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避難場所・避難所へ持って行く防災グッズについて

最終更新日:

執筆者:高荷智也

避難場所と避難所の役割が異なるように、避難場所と避難所へ持って行くべき防災グッズの内容も異なります。走って逃げないと死ぬ状況では非常持出袋だけを持ち、ゆっくり移動できる場合は生活グッズを持って行くようにしましょう。

避難場所(指定緊急避難場所)へ移動する際の心構え

死なないための避難であることを意識

 避難場所へ移動する状況というのは、大地震による津波や大規模火災、台風による浸水害や土砂災害、火山の噴火による溶岩流や噴石など、「その場に留まっていると死ぬ恐れがある」様な状況になります。走って逃げないと死ぬという場合もあるわけですから、とにかく「素早く」「安全に」移動することが重要になります。

リュックの重量は「走れる重さ」にとどめる

 よく防災備蓄として3日分以上の水と食料を備蓄する、というアドバイスを見かけます。水3リットル×3日分、食料3食×3日分を用意すると、これだけで重量は10キロを超え、さらに他の防災グッズを加えると重さは1人分で15キロ程度になります。身体に密着できる登山リュックに、正しい重量配置で詰め込み、普段から重量のあるリュックを背負い慣れている方であればよいですが、そうでなければこの重量の荷物を持って移動することは極めて困難です(つまり大部分の方には無理ということ)。

 荷物が重すぎて避難が遅れた、では何のための事前準備か分かりません。避難場所へ移動する際の荷物は、「走れる重さ」にとどめ、身体に密着できるリュック(胸と腰にベルトがあるタイプ)をつかって、素早く移動できる準備をすることが重要です。

余裕があれば全て持ちだし、余裕がなければリュックのみで逃げる

 「避難場所」へ持って行くための非常持出袋はできるだけ持ち出すようにしますが、「避難所」へ持って行く生活グッズについては、余裕のある避難をするときだけ持ち出します。普段から別々の荷物としてまとめておき、「走って逃げないと死ぬ」様な状況ではリュックだけ掴んで移動、落ち着いて移動できる場合は両方持って移動、という方法がよいでしょう。

「避難場所」へ移動する際に持って行くべき防災グッズ

 避難場所(指定緊急避難場所)へ持って行く防災グッズは、「素早く」「安全に」移動するためのものに厳選します。すぐ使う物をリュックの手前に入れ、また探しやすくし、水濡れを防止するために、個別にジップロックのような袋に小分けにすると便利です。

最重要品は「体の一部」

 メガネ、補聴器、入れ歯、杖、持病の薬など、「コレがないと生活できない、場合によっては死ぬ」という道具がある場合、そのスペアなどを必ず非常持出袋に入れておきます。慌てて家を飛び出す状況が考えられるため、事前にリュックに仕込んでおいてください。赤ちゃんのオムツ、ペット用品などもこれに該当します。

雨具が重要

 避難場所が避難所をかねていない場合、屋根や防災備蓄品がない場所である可能性があります。この状態で雨や雪に降られて身体を濡らしてしまうと、季節によっては低体温症で最悪死を招くことにつながりかねません。台風で避難する際に雨具を着けない方はいないと思いますが、大地震などで避難をする場合も、必ず雨具と最低限の着替え(タオルと下着)を非常持出袋に入れてください。雨具としてはもちろん、防寒着や、トイレの目隠しとしても使えます。なお、避難場所へ移動するような状況においては、天候が悪かったり、足下が崩壊していたりする可能性もあるため、できるだけ両手を空けるようにします。雨具は傘ではなくレインウェア(カッパ・ポンチョ)にしましょう。

頑丈な靴・軍手・ヘルメット(帽子)

 避難場所へ移動する状況では、足下がメチャクチャになっていたり、障害物をどけたり、または頭上から落下物がある状況かもしれません。手足と頭部を保護するための道具を準備しておきましょう。リュックの奥深くに入れてしまうと取り出すのに時間がかかるため、身につける道具はリュックの隣に置いておくか、一番手前に入れておくようにします。

LEDヘッドライト

 避難が夜で、かつ停電を起こしている場合、明かりがなければ行動ができません。LEDライトと予備の電池を準備しておきましょう。これも雨具同様、両手を空けるためにはヘッドライトがあると便利です。なお緊急避難時の照明として、ロウソクなど火災の原因になる可能性があるアイテムは避けましょう。

応急手当のセット

 避難場所には医療施設が(ほぼ)ありません。移動中のケガには自分たちで対処する必要があります。傷パッド、三角巾、万能ナイフなどの応急手当セットを準備しておきましょう。トイレや食事用をかねて、ウェットティッシュなどもあれば便利です。

