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雪が少ない地域の雪かき・雪下ろしの方法と注意

最終更新日:

執筆者:高荷智也

豪雪が生じるたびに多数の死傷者が生じていますが、この原因としては多いのは屋根の雪下ろしによる事故なのです。普段雪が降らない地域であればそもそも雪下ろしは不要、ただしい雪かきのポイントだけをしておけば十分対応できます。

普段雪が少ない地域における雪かきについて

 この記事では、「普段雪があまり降らない地域」における雪かき・雪下ろしについて解説をしています。毎年雪が降ったり降らなかったりする地域、雪かきや雪下ろしの習慣がない地域、雪かき用の道具が自宅に常備されていない地域、そんな状況です。(例えば私が住む静岡県三島市、などもまさにこの地域に該当します。)

雪かきの流れとポイント、注意点

  • 玄関から道路まで雪かき
    通路全ての雪かきは不要、「ケモノ道」程度、人がひとり通れる幅だけ雪をどかせば十分。また積雪が増えるほど雪かきは困難になるため、大雪警報などが出ている場合、早目に雪かきをして通路を確保しておくと後が楽に。このとき雪を日陰につむといつまでもとけないので、日なたに雪を置くようにしましょう。
  • 自宅周辺の排水溝周りを除雪
    雪はとけたら水になり、水は排水溝から流れます。排水溝が雪で埋まっていると水が流れず雪がなかなかとけなかったり、辺りが水でグッシャグシャになりますので、人が歩く通路を作ったら、水が流れる通路も確保しておきましょう。
  • 水をまいてはいけない
    雪が多いと水をまいてとかしたくなりますが、多少の水やお湯程度では雪は消えません。通路分を確保するだけでも大量の撒水が必要で、しかも中途半端に終わると溶けかけた雪で大惨事になり、かつそのまま気温が低下すれば凍結して手が付けられなくなります。水をまくのはやめましょう。
  • 軒下に入ってはいけない
    屋根から落雪します。頭上に直撃すると、死ぬこともありますので、雪が残っている状況では、軒下や屋根の近く留まることは避けてください。

何のために雪かきを行うのか

 雪が少ない地域の場合、雪かきが必要な量の積雪になることは年1回あるかどうかですし、まして雪下ろしが必要になる大雪は生涯に発生することがあるかどうか、といったレベルです。積雪をしても量が少なければ雪かきをする必要はないのですが、では雪かきが必要な状況とはどういったときなのでしょうか。

人間の通路を確保し、転倒によるケガを防ぐ

 雪国であっても転倒事故は発生しますので、積雪時は外出しないですむのであればそうするべきです。どうしても外出しなければならず、しかし玄関から屋外まで雪が積もっていて通行ができなければ、雪かきが必要になります。数センチ~10センチ程度の雪であればそのまま通行もできますが、これを超えてくる場合は雪かきが必要です。

 また雪が溶けかけて「グシャグシャ」のシャーベット状になると、大変滑りやすくなります。さらにその状態で気温が低下して凍結すると、自宅周辺がスケートリンク状態となり、これまた大変滑りやすくなります。大ケガにつながりかねませんので、通路部分の雪を早目になくして、転倒を防ぐ必要があります。

自動車の通路を確保し、インフラを確保する

 普段雪が降らない地域に積雪した際、自動車による外出は極力避けるべきです。スタッドレスタイヤやチェーンなどの雪道装備がない場合は論外(ノーマルタイヤの雪道走行は、文字通り自殺……いえ、自爆テロ行為ですからダメ絶対。)ですが、装備があったとしても雪道走行はリスクを伴うため、できるだけやめたいところです。

 が、どうしても外出が必要な場合、また郵便や宅配など日常生活に欠かせない車両の道路を確保するためには、自宅前の道路の雪かきが必要になります。もちろん自宅前の道路だけ雪かきをしても、大通りなりが除雪されていなければどうにもなりませんので、その場合は自動車による通行は諦めてください(雪国ではないので、たまに激しく交接しても除雪車がなくどうにもならない)。

