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Voicyそなえるらじお #212 避難場所と避難所の違い、私はどこへ逃げれば良い?

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #212 避難場所と避難所の違い、私はどこへ逃げれば良い?

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、10月11日(月)、本日も備えて参りましょう!

避難場所と避難所は違うものです

本日のテーマは「避難場所と避難所」のお話です。

中規模な地震が続きました

  • 先週相次いだ少し大きめの地震、
  • 10月6日(水)の岩手県沖、最大震度5強、M5.9の地震
  • 10月6日(水)の大隅半島東方沖、最大震度4、M5.4の地震
  • 10月7日(木)の千葉県北西部、最大震度5強、M5.9の地震
  • 緊急地震速報を伴う地震が相次いだことで、改めて日本は地震が多い国だということを認識しなおした方も多かったのではないかと思います。
  • このような地震が続くと、そういえばわが家の地震対策はどうなっていたかなと、各種状況を見直すきっかけになるのは、よいことだと言えますが、避難についての計画は確認できているでしょうか。
  • 本日はコメント欄にいただいたご質問へ回答したいと思います。
  • こちらは、『#211 首都圏震度5強・1週間は余震に警戒、具体的には?』のコメント欄に頂いたご質問です。

かなの さん、ご質問ありがとうございます!

  • マンション(8階です)に住んでいる場合は、震災の際に避難は必要ないのでしょうか?
  • 家に非常品はたくさん用意があるのですが、持ち出しを想定していないためリュックなどに入れていません。
  • また、うちにはペットがいるため、必要なければなるべく避難は避けたいと思っております。
  • ネットでは、都内の地震ではマンションの人が避難すると避難所が足りないため自宅待機を、などと情報が錯綜しており分からないため、こちらでご質問させていただきました!
  • かなの さん、投稿をありがとうございます!

避難先について

  • 災害時に必要な避難ですが、実は避難先には種類が二つあります。
  • ひとつは「避難場所」正式には「指定緊急避難場所」
  • もうひとつは「避難所」正式には「指定避難所」です。
  • この避難場所と避難所、名前はとても似ています。特にラジオで音声だけ聞いていると、ほとんど差が分からないと思います。
  • 避難場所は、命を守るために逃げ込む場所で、避難所は、命を守った後に生活をするために移動する場所になります。
  • 命を守るための避難場所は、例えば大地震で津波や大規模な地震火災などが発生した場合や、台風や大雨で洪水や土砂災害が心配される場合に、身を守るために逃げ込む場所です。
  • 避難場所は想定される災害の種類ごとに、異なる場所が指定されています。例えば大地震で発生する二次災害でも、津波から逃げるなら津波避難ビル・津波避難タワー・高台の施設など。一方火災から逃げるなら、周囲に何もない公園や運動施設、河川敷、あるいは津波が生じていないなら海岸に避難するというのもあり得ます。
  • また、浸水や土砂災害が想定される状況で、あらかじめ避難するのであれば、沈んだり崩れたりしない場所にある施設へ移動することになります。
  • これらの避難場所は、ハザードマップなどに掲載されています。ハザードマップは災害の種類ごとに作られますが、その災害による影響と、避難すべき避難場所が両方乗っていますので、まずは自宅周辺の「避難場所」を確認することが重要です。
  • 避難場所への移動、状況によっては一分一秒を争う場合もあり得ますので、非常持出袋・防災リュックなどを作成しておき、素早く家を飛び出せるようにする準備などが必要になります。
  • 例えばご質問いただいた かなの さんの場合、マンションの8階にお住まいと言うことですので、津波・洪水・土砂災害などによる避難の可能性は恐らく低いと思われます。このような場合、例えばお住まいの地域全域に避難指示が出たとしても、避難場所へ行く必要はありません。ただ、停電や断水などが生じる可能性はありますので、備蓄品の準備は必要になります。
  • 一方、東京・名古屋・大阪をはじめとする都市部、具体的には自宅の周りに木造住宅が広がっている地域の場合は、大規模な地震火災が発生する恐れがあります。この場合は避難が必要になる可能性がありますので、自宅の周りが燃えやすい地域かどうか、もあわせてご確認ください。

