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Voicyそなえるらじお #226 大地震による最悪の二次災害、恐怖の地震火災・火災旋風とは

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #226 大地震による最悪の二次災害、恐怖の地震火災・火災旋風とは

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、10月29日(金)、本日も備えて参りましょう!

大地震による恐ろしい二次災害・地震火災

本日のテーマは「地震火災」です。

  • 本日10月29日は、45年前に山形県酒田市で大規模な市街地火災が発生した日です。
  • 1976年(昭和51年)10月29日、夕方の17時40分頃、山形県酒田市の市街地にあった映画館から火災が発生しました。
  • この日は風が強く、出火した火災は次々と隣接する建物に延焼、翌日早朝に鎮火するまでの間に、死者1名・重症者10名・軽傷者993名という人的被害と、1,774戸の建物全焼し、3,001名が被災するという、甚大な被害が発生しました。通称、酒田大火の発生です。
  • 市街地における大規模な火災はしばしば発生しておりまして、最近では2016年に新潟県糸魚川市で発生した糸魚川大火や、1995年の阪神・淡路大震災における神戸での大規模な火災が。
  • さらに過去にさかのぼれば、江戸時代の江戸などはしばしば大火で壊滅的な被害を受けていましたし、1923年の関東大震災では東京が焼け野原となり、また太平洋戦争末期にも日本の全国主要都市が空襲で焼け野原となりましたが、これも大規模な市街地火災といえます。
  • その後も全国で大火が発生しているなど、木造住宅が密集している日本においては、比較的生じやすい災害が、大規模な延焼火災だと言えます。

質問投稿ありがとうございます!

  • この大規模な延焼火災は、首都直下地震をはじめとする都市部を襲う大地震でも発生が想定されています。これは通称地震火災と呼ばれている被害です。
  • ところでこの地震火災、『#215 住まいのこだわり、防災アドバイザーの自宅は意外と…』の放送のコメント欄に、どのような状況になるのか、どうすればよいのか、というご質問を頂きましたので、本日はこちらへの回答を兼ねて、お話をしたいと思います。
  • Maiさん、ご質問ありがとうございます

地震火災

  • まず、そもそも地震火災とは何かという点ですが、
  • 大地震が発生すると、しばしば建物火災が発生します。
  • 通常であれば、消防車などが駆けつけて消火活動に当たりますが、大地震による火災は、同時多発的に複数の場所から発生する恐れがあり、
  • さらに建物の倒壊や道路の損傷により、消防車が現場に入れなかったり、現場に到着しても地震による断水の影響で消火用水が得られなかったりする恐れもあります。
  • すると、同時多発的に発生した火災に対する、有効な消火活動が行われず、燃えるままに広がっていくことになりますが、この大地震を原因とする、都市部における大規模な延焼火災を、地震火災と呼んでいます。
  • 近年の都市部では、法律や条例により火災に強い耐火建築物が増えていますが、大地震の揺れで倒壊してしまった場合は、内装がむき出しになり薪の束となってしまいますので、耐火建築物の意味がなくなります。
  • また、耐火建築物といっても燃えないわけではなく、しばらくの間外からの火に耐えて出火しない建物ということですので、大地震の揺れに耐えたとしても、消防車が来なければいつかは延焼します。
  • また地域において、一部の建物が耐火建築物であっても、全体として木造住宅が多ければあまり意味がありませんし、またコンクリート製の建物などはそれ自体は燃えませんが、中にある家具や荷物は燃えますので、やはり火災を広げる対象になってしまいます。
  • 詰まるところ、都市部などで、建物が密集している地域で火災が発生し、消防車が来られない状況になると、どこでも大規模な火災が発生し、燃え尽きるまで手を出せなくなる可能性があるということになるのです。

火災旋風の脅威

  • さらに、地震火災の規模が大きくなると、火災旋風と呼ばれる最悪の現象が生じる恐れがあります。
  • 火災旋風とは、炎を伴う旋風、竜巻で、文字通り炎の固まりが移動し、周囲を焼き払いながら進んで行くという最悪の現象です。
  • 火災旋風は、1923年の関東大震災でも発生しました。関東大震災でも大規模な地震火災が発生しましたが、現在の東京都墨田区にある、横網町公園(よこあみちょうこうえん)、教科書などでは陸軍被服廠(工場)の跡地に、多くの避難者が詰めかけました。
  • そこへ、大規模な火災旋風が襲来し、この場所だけでも38,000名もの方が焼死されたという事実が残されています。なぜ38,000人という正確な数字が残っているのかと言えば、この工場跡地に、38,000名の遺体が残されてしまい、その方々をその場で火葬し、その場に建てられた慰霊堂に安置されたからなのです。
  • 火災旋風に巻きこまれると、直接火に焼かれて焼死される方も多く発生しますが、高温のガスや炎を吸い込んだり、周囲の酸素が火災で全て奪われたりすることで、窒息死される人が多く発生するという恐ろしさもあります。

地震火災は次も生じる

  • この地震火災は、近い将来の発生が想定されている首都直下地震などでも発生が想定されています。
  • 首都直下地震で想定されている死者は、最大約24,000名ですが、このうち7割、16,000名が地震火災で亡くなると想定されています。
  • 地震火災は、現実的に想定されている脅威であり、都市部にお住まいの方であれば誰もが遭遇する恐れのある災害であると言えます。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「地震火災」のお話でした。

本日は地震火災とは、という基礎知識編のお話でしたが、では、地震火災から逃れるためにどうすればよいのか、どのような事前準備をすればよいのか、これを次回以降の放送で考えて参りたいと思います。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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