 雪の量が少ない、あるいはとけて減ってきた状況で、自宅前の道路の雪かきを行い、車両の出入りができるようにする、というのが実際のところでしょうか。

雪解け水の排水路を確保する

 雪がとけると水になります。とけた水は雨天時と同じく、排水溝へ流れて行きます。この時、排水溝の蓋なり穴が雪でふさがれていると、とけた水が流れていかず、周囲が水浸しになってしまいます。水に濡れた雪は重たくなりさらに雪かきがしづらくなるほか、気温が下がれば凍結して危険な状況となります。雪かきを行う際には、まず水を流すための排水路と、排水溝の確保を行う必要があるのです。

雪かきを行う際の服装のポイント

ヘルメットか防止を着用して頭を守る

 雪かきをしているときは足下が悪いため、滑って転倒するリスクがあります。ヘルメットや帽子をかぶっていれば頭部をぶつける可能性を減らせるため、着用をおすすめします。また屋根などから雪が降ってくる恐れもあるため、その際に頭部を守るためにも役立ちます。なお雪が多い場合、屋根からの落雪に巻き込まれると死ぬことがあるので、軒下には近づかないようにしてください。

長靴・滑りにくい靴

 靴は防水のものにしてください。雪道を歩くのに適したスノーブーツがあればベストですが、普段雪が降らない地域にそんな良いものはありません(スノーブーツ?スキー板に固定するなんか堅いアレ?というレベルです)。長靴があればそれを使いますが、防寒仕様でない場合、足先が冷えて大変なことになります。靴下を重ね履きするとある程度耐えられます。使い捨てカイロをつま先に入れてもよいですが、酸素がないと暖まらないため、通気性が悪い長靴の中だと反応が止まることもあります。

防水で滑りにくい手袋

 雪かきは素手でできません、手袋が必須です。濡れてしまうと足下同様大変な状況となりますので、靴と同様防水の物が望ましいです。炊事用のゴム手袋でもよいですが、防水である代わりに中も大変蒸れますので、長時間の着用には向きません。アウトドア用の糖質防水手袋があればベストですが、防寒仕様でない場合は軍手などの上に重ね着用すると快適です。軍手しかない場合も、濡れたら交換するというやり方でしのげば大丈夫です。

防寒よりも防水・透湿(汗によるムレ防止)を意識

 雪かきは重労働で、初めは寒いですがすぐに大汗をかきます。そ汗をかいたら温度調整をしたり、服を減らせるように、重ね着をしておくとよいでしょう。一番上は防水性に優れた上着を着て、下着は乾きやすい物を選びましょう。また防水だからと言って雨ガッパを着ると、サウナスーツ状態になってしまいますので、透湿素材の上着にするか、なければ前を開けて汗を逃がせるようにしておきましょう。スキーウェアなどがあれば確実です。

雪かきの道具について

降り始めの雪ならほうきで掃いてしまっても

 とける前の雪は砂と同じですから、足下の転倒防止用に軽い除雪をするだけならば、ホウキではいてしまってもOKです。ただし雪の量が多い場合、とけてシャーベット状になってきている場合は、もうほうきではどうにもなりませんので、これは雪が少なくてさらさらの状況に限られます。

戦用の道具があればもちろんそれらを利用

 スノーダンプ(ママさんダンプ)、スノーラッセル、雪はね、スノースコップなどの道具があれば、もちろんそれらを使うのがベストです。が、普段雪が少ない地域の家庭にはどれも存在しませんし、買おうと思ってもその辺のお店ではまず売っていませんし、そもそも名前すら聞いたことがない道具も多いかと思います(ママさんダンプ?お笑い芸人ですか?というレベルですから)。

通常のスコップ・ショベルでも十分対応可能

 戸建て住宅であれば、庭をいじるための道具としてスコップやショベルがあるかもしれません。これらの道具を使っても、多少効率は落ちますが十分雪かきは可能です。そもそも普段雪が降らない地域ですから、そんなとんでもない量の積雪があるわけでもないので、スコップで少しずつ通路を確保すれば十分対応できます。

