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強風・暴風で生じる被害と事前対策のポイント

最終更新日:

執筆者:高荷智也

強風が人に与える人的被害と対策

 屋外で飛来物に衝突して死亡したり、屋根などの修理を行っている際に突風にあおられて転落死したりするケースが多くあります。死亡までいかずとも、高齢者等は強風で転倒すると大ケガにつながりやすいため、外出そのものを控えるべきです。

強風時に外出をしなくてよい準備を

 人的被害を生じるほどの強風は、平地の場合突然吹き始めることはありません。基本的には台風や低気圧などに伴って発生します。この場合、事前に「強風注意報」や「暴風警報」が発表されますので、こうした情報を見聞きした場合、外出を控えれば被害に遭うことはないのです。とはいえ通勤通学による外出はやむを得ませんので、できるだけ屋外にいる時間を減らせるように、移動手段を検討すると被害を最小化できます。

強風直後に復旧作業をしてはいけない

 とくに台風の場合、例えば台風の目の付近で風が弱まり、安心して外出したあとに再度暴風が吹き始めたり、台風が通過した数時間後に「ふき戻し・吹き返し」による、台風本体よりも強烈な突風が吹いたりする場合がありますので、「暴風警報」などが完全に解除されるまで、外出や高所作業などは控えなくてはなりません。

強風による物や住宅に対する被害と対策

屋外に置いてある物はもれなく室内にしまうか固定する

 強風が吹くと、屋外に置いてある軽い物は簡単に吹き飛ばされてしまいます。物干し竿、洗濯道具、掃除道具、ゴミ箱、傘や傘立て、植木鉢やプランター、ガーデニング用品、自転車や子供のオモチャなど、色々な物が、ふとんよろしく吹っ飛んでいきます。台風や強風の注意が出ているときは、外にあるものを屋内に退避させ、大型の物は重しやロープで固定するなどの対応が必要です。もちろん屋外にいるペットも室内に入れてあげてください。

 また「想定外」の強風で自宅の屋根が吹き飛ばされてご近所に迷惑をかけた、などの場合は(例え裁判沙汰になったとしても)不可抗力と見なされる場合がほとんどですが、前述のような飛来物を屋外に置きっぱなしにして、それが吹き飛ばされてご近所に迷惑(窓ガラスを割るとか、自動車を傷つけるとか)をかけた場合は、損害賠償請求をされる場合があるため、「強風の前には屋外を片付ける」が必要です(最悪の場合飛来物で人を死なせることもあり得ますので、片付けは絶対に!)。

住宅や建造物の屋根に対する強風被害と対策

 飛来物による建物への損害、ガラスの破壊、また風が強くなると木造住宅などが倒壊する場合があります。木造の建物の場合、強風による負荷は軒下を通じて屋根に集中するため、最初に屋根が吹き飛ばされてしまうのです。また住宅ではありませんが、看板が落下したり、自動販売機が転倒したりと、大地震に近い状況が強風で再現される場合があります。

 台風などの直前に屋根対策を初めても間に合いませんので、平時からの対応が必要になります。といっても屋根の場合は、瓦を吹き飛ばされにくい防災瓦に吹き替えるとか、スレート屋根・ガルバニウム鋼板屋根などにリフォームをするなど大規模な対応になってしまいます。が、被害が出てからでは遅いので、自宅が古い(特に1981年6月1日より前に建築認可申請を受けた「旧耐震基準」の場合は地震対策もかねて点検を)場合や、過去の恐怖で屋根に損壊が出た経験があるならば、屋根リフォームの検討が必要です。

住宅や建造物のドアや窓に対する強風被害と対策

 一方建物の窓ガラスは、強風だけではなかなか割れません。しかし飛来物があるとちょっとしたボール程度のものでも簡単にガラスを粉砕します(空き地で野球をしているのび太くんやカツオくんがよく窓ガラスを割っていますよね。前述しましたが風速「30m/s」の風は「プロ野球選手の球速並」なわけですから、窓ガラスも割れるというものです)。

 窓ガラスの強風対策としては、まず長期対応として、「雨戸やシャッター」を取り付けて飛来物から物理的に守るようにする。地震対策をかねて「飛散防止フィルム」を貼っておくといったハードウェア対策が考えられます。さらに強風の最中の対応として、万が一窓ガラスが砕けた場合に備えて、室内のカーテンやブラインドを閉めておく。といった対応も有効です。

強風に襲われている最中の行動

 猛烈な強風が夜間に想定されているのであれば、雨戸やシャッター、カーテンやブラインドなどは全て閉じた上で、窓ガラスから離れた場所で寝る。停電に備えて手元にライト・軍手・靴下・靴を用意しておくといった対応が必要です。窓際にベッドなどを置いている場合は難しいですが、ベッド際の窓だけはフィルムテープ(後述)を優先的に貼るなどの対応を行いましょう。

