Voicyそなえるらじお #11『南海トラフ地震は12月?地震ゴシップの嘘と本当』
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、12月8日(火)、本日も備えて参りましょう!
12月に報道される南海トラフ地震の情報の捉え方
前回の放送では、1944年の12月7日に発生した、昭和東南海地震、および南海トラフ全体の地震のお話をいたしましたが、実は毎年12月は、南海トラフ地震に関する様々な啓発情報が出されやすい時期と言えます。
最近の南海トラフ地震は12月に集中している
- さて、1944年に発生した「昭和東南海地震」、この大地震の2年後、1946年には「昭和南海地震」が発生しています。
- この2つの地震がいわゆる「前回の南海トラフ地震」ということになるのですが、46年の昭和南海地震は12月21日に、44年の昭和東南海地震は12月7日と、いずれも12月に発生しています。
- さらに、その前の南海トラフ地震、1854年の「安政東海地震」が12月23日、32時間後に連動して発生した「安政南海地震」が12月24日に発生。
- また、さらにもうひとつ前の南海トラフ地震となる、1707年の「宝永地震」は10月28日に発生していますが、49日後の12月16日に富士山が宝永大噴火を起こしており、近年の南海トラフエリアでの大規模災害が、12月に集中しているのです。
- そのため、毎年12月は、南海トラフ地震が今月来る!注意!というような煽りネタを出しやすい時期になると言えるのです。
南海トラフ地震って12月に起きるの?今ヤバイじゃん?
では、実際の所、南海トラフの地震はかならず12月に生じるのかと言えば、たまたま直近の地震が12月に続いただけと言えます。もう少しさかのぼって見ましょう。
- 宝永地震の前の南海トラフ地震、1605年の慶長地震(けいちょう)は2月3日に発生。
- その、慶長地震の前、1498年の明応地震(めいおう)は8月25日に発生。
- さらにその前、明応地震の前、1361年の正平地震(しょうへい)は7月26日に発生しています。季節はバラバラですので、次の南海トラフ地震がどの季節に生じるかは分かりませんね。
- ちなみに、これほど大昔に発生した大地震について、その日付が文献などを通じてはっきり分かるというのは、とてもすごいことらしいですね、受け継がれてきた記録を大切に活用したい物だと思います。
大地震は毎時「46分」に発生しやすいというネタもある
さて、直近の南海トラフ地震がたまたま12月に集中した、というのと同じレベルの話で、大地震が毎時「46分」に発生するというネタもございます。
- 1995年に阪神淡路大震災を生じさせた兵庫県南部地震は、1月17日の早朝5時46分に発生。
- 2005年に生じた宮城県沖地震は、8月16日の11時46分に発生。
- そして来年が10周年となりますが、2011年に東日本大震災を生じさせた東北地方太平洋沖地震は、3月11日の14時46分に発生。
- と、近年生じた印象的な大地震の発生した時刻が「46分」ということが、この時間に注意しようというネタにつながっています。
- これが本当なら恐ろしい、または地震防災に利用できるぞということで、実際に過去100年間に日本近辺で生じた、マグニチュード6以上の大地震1438回の時間を調べてみたのですが…
- 結論だけ言えば、46分以外にもバンバン地震は生じておりまして、特に規則性のようなものはありませんでした。
本日も、ご安全に!
南海トラフ地震は12月に起きる、巨大地震は毎時46分に注意など、大地震には様々なゴシップネタがつきものです。こうしたネタに惑わされたり、一喜一憂することなく、日本の場合、大地震はいつどこで生じてもおかしくないのだ、と考えて、日頃の準備をすることが重要です。取り急ぎ、お手元のスマートフォンに、「Yahoo!防災アプリ」をインストールして、緊急地震速報を受信できるようにすることから始めてみるのはいかがでしょうか。
それでは皆さま、本日も、ご安全に!