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大雪による停電への備え・豪雪時の停電対策

最終更新日:

執筆者:高荷智也

冬場に欠かせない暖房器具、その多くが電気で動いているため、大雪による停電に備える場合は、暖房と防寒対策が必須になります。また調理器具や給湯器具なども仕様ができなくなるため、大雪による停電対策はすなわち寒さ対策が重要なポイントになります。

電気以外を熱源にする暖房器具・防寒グッズの準備

 エアコン、石油/ガス/セラミックファンヒーター(燃料は灯油やガスですが、停電すると動かせなくなります。)、オイルヒーター、電気ストーブ(ハロゲンヒーター)、電気こたつ、電気カーペット、また床暖房やセントラルヒーティングなどは、電気がなければ使うことができません。大雪で停電をするということは極寒なわけですから、防寒対策が必須となります。

非常時専用の暖房器具は不要、カセットコンロと使い捨てカイロを準備

 表題は「ただし北海道や山間部などを除く」が前提です。大地震で自宅が倒壊して屋外避難が必要になるという状況ではなく、家のなかで過ごせるのであれば、よほどの厳冬地でない限り、数時間~数日の停電ならば厚着と毛布でしのぐことができます。わざわざコストと手間をかけて、防災専用に「部屋全体を温める暖房器具」を準備するかどうかを考えると、優先度はそれほど高くありません。

 その代わりに防寒着や毛布が必須ですが、これらは防災専用ではなく、普段使っているものを流用できるようにしておけばOKです。もちろんライフスタイルが許容するのであれば、「電気を使わない石油ストーブ」を普段使いしたり、コストが許せば「カセットガスストーブ」を備蓄したりすることで安心を準備することができますが、そうでなければ最小限の暖房アイテムを準備すれば十分です。

 防災専用に多少コストを使ってでも備蓄しておきたいアイテムは、「カセットコンロと予備のガス」「使い捨てカイロ」の2です。カセットコンロは暖房器具ではありませんが、防寒対策もかねて温かい食事なり飲み物を用意するために重要です。地震対策などにもカセットコンロは必須であるため、これだけはお金をかけてでも準備することをおすすめします(と言っても数千円ですが)。

 また使い捨てカイロは、部屋を暖めることはできませんが、個人用の加温アイテムとして役に立ち、安全で安くてかさばらないため、非常時の備蓄用として非常持出袋に放り込んでおくと役に立つアイテムです。安価なので定期的に廃棄して交換してもよいですが、毎年冬場に消費することができれば無駄にならないので、なおよしです。

 ただし、北海道や山間部など、冬場の最低気温がマイナス10度、20度となる極寒地域については、室温がカセットコンロや使い捨てカイロが動作しない温度まで低下する状況も考えられるため、命を守るために電気を使わない石油ストーブなどの準備が必須となります。家庭にホームタンクがあれば特別な燃料備蓄は不要ですが、オール電化の場合は灯油の備蓄や、定期的な消費の計画も必要になります。

カセットガスストーブ

 私自身も毎年冬に愛用している暖房器具です。カセットガス1本で3時間(熱を抑えるエコモードで4時間)程度燃焼し、基本的にはひとり用の暖房器具ですが、6畳くらいの部屋であればそこそこ暖かくなります。価格も数千円と比較的安価でサイズも小さいため、予算が許せば防災専用に購入してもよいアイテムです。

 またカセットガスボンベは防災備蓄に有効なアイテムですが、消費期限は7年程度が目安なため、定期的に消費しなければ処分に困ります。カセットコンロだけでは使い切れない場合もあるため、カセットガスストーブはボンベの日常消費にも役立ちます。ただし室温が氷点下になると使えなくなるため、寒冷地用の備蓄としては「ハイパワー」タイプのボンベが必要になります。

関連記事:カセットガスボンベについて

石油(灯油)ストーブ(電気を使わないタイプ)

 昔ながらのという言い方になるのでしょうか、電気を使わないタイプのストーブです。ヤカンを載せてお湯を沸かしたり、モチを焼いたりすることができるアレです。かつてはわが家にも存在し、冬場の加湿(ヤカンです)&暖房器具として活躍していました。カセットガスストーブ同様換気が必要ですが、部屋全体が暖まる強力な暖房器具です。

 普段から使用しているのであれば停電時にも役立ちますが、防災専用に備蓄をするアイテムとしては不向きです。まず大きくかさばるため収納が大変であること。さらに燃料である灯油がなければ役立たないのですが、灯油を長期間備蓄することはなかなか難しいことが原因です。北海道など、ホームタンクがあるような家庭であれば燃料の心配はいらないため、押入の奥に非常用品として備蓄してもよいでしょう。

 ※ついでの話ですが、私の自宅は温暖な静岡県なので、暖房器具に対する備えが比較的甘い地域です。しかし同居していた祖父母が北海道出身であり、かつての自宅には大きな灯油のホームタンクが設置されており、そして風呂は石油ボイラー式でした。プロパンガスボンベや灯油タンクなどは、災害時の燃料供給源として優れているため有効なのですが、電気が便利すぎて数を減らしているのは、良いことなのか悪いことなのか……余談でした。