ハザードマップ・地域の地図

 災害の規模が想定より大きく、避難場所からさらに移動をしなければならない場合。避難場所と避難所の場所が異なり移動が必要な場合。こうしたときにはハザードマップや地図が必要です。より安全な場所、安全な移動経路を検討するための地図を用意しておきます。

小型ラジオ・スマホ充電器

 避難場所に留まっていてよいのかどうか。避難場所が開設されたかどうか。災害や被害の状況を知るための情報源が必要です。携帯電話の基地局が生きていればスマートフォンや携帯電話のインターネットが役立ちますが、そのための充電器が必要です。乾電池式のものにすれば、他の道具にも使い回せて便利です。また携帯電波が止まってしまった場合は、ラジオが最後まで使える情報源になります。特にコミュニティFMを受信できるラジオを準備しておくと良いでしょう(もちろん重いのはNG、小型の物です)。

携帯トイレ

 屋外の避難場所や津波避難タワーなどの避難場所には、トイレ設備がない場合があります。一時避難が数時間以上になる場合、これが問題になることがありますので、数回分の携帯トイレを入れておくと良いでしょう。とはいえ、多くの人が避難しているど真ん中でこうしたアイテムを使うことは難しいです。子供用と割り切る、ポンチョなどの目隠しアイテムと併用するなど、家族構成に応じた工夫が必要です。

水・食料

 防災グッズの中で最も重量を占めるのが水・食料です。前述の通り3日分の水と食料をそろえると10キロを超えるため、それをすべて避難場所へ持って行くのは、条件がそろわない限り返って避難の妨げとなります。特に水については、一時避難ですので生活用水分は不要です。飲食に必要な量に限定すれば量を減らすことができます。

 500ml程度のペットボトルを1~2本、水と食料を兼ねたゼリー飲料を数個、カロリーメイトやチョコバーの様な行動食を適量、避難場所へ持ち込む量としてはこの程度が上限になるでしょうか。(もちろん大きくて重たいリュックを自由自在に扱えるのであればたくさん持ち込んで構いません。)

アルバムや写真、思い出の品物

 直接命を守る物ではありませんが、アルバムや写真などの準備も必要です。避難場所への緊急避難を行う際、「アルバムだけは持ち出したい!」「大切なアレを持って行きたい!」となり、避難準備の時間をロスするのを避けるためです。しかし紙のアルバムなどは重量がかさむため、あらかじめ写真をデジタル化して(今時は、写真屋に持って行けばすぐできますね)SDカードに入れておいたり、クラウドアルバム(GooglephotoとかAmazonPrimeフォトとかですね)に入れておくと、貴重な時間をロスせずに済みます。

貴重品について

 災害直後には火事場泥棒が増えます(これは事実です)。財布、パスポート、鍵などの貴重品はできるだけ持ち出します(目の前に津波が迫っている等の場合は、もちろん命が優先です)。非常持出袋を作る際は、リュックの手前のポケットなどを空けておき、家を出る最後に貴重品を放り込んで飛び出せるようにしておくとよいでしょう。なお普段から貴重品をリュックに入れておくのは止めてください、空き巣が大喜びします……。

「避難所」へ移動する際に持って行くべき防災グッズ

 避難場所で命を守った後に避難所へ移動する状況。「避難場所」と「避難所」を兼ねた施設へゆっくり移動する場合。台風などの事前避難を行うとき。これら、「生活をするための場所として避難所へ移動」する場合は、生活支援の道具を持って移動します。

避難場所へ持って行く非常持出袋はそのまま持って行く

 命を守るための道具に厳選した非常持出袋は、そのまま避難所の生活でも役立つ道具ばかりですので、基本的には避難所にも持って行きます。以下は、主に重量の視点で非常持出袋にはいれなかった防災グッズの補足です。

避難所で配布されないアイテムを優先

 避難場所へ持って行くグッズと重複しますが、「避難所で入手できないが、自分と家族には不可欠な物」がある場合、それを最優先で準備します。赤ちゃんのオムツ・おしりふき・ミルク。女性用の生理用品。持病の薬や常備薬。ペットを連れていく場合はペット用品。こうしたものは普段から多めに買い置きして、非常時にも在庫を切らさないようにしましょう。

水・食料

 災害初期には、配布される水と食料に限りがあります(あるいは全く入手できないことも)。家族の水と食料はできるだけ持っていくと良いでしょう。水を入れると発熱するご飯のセットなどがあれば便利ですが、現実問題、災害直後の人がごった返している避難所で