避難所への移動は義務ではない

  • 一方「避難所」への移動は、義務ではなく、必要なければ移動する必要はありません。
  • 避難所は、例えば大地震や水害で自宅の建物に被害が出た場合、室内がメチャクチャになった場合、あるいは停電や断水の影響で自宅に留まることが難しい場合など、災害後、自宅で生活をすることが難しくなった場合に移動する場所です。
  • 命を守る避難場所は、災害の種類ごとに指定されていますが、生活をするための避難所は、原則として最寄りの学校や公共施設などが指定されることが多いです。
  • 避難場所と避難所は、同じ場所が指定される場合もあれば、異なる場所が指定される場合もあります。
  • 例えば津波避難タワーや、屋外の公園、運動場などは、避難場所にはなりますが、生活することはできないため、避難所には指定されません。
  • 逆に、学校の体育館などの屋内施設は、避難所に指定されますが、そこが津波や洪水の影響を受ける場合などは、避難場所にはなりません。
  • こうした情報は、ハザードマップに掲載されています。ハザードマップで、最寄りの避難場所・避難所がそれぞれどこにあるのかを確認してください。

避難場所への移動について

  • また、命を守るための避難場所は、基本的に地域の住民全てを収容できる場所が準備されます。ただ、これは屋内の快適な場所が用意されるとは限らず、とにかく広い屋外の公園など、面積だけ確保したという地域が大半ですので、避難場所へ移動するためのリュックの中には、雨具や着替えなど、雨に濡れることを前提とした道具を入れるようにしてください。
  • また、津波や洪水で壊滅する様な地域にお住まいの場合は、避難場所へ移動したらそのまま自宅に戻ることができず、しばらく避難先で生活をすることになる場合もあり得ます。その場合は、数日分の生活物資を持って逃げることになりますので、荷物が少し多くなります。
  • ただ、荷物が重すぎて避難が遅れた、というのでは意味がありませんので、身の安全を守るための道具や、生活に欠かせないアイテムなどはリュックに入れて、これは背負った時に走れる重さにしてください。そして、水・食料・生活用品など重くてかさばるものは、別のカバンなどに入れておき、余裕があれば全て持って避難、余裕がなくなったら捨てて走って逃げる、などの対応が必要です。

避難所への移動について

  • 一方、生活をするための避難所については、多くの自治体において、全ての住民を収容する場所は準備されていません。
  • 例えば東京や大阪の場合、避難所の受入可能数は、住民の約20%分で、8割の方は、自宅に留まって生活することが前提となっています。
  • 特に、マンションなどの建物の場合は、避難所の受け入れ対象外とされているケースが多く、そのまま自宅に留まる前提となっていることがあります。
  • さらに、避難所はホテルでも宿泊施設でもありませんので、基本的に環境は悪いです。最近のニュース番組などでは、避難所にテントや段ボールベッドなどが綺麗に並べられている映像や、自衛隊による入浴支援などの映像を見かけますが、あれはごく一部の自治体、さらに災害発生からしばらくたった後の状況になります。
  • 災害直後の数日間は、避難所に入れたとしても、屋根と床以外は何ももらえないかもしれない、と言う可能性がありますので、自宅が無事であれば、自宅に留まった方がよいのです。
  • 在宅避難になる可能性が高い場合…と言いますか、割合的には在宅避難をする方の方が圧倒的に多くなる訳ですが、この場合には、水・食料・日用品、また赤ちゃんやペット、介護が必要な方などがいる場合は、必要な物資を日頃から十分に備蓄するようにしてください。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「避難場所と避難所」のお話でございました。

避難場所は、自宅に留まると命に危険が生じる場合だけ移動。周囲に危険が無ければ避難指示などが発令されていても、移動する必要はありません。

そして避難所は、自宅で生活ができない方が災害の後に移動、自宅が無事であれば、そのまま自宅で生活を継続する在宅避難がオススメです。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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