強 静岡県東部
  •  2011年04月07日23:32 M7.2/震度6強 宮城県沖
  •  2011年04月11日17:16 M7.0/震度6弱 福島県浜通り
  •  2011年04月12日14:07 M6.4/震度6弱 福島県中通り

 (気象庁:震度データベース

一方、地震予知には様々な方法や理論がありますが、現在のところ毎度100%の確率で事前予知に成功している人や機関は存在しません。もしかすると知る人ぞ知るどこかの方が、高い確率での事前予知や予言を行っているかもしれませんが、それが社会に還元されていないのであれば全く意味がありません。

事前予知・予言が、個人と周囲の人だけの情報にとどまっているのであれば、それがたとえ100%の精度を持つものであったとしても、その集団以外には意味がありません。そういった意味で、現在のところ100%の予知は存在していないと断言したわけです。

とはいえ、予知・予言は信じた方がよい

しかし矛盾するようですが、私は事前予知や予言を信じるべきと考えます。なぜならば、個人や家庭レベルにおいては、これを信じることによるデメリットが存在しないからです。事前予知・予言を信じた、しかし地震はこなかった、実に結構なことではありませんか。

4時間に1回以上小さな地震が、週に1回以上大きめの地震が、半年に1回以上大地震が、5年に1回以上超巨大地震が、それぞれ発生するのがこの日本という国なのです。いつ地震が起こるのかは分かりませんが、すぐに地震が起こるのです。地震に対する備えをライフスタイルにせずにどうするのでしょうか。

インターネットや携帯端末が普及するにしたがって、事前予知や予言が広まる速度と範囲は、加速度的に大きくなっています。もしかすると根拠の無いでまかせや、単なるデマかもしれませんが、それでよいのです。大いに信じ、不安がり、そして地震に対する備えを確認しましょう。本当に地震がくれば大助かり、こなくてもいつかくるのですから損はありません。

地震は今日くるものと考える

地震大国日本、地震対策は日本人のライフスタイルです。とはいえ、帽子代わりにヘルメットをかぶったり、つねに防災グッズを背負って行動したり、または地震を恐れて引きこもりを選択したり、ということを推奨するものではありません。地震対策の最重要事項、「死なない環境作り」を済ませておき、後はドンと構えておけばよいのです。

多くの方が自宅に耐震補強を施したり、ご近所と防災訓練をしてみたり、水や食料や燃料を多めに蓄えていたり、というライフスタイルを実践することができれば、いざ大きな地震におそわれたとしても、その地域の被害は最小限にとどめることができるはずです。

ある日突然、地震の事前予知や予言が話題になったとすれば、これはチャンスです。自宅の地震対策を簡単に確認し、普段地震対策に興味がなさそうな友人知人の恐怖を少しだけあおって対策を進めてみたりと、自分と周囲の地震対策に対する意識付けとして、大いに活用することができます。

予知や予言に過剰反応して不安がっていると、心と体に悪影響をもたらします。事前の備えをきちんと済ませ、事前予知や予言を大きな気持ちで楽しんでみるのもまた方法です。

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也Tomoya Takani
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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