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モルジブが沈む日
異常気象は警告する

Bob Reiss(ボブ リース)[原著] , 東江 一紀[翻訳]

地球温暖化問題は、こうして人類共通の課題になった。温暖化問題を考えるならば必読!

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概要・あらすじ

地球温暖化問題に対して国際的に強い影響力を持っている政府間機構、IPCC(地球変動に関する政府間パネル)が設立されてた1988年頃から、20世紀末1999年の期間に、地球温暖化問題をめぐって全世界の国家や利害関係者が対立してきた軌跡が、詳細に綴られているのが本書です。

「地球温暖化」をストーリーの中心に置き、1988年から1999年までを1年おきに区切って時系列に並べ、この問題に取り組む科学者、政治家、企業家達のせめぎ合いを描き、「温暖化?食べられるのかい?」とう状況であった当時の認識が、リオサミット、京都議定書を経て、人類共通の重要課題と捉えられるように変化してきた流れが、まとめられています。

また、1988年から1999年まで1年おきに区切られた各章に、世界のいずこかを襲った「何百年に一度の大災害」の様子が必ず挿入されており、被災者側の視点と、世界のリーダー達の視点の双方から、この10年余りを俯瞰することで、今目の前で何が起こっているのか、そしてそれにどう対応しようとしてきたのか、その結果はどうなったのか、といった、温暖化問題が注目され、重要な課題になるまでの流れがとてもよくわかる1冊となっております。

感想・思ったこと

地球温暖化が「なんだかまずくないか?」と認識され始めた以降の、短い歴史を知るためにとても適した1冊だと思いました。産業革命以降、人類が化石燃料を大量に燃焼させ初めて以来、継続的に地球温暖化が進行し続けておりますが、人類がこれを問題として認識を始めたのは、20世紀も終わりかけてきたごく最近です。

温暖化のメカニズムや、科学的な側面からの情報を得るためには、この書籍は適していません。が、この問題が深刻視され始めた1980年代の後半から20世紀が終わるまでの10年余りを、人類がが地球温暖化をどのように捉え、向き合ってきたのか、という事実を知るには非常に適した書籍です。

またこの10年余りの期間に、「何百年に一度の大災害」が、毎年世界のどこかで起こっているという事実には恐怖を覚えますし、この事例が挿入されることで、「地球温暖化問題」が、科学者や政治家といったどこか遠い世界の人間達の出来事ではなく、実際に被害に直面する私たち自身の問題でもあるということがよくわかります。

スピーディーかつダイナミックに展開される本書は、映画やドラマを見ているような印象を持つことができます。地球温暖化問題を真面目に考えてみたい、という方にはもちろん、現代を生きる多くの方々にも、とてもおもしろい課題図書としてぜひおすすめをしたい1冊です。

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書籍の情報

著書名…モルジブが沈む日

異常気象は警告する

著者…Bob Reiss(ボブ リース)[原著] , 東江 一紀[翻訳]

出版社…日本放送出版協会

初版発行日…2002/08/01

紹介文…「BOOK」データベース

ひび割れた大地、猛り狂う嵐、燃えつづける山火事、降り止まない雨、消えゆく氷河…。「地球はどうなってしまったのだろう?」。素朴な疑問を胸に13年間にわたって世界各地を取材した米国人ジャーナリスト渾身のレポート。被災者、政治家、実業家、科学者それぞれの息づかいが聞こえてくるドラマティック・ヒューマンドキュメント。

目次

  • プロローグ 竜巻(トルネード)
    • ナッシュヴィル気象台
    • テネシー州過去最大のトルネード
  • 1988年 温暖化論、世界の舞台へ
    • 政治の場に躍り出た温暖化論争
    • イエローストーン国立公園の山火事
    • アデリー・ペンギンが教える海氷面の縮小
  • 1988~1989年 気候変動に関する政府間パネル始動
    • IPCCの設立
    • ダウニング街十番地の温暖化セミナー
  • 1990年 ヨーロッパ全域に大損害を与えた嵐
    • 子供達を襲った嵐“ダリア”
    • 連続して吹き荒れた冬の嵐
  • 1991年 モルジブ大統領の苦悩
    • 消滅する小島嶼国
    • ピナトゥボ山噴火
    • オークランドの火事嵐(ファイアストーム)
  • 1992年 リオ・サミットの舞台裏
    • 気候変動枠組条約
    • ハリケーン“アンドリュー”
  • 1993年 五百年に一度の大洪水、ミズーリを襲う
    • クリントン政権の温暖化政策
    • 大洪水
  • 1994年 大干魃と飢餓にあえぐアフリカ
    • ゴア副大統領のメディア戦略
    • 弱者に襲いかかる大干魃
  • 1995年 シカゴ熱波
    • エネルギー削減に踏み出したベルリン・マンデート
    • 熱波の死者七百人
  • 1996年 アルプスの氷河融解と科学者の争い
    • 科学者への個人攻撃
    • 縮小する氷河
    • ジュネーブ会議の大転換
    • 温暖化陣営に参加した巨大エネルギー産業
  • 1997年 京都議定書をめぐる各国のせめぎ合い
    • 環境問題と安全保障
    • 削減目標値が盛り込まれた京都議定書
  • 1998年 実証され始めた異常気象と温暖化の関連性
    • 気候科学最大の発見
    • 北極の薄氷化
    • バナナ農園を壊滅させたハリケーン
    • ニューヨークで発生した熱帯伝染病
  • 1999年 インドの町工場と先進国の大企業、それぞれの取り組み
    • 人為的影響を記述したIPCC報告書
    • クリーン・エネルギーに取り組むタタ・エネルギー研究所
    • 進まない各国政府のエネルギー削減政策
    • 温室効果は日常生活をどう変えるか
  • 追記・2000年 モルジブは今

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