 戦時中よろしく、窓ガラスにテープを貼っておくことでも、最小限の飛散防止対策になります。自宅にあれば、粘着力が弱くて幅の広い「養生テープ(緑や白の半透明なやつです)」を使うと後で剥がしやすくてよいでしょう。(ただしこれは緊急手段です。家中の窓にテープを貼って回る時間があるならば、最初から飛散防止フィルムを貼った用が遙かに効果的です。あくまも代替の考え方ですよ。)

 なお、暴風下で窓ガラスが破壊されて室内に強風が吹き込んでくる場合、建物の強度によっては室内に吹き込む風が屋根を吹き飛ばす場合もあります。この場合はいっそ破壊された窓の反対側位ある開口部を全開しにし、風を通してやり過ごすといった対応が必要になることもあります。状況に応じた対応が必須です(と言っても実際には難しいと思いますので、窓が破壊されていない1Fの部屋に立てこもってやり過ごすなどが精一杯でしょうか。)

強風がインフラ(電気・水道・交通機関)に与える影響と対策

強風による停電と対策

 強風そのもので電線が切断されるケースはほとんどありませんが、風で倒れた樹木が電線を切断したり、飛来物によって電線が切れてしまうことはよくあります。また強風で金属が電線に接触してショートしたり、強風で飛ばされた海水が送電設備に付着して絶縁不良を起こしてショートしたりして停電を起こす場合があります。次のような停電対策が必要です。

  • LEDライトの準備
    部屋に置くLEDランタン(またはライトに袋を被せるなどしてランタン化してもOK)と、トイレなどへ行く際に使用するひとり用のライトを準備(ヘッドライトだと両手が空くので便利です)。なお強風や台風に限らず、災害時の停電対策としてロウソクを使うのは火災防止の観点からNGです。電池をもう1本余分に買っておけば十分対応できます。
  • 携帯・スマホの乾電池式充電池
    携帯電話の電波やwifiが生きていれば、インターネットが情報源として役立ちます。地震対策をかねて、乾電池式の充電器は常に持ち歩きたいアイテムです。
  • 電池式のラジオの準備
    一方、停電が長時間続くと携帯電波の基地局もダウンしてしまうため、ラジオが唯一の情報源になります(当然テレビは見られないですからね)。
  • 冷蔵庫対策
    台風による停電の場合は夏場ですから、暑さ対策が必須です。事前に保冷剤や水を入れたペットボトルをぎっしり凍らせ、停電中はできるだけ開閉しないようにすれば数時間~半日程度を持たせることができます。それを超える場合はカセットガスコンロをつかって食べてしまいましょう。
  • カセットガスコンロ
    IHクッキングヒーターはもちろん、100V電源を使うガスコンロは停電すると使用不能になりますので、卓上コンロを準備しておくと大変役立ちます。
  • 冷房機器
    台風の場合はそこまで高温にはなりませんが、逆に窓が開けられませんので熱中症対策が必要になります。うちわなどを用意して(わざわざ買うほどではありませんが)さらに水の備蓄を多めに(普段飲んでいる水やお茶を多めに買い足して置けばOK)しておきましょう。

強風による断水と対策

 暴風そのものが水道を止めることはありませんが、停電すると給水できなくなる地域の場合は断水をする場合があります。また同時に大雨が降っている場合、下水道が水没すると生活排水を流せなくなるため、トイレ・風呂・洗濯機などが使えなくなり、結果として断水と同じ状況になります。次のような断水対策が必要です。

 

  • 飲料水の準備
    停電に備えた冷房機器対策をかねて、普段飲んでいる水やお茶のペットボトルを多めに買い足して起きましょう。大地震と異なり台風による強風はいつ生じるかが分かっているため、計画的に買い置きを増やし、何事もなければいつも通り消費すれば負担にもなりません。
  • 生活用水の準備
    浴槽などに水を溜めておくと役立ちます。台風時などはわざわざ洗濯をすることはないと思いますので、主にトイレや風呂(汗を落とす程度ですが)用の生活用水です。ただし、強風と同時に大雨が降って浸水害が発生している場合は水が流せませんので、非常用トイレの準備も必要になります。
  • トイレの準備
    停電及び水没に備えて非常用トイレを備蓄しておきます。トイレ問題はあらゆる災害時に常に課題となりますので、強風対策専用ではなく、家庭の防災の一環として優先的に購入しておくと良いでしょう。

 

強風による流通の混乱と外出の制限対策

 強風時は自動車を初め各種の乗り物の運転が困難になります。商店への入荷が遅れたり、また自分自身も外出ができなくなるため、買物が困難になる場合があります。食料品や生活用品の買物は早目に終わらせ、また停電や断水に備えて、そのまま食べられる食べ物も多めに買っておくとよいでしょう。

公共交通機関の停止への対策

 流通網が停止するのとあわせて、鉄道・バスを初めとする公共交通機関も停止をします。風速が「暴風警報」の目安である「20~25m/s」になると、JRを初めとする鉄道は徐行または運行停止となるため、通勤通学に鉄道やバスを使っている場合は注意が必要です。そもそも外出をしない、他の足を確保する、帰宅できなくなった場合に備えて宿泊道具を持って行くといった対応が必要になります。

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也Tomoya Takani
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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