 「温かくいい匂いがする食事」を食べるのは、精神的に困難です。災害直後の食事としては、非常持出袋にいれるような行動食、カンパンやパンの缶詰など、あまり目立たない食べ物の方が便利です。紙皿・紙コップ・ラップなど、支給された食事を食べるためのグッズは役立ちますので、持ち込みましょう。水の給水を受けるための、水タンク、空の水筒やペットボトルも必要です。

 一方「在宅避難」に備えた準備としては、人目を気にする必要はありません。できるだけ温かい食事を取れるような準備が必要です。前述の発熱剤セットのレトルト食品。カセットコンロとガスなどがあれば大変役立ちます。

携帯トイレ・非常用トイレ

 避難所で常に問題となるのがトイレです。できれば数日分のトイレを持ち込みたい所ですが、これも現実的に考えると、人が多い状況においては、どこでそのトイレを使うのか、という問題が生じます。緊急用として携帯トイレはあった方がよいですが、そのうえで、積極的に避難所の運営に参加し、トイレを清潔にする活動に参加するなどが求められます。ただし、トイレットペーパーだけは不足した際に役立つので、持って行きましょう。

 一方「在宅避難」に備えた準備としては、カセットコンロ同様に超重要アイテムとなります。自宅が無事であれば、トイレの個室で「非常用トイレ」が使えるからです。トイレの便器に袋を被せ、用を足したら凝固剤を振りかける、というタイプが多いですが、これを1~2週間分準備しておきましょう。特にマンションの上層階に住んでいる場合などは、こうした準備がないと自宅に留まることができなくなります。

衛生管理用品

 避難所では集団生活となるため、健康管理をはじめ、感染症や食中毒への対策が必須です。歯ブラシ、ウェットティッシュ、除菌ジェルなどがあれば役立ちます。赤ちゃんがいればお尻拭きが大量にあると思いますので、これを持ち込むと便利です。ウェットティッシュがあれば、手指などを洗う水を節約できるのでこれも役立ちます。

衣類・目隠し用品

 避難生活が長期化する場合は、衣類の着替えが必要にあります。タオルや下着類を準備しましょう。また特に女性の場合、非常時とはいえ「スッピンでボッサボサの髪」でいることは大変なストレスになります。衛生管理をかねたマスク・ニットの帽子・ゆったりしたスウェット衣類があると大変便利です。

寝具・防寒着

 災害初期の避難所では、薄い毛布が1枚手に入れば御の字です。寝るための環境が整うまでいは最低でも数日かかりますので、理想を言えば寝袋・エアマット・厚手の毛布などの寝具があれば役立ちます。また冬場の場合暖房が導入されるのには時間がかかりますので、防寒着や使い捨てカイロなども多めに持ち込みましょう。

貴重品の管理

 災害直後の被災地では空き巣被害が多発します。避難所で寝泊まりする場合、貴重品は全て持ち出した方がよいでしょう。しかし避難所においても、故意・うっかりを問わず盗難被害はどうしても生じます。貴重品は常に身につけるか外から見えないようにし、少なくともうっかりの取り違えを防ぐようにしておきます。

避難場所・避難所へもって行かない方が良い物

 逆に、避難時に持って行かないほうがよいものはなんでしょうか。

酒・タバコ

 愛飲する方であれば緊張を和らげる効果が期待できますが、原則として避難場所・避難所は禁酒禁煙です(いや、法律による定めがあるわけではありませんが、災害初期で人が過密している状況で、酒とタバコは「常識」としてNGです。)

 災害から数日が経過し、避難所の運営が落ち着き、生活空間から完全に切り離された喫煙場所などが指定されるまでは、基本的にタバコを吸うことはできないと思ってください。特に大地震の直後などは地域全体に粉塵が立ちこめて火災が起こりやすい状況になっていますので、下記は絶対に厳禁となります。

照明としてのロウソク

 防災グッズの定番であったロウソクですが、特に大地震直後においては火災の原因となるため、避難場所・避難所、また在宅避難様の道具としても、おすすめできません。LEDライトと予備の乾電池があれば同じ働きをさせることができますので、裸火となるアイテムは用意しないようにしてください。

音の出るオモチャ

 災害時における子供のメンタルヘルスケアとして、普段と同じ環境を用意すること、おもちゃなどで遊ばせて気を紛らわせることは重要です。が、特に電子音がなるオモチャについては、その音が騒音になる場合がありますので避けたほうが良いでしょう。ぬいぐるみ・音のない乗り物のおもちゃ・ボールなど、いわゆるピコピコ音のないものをリュックに忍ばせておくと役立ちます。

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也Tomoya Takani
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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