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大地震発生後の通学路の安全確認方法とポイント

最終更新日:

執筆者:高荷智也

地震発生時に子ども達を徒歩で帰宅させる計画を立てている場合、通学路の安全確認を帰宅可否の判断材料にすることがあります。目視による安全確認を行う場合に必要となるチェックポイント、地震発生時に危険が想定される箇所について紹介します。

大地震発生後の通学路の安全確認方法とポイント

帰宅判断に必要な安全確認のポイント

 震度5弱~震度5強程度のやや強い地震が発生し、小学校の児童や中学校の生徒を帰宅させるかどうか判断をする際、通学路の安全確認が必要になる場合があります。究極的には全ての通学路を目視できればベストですが、実際には困難であるため、何かしらの方法により安全確認を簡略化する必要があります。

モデル通学路を定めて目視で確認を行う

 児童や生徒が帰宅をする方向別に、いくつかのモデル通学ルートを定め、そこを実際に通行して目視で安全確認を行い、安全の判断を行う方法です。製造業における抜き取り調査やリサーチにおけるサンプル調査に近い手法といえます。徒歩通学圏内であれば、教職員の自動車などを使うことで、さほど時間をかけず安全確認を終えることが可能です。

地域の協力を得て安全確認を行う

 後述する、通学路上の要チェックポイントについて、地域の自治会や近隣住民の協力を得て安全確認を行うことも考えられます。事前に協力者とチェックポイントを定めておき、地震発生後に目視で確認をしてもらい、情報を集約して判断を下します。精度を高めるために、モデル通学路の目視チェックと併用するとよいでしょう。

安全確認の方法は事前に保護者などへも通知しておく

 地震発生時、児童や生徒を保護者へ引き渡すか集団下校をさせるかを、家庭ごとに事前確認させておく場合は、安全確認の方法についても通知しておくとよいでしょう。「震度○○程度の地震が発生した場合、この方法で通学路の点検を行い、安全確認が取れた場合は徒歩で下校させます」というような情報共有になります。

安全確認を行う際の要チェックポイントについて

 モデル通学路を教職員が目視で点検する場合、また地域の協力者へ点検の協力を要請する場合、以下のようなポイントについて確認を行うとよいでしょう。

  1. 歩道(道路)自体に亀裂や破損が生じていないか
  2. 歩道(道路)に障害となる転倒物や落下物はないか
  3. 余震が発生した場合に転倒したり落下したりしそうな物はないか
  4. 火災や土砂災害などの二次災害の恐れがないか

 上記(2)~(4)について、特に注意すべきポイントを以下に紹介します。このような注意点が多い通学路をモデルルートとして定め、あらかじめ地図上にチェックポイントをまとめておき、目視確認の実施や地域からの連絡を受けた場合、速やかに状況を書き込めるように準備しておきましょう。

ブロック塀(転倒の確認)

 施工方法が悪かったり、古くなったりしているブロック塀は、大地震の際に塀ごと転倒したり、部分的に落下してきたりする可能性があります。以下のようなブロック塀が多い通学路については、安全確認のモデルケースの対象となります。

  • 転倒時に逃げ場がないブロック塀
    ・道幅の狭い道路に、背の高いブロック塀が立っており、転倒すると逃げ場がない場合
  • 転倒の可能性が高いブロック塀
    ・ブロック塀が古く、ひび割れ・風化・傾きがすでに生じている場合
    ・透かしブロック(穴の空いた飾りのブロック)が大量に使われており、ブロック塀の下段から最上段まで鉄筋が入っていないと思われる場合
    ・ブロック塀を、敷地の目隠しではなく土砂の土留として使っている場合(ブロック塀を切り土の擁壁にしている場合、土砂の圧力があるため「ただの塀」と比べて転倒の可能性が高くなります。)

 このようなブロック塀が多く使われている通学路は、点検時点では問題がないように見えても、余震などが発生した場合に被害が生じる可能性が高いため、特に安全確認が必要となります。また児童や生徒を帰宅させる場合も、こうしたブロック塀にはできるだけ近づかないように指導しておくことが重要です。

自動販売機・看板・商店の什器(転倒の確認)

 きちんと固定されている自動販売機は、過去の大地震でもほとんど転倒しませんでしたが、高さと重量があるため万が一転倒に巻き込まれると大事故となります。大型の立て看板などにも同じことが言えるため、こうした設備が置いてある通学路についても、目視による点検が必要となります。チェックポイントは以下の通りです。

  • 自動販売機
    道路に面して立っている自動販売機は、転倒時に道路側へ倒れてくるため特に注意が必要。道路に対して横向きになっている自動販売機は道路側へ倒れる可能性が低い。
  • 背丈よりも大きな看板
    看板の土台が地面にきちんと固定されているか、ポールなどが錆びたり腐食したりしていないかを、普段から確認しておく。
  • 商店のショーウィンドウや什器・陳列物
    歩道に面しているガラス製のショーウィンドウ、固定されていない背の高い什器、また敷地ギリギリまで積み重ねられた大量の商品などは注意が必要。

 ブロック塀と同じく、帰宅時にこれらの設備には近づかないようにする指導が必要になります。

電線や電柱・瓦屋根・ビルの突き出し看板(落下物の確認)

 地震発生時は横方向からの転倒だけでなく、上方向からの落下についても注意が必要です。以下のようなものが多い通学路をモデルルートに設定して安全確認を行うとよいでしょう。

  • 電線や電柱
    電線が切れて地面に垂れていないか、電柱や道路標識のポールなどが倒れかかっていないか、電柱の変圧器などが落下しかかっていないかを確認。
  • 住宅の瓦屋根・エアコンなど
    歩道ギリギリまで軒先が伸びている屋根の瓦の落下がないか、同様に道路ギリギリまで建物が迫っている場合は外壁に設置されているエアコンなどにも注意。
  • ビルの突き出し看板
    商店やビルの壁面に設置されている看板が落下、あるいは余震で落下しそうな状態にないかを確認する。

古い住宅・廃ビル・仮説の建築足場(転倒・落下)

 倒壊した際に道路まで影響をもたらしそうな建物・仮設足場などが立っている通学路も安全確認が必要です。新築住宅やリフォーム工事で一時的に組まれる仮設足場などを全て把握することはできませんが、商業施設やビルなど半年単位で仮設の足場が組まれるような現場がある場合は、一時的に安全確認リストへ追加するとよいでしょう。

  • 平時から傾いている住居
  • 古く人が住んでいない無人の家屋
  • 解体されていない廃ビルや廃墟
  • 仮設足場で囲まれている住宅や建物の建築現場

 また古い木造住宅などが密集している地域(木密地域)などは、地震発生時に他の地域と比べて火災などが発生しやすいため、地震火災が生じていないかどうかの確認も必要になります。

橋・歩道橋・トンネル・擁壁

 損傷している場合、そもそも通行が出来なくなるような設備が通学経路上にある場合も安全確認が必要です。中規模の地震で崩壊するようなことは考えづらいですが、万が一崩壊に巻き込まれた場合は大惨事につながるため、安全確認のリストに追加しておくとよいでしょう。

  • 橋梁
    特に小規模で古い橋は要確認。
  • 歩道橋
    その歩道橋を渡らなければ通学が出来ないような場合は要確認。
  • トンネル
    橋同様、小規模で古いトンネルは要確認。
  • 擁壁
    ひび割れなどが生じている場所や、水抜き穴のない古い擁壁は要確認。また擁壁の上にさらにブロック塀などが積み増されているような場所は特に注意が必要。

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也Tomoya Takani
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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