使い捨てカイロ

 冬場に活躍する使い捨てカイロです。安い・電気不要・火災を起こさずと、非常時の優れた加温アイテムです。部屋を暖めることはできませんが、他の暖房器具と併用したり、防寒着や毛布をかぶったりした状態で使用するのに適します。身体を温める際には首筋や足首など、太い血管周辺を温めると効率的なため、停電時の防寒グッズとして役立ちます。

 ただし、使い捨てカイロは発熱の仕組み上、周囲の温度が氷点下になると使えなくなるため、超極寒の状況では役に立ちません。が、停電した瞬間に室温が氷点下になるということはあり得ないため、サブ用のアイテムとしては十分活用できます。(北海道や山間部などのリアル極寒地域ではカイロが使えない状況もあり得るため、他の暖房器具が必須です。)

ハクキンカイロ(ハンディウォーマー)

 使い捨てないタイプのカイロです。ベンジン(ジッポーオイル)を燃料に、マイナス40度の極寒であっても、使い捨てカイロの13倍の熱量(メーカー値)を、最大24時間発する大変強力な携帯カイロです。使い捨てカイロが役に立たないような氷点下の状況でも使えるため、個人用の加温アイテムとしては優れたグッズになります。

 燃料とセットにしてもコンパクトであるため、備蓄時の収納にも有利なアイテムですが、それでも防災専用に購入するのは大げさですので、どうせなら普段使いしたいグッズです。私自身も冬場の外出時や屋外活動時に愛用しており、見た目のガジェット感にも優れた製品ですので、このようなアイテムが好きな方にはおすすめです。(なんといっても格好いいですし!←個人の感想です。)

関連記事:ハクキンカイロについて

薪ストーブ・暖炉

 こういった設備がある家にあこがれます。

 ……という冗談はさておき、火を使わない暖房器具としては極めて高火力で強力なアイテムです。が、わざわざ防災用に設置をし、普段から燃料を備蓄するということは現実的ではないので、一般家庭においては、あれば大変心強いという程度の認識になります。

電気以外を用いた調理器具の準備

 電気炊飯器・電子レンジ・オーブンレンジ・電気ポット・ホットプレートといった調理家電はもちろん、IHクッキングヒーターや電気コンロは、停電をすると置物になります。またガスコンロであっても、最新のビルトインガスコンロなどの場合はコンセント式の物があり、こうしたコンロは停電すると使えなくなります。停電して暖房器具も使えない状況では、温かい食べ物や飲み物が重要ですので、何かしらの対策が必要です。

地震対策をかねてカセットコンロと予備のガスを準備

 前述の通り、停電に備えた調理器具として役に立つのはカセットコンロです。ボンベ1本でおよそ60分間の全力加熱ができますので、4人家族であれば1日辺り2~3本程度の準備が目安になります。地震対策をかねて1週間分程度のボンベをパックで購入して備蓄すると良いでしょう。ボンベの消費期限は7年程度が目安ですので、1年に1パックを消費して入れ替えることができれば、最小限のコストと手間で備蓄状態が維持できます。

 毎年冬場に、月1回程度鍋物などをカセットコンロで行って消費するか、カセットガスストーブなどを購入して定期的に消費する方法がおすすめです。カセットコンロがあれば非常時の調理事情が大幅に改善されますので、多少は手間ですがこれだけは備蓄品として準備することをおすすめします。

関連記事:カセットガスボンベについて

発熱剤(モーリアンヒートパック)も役に立つ

 水を入れるだけで発熱して食品を温めることができる、発熱剤も非常時には役立ちます。商品としては「モーリアンヒートパック」がよく利用されております。ホームセンターなどではあまり見かけませんが、東急ハンズのような店舗や、Amazonや楽天などのネットショップあればすぐに購入できます。袋に温めたい食品と発熱剤を入れ、水を注ぐだけですぐに加熱が始まり、15分ほどで温かい食事を食べることができます。

 ただ、これは調理器具ではなく加熱グッズであるため、生の食材を食べられるようにはできません。パックご飯・レトルト食品・缶詰などとセットで備蓄をしなければ役に立たないのと、そこそこ値が張りますので大量に備蓄するのにはむきません。あれば便利、ですので、地震対策などとあわせた備蓄品として、3日×3食分程度を温められる量を購入しておければ十分です。

七輪(しちりん)

 木炭や豆炭を燃料にする調理用の器具です。昔の日本にはどんな家庭にもあった(すみません、私の時代には見たことがありませんので引用です)アイテムですが、もちろん電気を使いませんので大雪による停電時にも有効です。が、これも現代日本においては、アウトドアなどでの利用目的がない限り、防災用に購入するのには少々大げさなグッズです。

