Voicyそなえるらじお #12『悪い地震予知の仕組みと見抜き方』
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、12月9日(水)、本日も備えて参りましょう!
地震予知というデマに惑わされて不安にならないために
さて、前回・前々回の放送で、南海トラフ地震にまつわるデマ情報のお話をいたしましたが、地震に関するデマ情報には「地震予知」というテーマがあります。
良い地震予知と悪い地震予知
- よい地震予知は、気象庁などの観測を通じて行われている現実的な「予測」のことを言います。
- 一方悪い地震予知は、「予言・法則・シグナル」などの言葉と一緒に使われる「デマ情報」のことを言います。
- そもそも日本は地震大国で、過去100年間に発生したマグニチュード6以上の大地震だけをみても1400回以上、平均すれば月に1回以上はどこかで大地震が発生していますし、
- 震度1以上を観測した地震であれば、平均すると2時間半に1回のペースで、発生しているのが日本です。
だれでも予言者になることができます
- ということは、地震が発生する「日時」と「場所」、そして地震の「大きさ」の3つの要素のうち、いずれか2点だけを用いて地震予知を行えば、だれでも予言者になることができるのです。
- 例えば、今日から1週間以内に、首都圏近郊で地震が発生します。という予言をすれば、大きさを指定しない限りまず当たりますし。
- マグニチュード6以上の大きな地震が、東北地方で発生します。という予言をすれば、数年以内に恐らく発生することになります。
意味のある地震予知は現在の所不可能
- 社会的に意味のある地震予知を行おうとした場合、地震が発生する「日時」と「場所」、そして地震の「大きさ」という3つの要素全てを正確に予測する必要があります。
- 今後科学が進歩し、「いつ・どこに・どのくらい」、という3つの要素がそろった地震予知が行えるようになれば素晴らしいことだと思いますが、今日現在の科学的な知見においては、社会的に役立つ地震予知はできていないのが現状です。
- そのため現時点で世の中に出回っている地震予知の情報というものは、精度があまくて社会的に意味のないものか、あるいはデマ情報であるか、ということになってしまうのです。
本日も、ご安全に!
ちなみに、地震予知に一見似ている情報として「緊急地震速報」がありますが、緊急地震速報は「予知」ではなく「速報」ですので、実際に地震が発生した直後に出される緊急情報です。緊急地震速報のアラームが鳴った瞬間、机の下に潜ったり、あるいは電車に乗っているのであれば手すりやつり革をガッチリ握って急停止に備えたり、ということができれば、命を守る行動となりますので、「今、緊急地震速報がなったらどうするか」を考えてみることは、地震被害防止の大きな行動のひとつといえます。
それでは皆さま、本日も、ご安全に!