「どんど焼き」は「大・防災フェスタ」である
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執筆者:高荷智也
こんにちは、備え・防災アドバイザーの高荷です。
お正月の定番行事、地域の「どんど焼き」に参加してきました。正月飾りや書き初めなどをヤグラで燃やして、餅や団子を焼いて食べるアレですが、皆様の地域ではどんな呼ばれ方をしているでしょうか。
さて、このどんど焼き、実は防災的な要素をたくさん含んだ行事なんですね。9月1日に実施される防災訓練より具体的な内容が多いのではないか、とも考えさせられるイベントですが、具体的なポイントを写真で解説します。
どんと焼きは、参加者が多い(私の地域では)
豚汁や焼き芋などの無料配布物が多いためか、地域の行事の中では比較的参加者が多いイベントではないか思います(私の住む自治体では)。このように地域住民が自発的に集まる機会というのは、防災訓練を合わせて実施する絶好の機会ですね。
どんと焼きは、戦闘訓練の場である
どんと焼きといえば、棒にくくりつけた餅や団子を焼いて食べることですが、お判りでしょうか、まるで農民による一揆の集会のような光景になっています。竹竿の先端に鉄製の(アルミ)の槍先がついているようです。大震災直後の自警団の訓練、対ゾンビとの戦闘訓練にぴったりです。
どんと焼きは、たき火料理の場である
たき火の中に大量に突っ込まれた餅、団子、芋、なんとも言えない光景です。アルミホイルの巻き方が甘かったり、焼きすぎたりすると大惨事になるのですが(今年の我が家の餅はほぼ全滅しました…)、来年への教訓として生かし、毎年改善させることができれば、野外料理を習得することができますね。
どんと焼きは、炊き出し訓練の場である
私の住む自治体では、毎年どんと焼き会場で豚汁の炊き出しが行われます。はい、これはもう完全に防災訓練と同じ流れですね。機材も同じ物を使えば点検にもなりますし、よいことづくしです。
どんと焼きは、配給訓練の場である
さらに私の住む自治体では、どんと焼きの残り火を利用して大量の焼き芋が作られます。写真は焼き芋の配付に並ぶ方々の行列です。これは避難所で非常食を配付している姿と何ら変わりませんね。
どんと焼きは、火災テクスチャ提供の場である
火災現場の写真です、と言われればなるほどと思う様な写真ですが、どんと焼きの炎の写真です。防災サイトに必須である、燃えさかる炎・テクスチャを供給してくれる貴重な場がどんと焼きなのですね(この項目はむろんジョークですよ)。
どんと焼きは、消火訓練の場である
どんと焼きの最後にはバケツリレーで完全に消火を行います。見ての通り、これは完全に消火訓練と同じ流れの作業です。バケツで遠くに効率的な散水をするためには訓練が必要ですが、まさにこの会場でそれができるのです。
どんと焼きは、汚泥の除去訓練の場である
鎮火したら、泥状になった灰を全て回収します。はい、この光景、大洪水や津波の後で行うドロの除去作業と同じですね。わずか十数分の作業でもずいぶん腰を痛めますが、こうした訓練が毎年正月に実施可能なのです。(ちなみにこの灰は農家さんが引き取って行きます。)
ぜひどんと焼きで防災訓練を
「どんと焼き防災訓練」、来年からいかがでしょうか?ちなみに最後の写真は、地上の食べ物の中で焼き芋が一番好きな次男が、その焼き芋をおいしそうに食べる姿です。サツマイモは食糧危機が発生した際の緊急食料として大変優れていますので…と、最後まで防災につながりますね、素晴らしいどんと焼きでした。