Voicyそなえるらじお #31『1914年桜島・大正噴火、運良く壊滅をまぬがれた鹿児島市』
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執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、1月12日(火)、本日も備えて参りましょう!
首都圏に対する緊急事態宣言の再発出
本日のテーマは「火山の噴火」です。
1914年1月12日 桜島・大正噴火
全国的な寒波による大雪被害が続いていますが、空から降り積もる自然災害として最悪なものとして、火山の噴火による火山灰があげられます。
- 107年前の本日、1914年(大正3年)1月12日、鹿児島の桜島が大規模な噴火を起こしました。
- 桜島の大正噴火と呼ばれるこの噴火ですが、かなり規模が大きい噴火です。
- DRE・マグマ噴出量と呼ばれる噴火の規模をマグマの量に換算した数字で比較をしますと、直近100年では最も大きな噴火で、直近1000年間までさかのぼってもトップクラスに大きな噴火でした。
- 記録に残っている死者・行方不明者は58名ですが、この死亡者の半分は噴火開始から8時間後に発生した、マグにチュード7.1の大地震により生じた、鹿児島市街地での被害と想定されています。
- 大規模な噴火と大地震は、しばしば同時に、あるいはいずれかがいずれかを誘発する形で生じていますので、地震の後には噴火に注意、噴火の後には地震に注意、ということは意識をしたい災害時のポイントと言えます。
桜島って島じゃないよね
- ところで、桜島、島という名前がついているわりに、鹿児島の大隅半島と陸続きで、厳密に言うと半島です。
- 実は、この大正噴火が生じる前は文字通り錦江湾に浮かぶ島で、幅360m×深さ75mの瀬戸海峡で、大隅半島と離れていました。
- ところが大正噴火で、あまりに大量の溶岩が流れ出したため、この海峡を溶岩が埋め尽くし、桜島と大隅半島が陸続きになって現在に到っています。
- これがわずか100年少々前の話ですから、自然の力というのはすごい物がありますね。
火山灰もすごかった
- 大正噴火では溶岩以外にも、大量の火山灰や軽石と呼ばれる噴石が周囲に噴出しています。
- 大正噴火が発生した1月は西から東の風が強く、風下に当たる大隅半島側では、1mを超える火山灰が降り積もり、農地や家屋に甚大な被害を生じさせました。
- 火山灰の影響は風向き次第で大きく変わりますので、自宅周辺の火山で噴火が始まった場合は、火山周辺の風向きをチェックし、できるだけ風上方面に避難することが重要ですね。
- また降り積もった火山灰は、雨が降るたびに大量の泥流となり、土石流の被害をもたらします。大正噴火でも噴火の収束後、長期にわたり土石流が発生し続ける二次災害ももたらしました。
- 近くで火山の噴火が生じた場合、雨が降ってくると土石流に巻きこまれる恐れがありますので、素早く高い場所にある頑丈な建物などへ避難するといった対応が必要になります。
- ちなみにこのときの火山灰は鹿児島周辺だけでなく全国に飛散し、関東などでも大正噴火の火山灰が確認されているということです。
なお、冬だったことが幸いし…
- ちなみに大正噴火、桜島の西側にある鹿児島市街地の被害は、直後に発生した大地震によるものがほとんどで、溶岩流や火山灰の被害はほとんどありませんでした。
- これは風向きが冬場の西から東の風だったためで、もし大正噴火が夏場に発生していた場合、風向きが桜島側から鹿児島市街地へ吹いていることがあるため、鹿児島市街地に火山灰による甚大な被害が生じたと想定されています。
- 仮に今、大正噴火と同じ規模の噴火が発生し、風向きが東から西だった場合は、鹿児島の中心市街地で1メートルをこえる火山灰が降り積もる恐れがあります。
- 大雪は溶けますが、火山灰は撤去するまでそこからなくなることがありません。交通やライフラインに壊滅的な被害をもたらす恐れがあるため、火山のすぐ近くに住んでおり、噴火時に風下に当たる場合は、避難が手遅れになる前に遠方へ避難するということも重要になります。
本日も、ご安全に!
ということで本日は、桜島・大正噴火のお話でした。明日は同じ火山の噴火、富士山の噴火についてお話をしたいと思います。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!