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備蓄食料と、非常食の違い

最終更新日:

執筆者:高荷智也

食料備蓄=カンパンではありません。食料備蓄は利用の期間にあわせていくつかに分類されます。餓死回避から、健康維持・ストレス軽減目的の備蓄まで、各種ご案内します。

備蓄食料と、非常食の違い

食料備蓄と非常食の違い

「食料備蓄」と「非常食の準備」は異なる「備え・防災」です。危機や災害に備えて食べ物を準備しておく、という動機と行為は同じですが、その目的と内容には大きな違いがあります。これを混同して対策を行ってしまうと、いざ本番となった際に困ることになりますので、切り分けが必要です。

「食料備蓄」では、長期にわたって食べ物の入手ができなくなる事態を想定して、大量の食べ物を備蓄します。この際に用意する食料は、普段の食事とあまり変わらないものが中心となり、また比較的多くの量の食料を備蓄することになります。新型インフルエンザや、テロ・戦争、ハイパーインフレなどの災害が対象となります。

「非常食の準備」では、短期的に食べ物の入手ができなくなるものの、それが一時的であることが分かっている様な事態に備えます。この際には、持ち運びがしやすい様に軽量でかさばらず、体積あたりのカロリー量が多い食べ物を中心に、最低限の量を揃えます。地震や津波、噴火などからの一時避難が対象となります。

また両者の中間として、「避難用の食料備蓄」という準備も必要となります。非常食が数日間、備蓄食料が数週間~数ヶ月を想定するものだとすれば、避難用の食料備蓄は1週間程度を見越した非常用の食料です。地震やその他災害に被災をした際の、短期における避難所生活での利用が対象となります。

長期:食料備蓄のポイント

食料備蓄が必要な災害は、あまり発生の頻度が大きくありません。食料備蓄の真意は「餓死」を防ぐことですが、少なくとも戦後の日本において、「食料備蓄をしていなかったために死ぬ」ような事態となる災害は、発生していません。今を生きる私たちの誰もが体験をしたことがない未知の災害に備えるのが、食料備蓄です。

備蓄食料が活きてくる様な事態になった場合、その期間は数週間~数ヶ月と比較的長期に及びます。この期間を健康に、またストレスをためずに過ごすために必要な食事を要するために、備蓄するべき食材を選定します。またできるだけ普段の食生活と変わらない様なものを中心にすることで、不要なストレスを軽減することができます。

また量が多くなるため、賞味期限も長いものを中心にそろえる事になります。しかし、防災に特化して賞味期限を延ばした商品は、コストもそれなりに高くなってきますので、普段食べている食材の中から比較的賞味期限が長いものを中心に選択して、量とコストのバランスを取っていきます。

主食としては米、パスタ、乾麺などを中心に。副食としてはレトルト食品、缶詰などが中心となります。いずれも普段の食生活の中での消費を心がけ、古いものから食べて、食べたら買い足すを繰り返し、コストの負担を軽減します。またカセットコンロなどの調理器具をあわせて用意することが必須となります。

中期:避難用食料のポイント

避難用の食料備蓄は、いわゆる防災用の食料備蓄に最も近い準備です。目の前の危機を回避し、比較的安全な避難所などで本格的な復旧を待つまでの期間、1週間ほどを健康に過ごすために活用するための食料備蓄です。手間がかからず、味がよいものを中心に揃えます。

1週間ほどの期間を耐えれば、復旧なり復興が始まることを前提とした食料の準備となりますので、極端なことを言えば水だけでも要は成します。1週間ほどの期間であれば、水の補給さえ受けられればまず死ぬことはなく、また動けなくなるほどの体力低下を招くこともぎりぎり回避できるからです。

そのため、命をつなぐための準備ではなく、ただでさえストレスの多くなりがちな避難生活を、少しでも快適に過ごすため準備という側面が強くなります。調理器具などがあまり使えない中でも、普段の食生活に近い種類の食べ物が用意できれば、食事をストレスのはけ口とすることができ、肉体的にも精神衛生的にも、健康が保てます。

インスタントラーメン、加熱機能付きのご飯パック、フリーズドライ食品など、簡単に食べられて、普段の食事に近い、自分が好む味の食べ物を中心にそろえます。菓子類などを加えてもよいでしょう。また避難用の食料備蓄をする際には、必ず同期間分の排泄物を処理できるトイレを備蓄します。トイレの用意がなければ、安心して食事はとれません。

短期:非常食準備のポイント

非常食は、文字通り非常時の食料です。非常用の持ち出し袋や、通勤・通学に使う鞄の中などに入れておくものとなります。非常食は、突発的な災害に遭遇した際や、その災害から安全な場所へ避難する際に、その避難活動を円滑に行うことを手助けするために活用する食料です。時間的には数時間から数日以内が利用の目安です。

そのため、「非常食を用意しなければ餓死する」という災害は対象外です。このような災害には「食料備蓄」で対応します。非常食は、「非常食があったおかげで、避難の助けとなる」ような災害を想定して準備を行います。徒歩で数十キロを帰宅する際のエネルギー補給、短期の閉じ込めの際の体力維持などが目的となります。

移動の際に持ち歩くことを前提とするため、体積と重量は共に小さくなるものを選択します。そのため、量の割に熱量・カロリーが大きなものが適しています。普段の食事とは異なる、非常時用のラインナップが中心となりますが、「受け入れられない味」を避けるために、事前に必ず試食をすることが大切です。

飴やチョコレートといった高カロリーの菓子、またカロリーメイトなどの補助食品、ゼリー飲料などが適しています。比較的単価がかさみますが量は少なくてよいので、トータルのコストはそれなりで済むはずです。賞味期限が近づいたらおやつの代わりに消費して、食べ慣れておけると安心です。

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也Tomoya Takani
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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