 わが家にも古い七輪があり、毎年1回親戚が集まったときに行われる庭BBQのサブコンロとして活躍しています。専用の木炭や豆炭がなくても、木片などを燃料にすることができますので汎用性は高いです。が、大雪のときに、屋外に枯れ枝などを拾いに行くことは不可能ですので、燃料がなければ大雪時の調理にはまず役に立ちません。

冷蔵庫の停電対策は夏場ほど高くない

 また調理器具ではありませんが、停電をすると冷蔵庫の中身をどうするかという問題が常に生じます。停電が一時的なものであれば、そもそも大雪が降っている状況ですから気温も低く、停電するということは暖房も切れますので、冷蔵庫のドアを開け閉めしなければそのままにしておいて大丈夫です。

 停電が長期化する場合、いくら大雪とはいえ北海道や山間部でもなければ、冷凍庫の中身を維持できるほど室温は下がりませんので、とける前に消費する必要があります。が、暖房が切れた状態でアイスクリームなどを食べる訳にはいきませんし、カセットコンロで調理するにも電子レンジなどが使えなければ食材を解凍することも難しいため、基本的には停電が回復するまでドアを開けずにおく、ということになるでしょうか。

 ※「大雪時の停電に備えた冷蔵庫対策」については、実体験もなく検証も難しいため、ほぼ想像での執筆になります。どうなのでしょうか、なにしろ屋外には大量の雪があるわけですから、ステンレスのボウルに雪を詰め込んで冷蔵庫の中に入れておけば、それだけで停電を乗り切れるような気がします。あるいは食材をビニール袋に入れて屋外に放置した方が早いかもしれませんが……。

その他、大雪に備えた停電対策

 大雪時に限定すれば、暖房対策が最も重要な停電への備えですが、「通常の停電」と同じような問題は当然発生しますので、その他の準備も必要になります。

明かり・照明の準備

 夜間に停電をすると身動きが取れなくなります。また大雪が続いている状況では空も暗く、日中でも照明が必要な状況があり得ますので、準備が必要です。この時、「ロウソクとマッチ」の備蓄は絶対に止めてください。大雪の状況に限られませんが、裸火を照明として使用することは火災のリスクが高いため、特に非常時には避けるべきです。

 非常時用の明かりは、LEDライト一択です。かつての懐中電灯では球切れに備えて予備の電球を準備する必要もありましたが、LEDであればその心配はありません。消費電力も少ないので、予備の電池を準備しておけばロウソクなどは不要です。できれば室内を明るくするランタンタイプのLEDライトと、各自がトイレなどに行くときに使用する手持ち式のライトを複数用意すると良いでしょう。

ラジオ・乾電池スマホ充電器

 非常時には災害の状況を確認したり安全な場所を知るために、情報収集の手段を確保することが重要になります。停電するとテレビは使えず、wifiルーターなどを用いるインターネットも使用できなくなりますので、他の手段が必要です。携帯電話の基地局が生きていればスマートフォンや携帯電話が使用できますので、インターネットを使った情報収集ができます。しかしバッテリーが切れると文鎮と化すため、乾電池式の充電器を用意しておきましょう。これは大地震など他の防災対策にも有効です。

 しかし停電が広域にわたり、かつ長期化すると、携帯電話の基地局もダウンするため、インターネットも使用不能になります。この場合に最後まで使える情報源はラジオです。乾電池で動作するタイプの携帯ラジオを準備しておくと良いでしょう。価格も千円程度で購入できますので、地震対策をかねて非常持出袋に入れておくと安心です。

 なお私自身は、小型の携帯ラジオを非常持出袋にひとつ、そして普段持ち歩く防災ポーチにひとついれて持ち歩いています。役だったことは(幸いにして)ありませんが、これはもうほとんどお守り代わりとして考えています。なお持ち歩きように準備する際には、メモをとるペンと紙を忘れがちなので、あわせて準備しておくとよいでしょう。

給湯の問題

 停電をすると、電気温水器やエコキュートはもちろん、100V電源を使うガス給湯器も使えなくなります。ただし、外部電源を使って動作する電気式の湯沸かし器や、電池で動作するガス湯沸かし器もありますので、自宅の機器が停電時に対応しておくかどうかを確認しておくとよいでしょう。

 ただ、大雪で停電し、自宅から出られない状況においては、風呂などに入る必然性は小さくなりますので(もちろん寒いので、暖かい風呂にはいれれば最高ですが、暖房器具がないので間違いなく湯冷めして風邪をひきそうです……。)、カセットコンロで調理や暖かい飲みものに使えるお湯をつくれれば十分です。

 なお普段電気ポットを使っている場合も、停電をすると使えなくなります。停電直後であり、かつ手動ポンプが付いているタイプの電気ポットであれば、しばらくはそのお湯が使えます。また魔法瓶(まほうびん)タイプの電気ポットであれば、停電しても数時間は温度が下がりません。通常タイプのポットでお湯が取り出せる場合は、冷める前にステンレスのタンブラーや保温できる水筒などにお湯を移動させておくとよいでしょう。

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也Tomoya Takani
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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