スコップなどもなければ、板状の物を駆使してがんばる

 農業用の道具すらない場合は、板状の道具を利用してがんばるしかありません。よく紹介されるのはチリトリでしょうか。また雪かきの代用品としてフライパンなども、頑丈で壊れにくいからという理由で紹介されやすいですが、個人的にはあり得ません。道路の雪かきに使ったフライパンで食事を作りたいとは思わないですよね……。

 ようするに板状の物であれば良いわけですから、クリップボード、書類ケース、衣装ケースやツールボックスの蓋、カラーボックス用の収納箱、あるいはダンボールにビニール袋を何枚かかぶせて防水にして使うとか、家の中を見渡せば色々な代用品が出てくると思います。私が住む静岡県三島市に珍しく大雪が降った際には、家庭菜園用のスコップで除雪をしましたが、知り合いなどは風呂のフタでガーッとやった、という話も聞きました。

普段雪が降らない地域の雪下ろしについて

屋根の雪下ろしは原則として行わない

 毎年雪害で死傷者が出ていますが、その多くは屋根の雪下ろしを原因としています。平時でさえ屋根の上で作業をするというのは危険な行為です。まして足下が雪で滑りやすく、両手に道具を持ち、寒くて服も動きにくい、そんな状況では転落事故が生じやすくて当然です。

 雪は重量物であるため、屋根の上に限界を超える量の雪が積もると、家が倒壊します。が、多少の雪程度で潰れることはあり得ないので、無理に雪かきをして転落死するリスクを背負うのは避けるべきです。住宅は、その地域で想定される過去最大の積雪があっても容易には潰れないように設計されることが法律でも義務づけられていますので、50年に1度の、経験したことがないような大雪が連続してふらなければ、まず大丈夫です。

 少なくとも、新耐震基準の家(1981年6月1日より後に認可を受けて建てられた家)は、50センチ程度の積雪であれば何の問題もありませんので、雪かきは不要です。きしむ音が聞こえる、窓や室内のドアが開きづらい、という状況にならなければ、屋根に上がることはむしろ危険ですのでやめましょう。

よくある「雪下ろしのポイント」は雪国向け

 雪下ろしの方法をWebで検索すると色々なポイントや注意点が紹介されていますが、それらは基本的に準備が整っている雪国用であり、普段雪が降らない地域にはそのまま当てはまりません。

  • かならず「命綱」を付けて作業する
    正しいのですが、そもそも命綱として利用できるほど頑丈で長さのあるロープはなかなか家庭にはありません。また綱を身体に固定するには安全帯(ハーネス)が必要で、そんなもの雪が降らない地域の家庭にはありませんし、命綱を固定するためのアンカーやちょうど良い柱なども、事前準備がない訳ですから当然存在しません。命綱を付けられない時点で、雪の積もった屋根に上がって作業することは絶対NGです。
  • かならず2名以上で作業する
    何かあったときに備えて、2名以上で雪下ろしをすることが望ましいという紹介もよくあります。が、未経験者が多く集まったところでたいしたことはできませんし、なにかあってからでは遅いのです。正しいことですが、雪国出ない地域において現実的にはあまり意味の無い項目でもあります。

カーポートや自転車置き場の屋根の雪だけは、早目に地上から降ろす

 一方、自動車置き場の屋根、駐輪場の屋根などは、住宅ほど頑丈に作られておらず、そこそこの大雪にでも容易に倒壊する恐れがあります。耐荷重の目安は設備の説明書や、あるいは柱に貼られた注意シールなどに書かれていますが、普段雪が降らない地域の場合、おおむね20センチ以上の積雪が屋根の上にあると、倒壊の可能性が出てきます。

 そのため「大雪警報」などが出ている状況では、雪が積もる前に雪下ろしをしてしまうべきですが、屋根の上に上がって作業できる作りにはなっていませんので、長い棒や脚立などを使って、地上から雪を落とすにとどめなければなりません。ハシゴなどを使う場合はかならず2人以上で作業をして、安全に努めてください。

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也Tomoya Takani
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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