Voicyそなえるらじお #210 最近地震が多い…と不安になる時は「自然現象」の数を確認

最終更新日：2021年10月07日

執筆者：高荷智也

おはようございます！備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、10月7日（木）、本日も備えて参りましょう！

中規模な地震が続いていますね

本日のテーマは「自然現象としての地震・自然災害としての地震」というお話です。

では日本の場合、中規模な地震はどのくらいの頻度で発生しているのでしょうか。
誰でも無料かつ登録不要で使える、気象庁の震度データベースを使って、直近100年間と、直近30年間の、中規模な地震の発生状況について調べてみましょう。
まずは地震の大きさ、マグニチュード基準ですが、
M5以上の中規模な地震…直近100年間で9,456回、直近30年で3,504回発生しています。
M6以上のいわゆる大地震については…直近100年間で1,737回、直近30年で625回発生しています。
冒頭で紹介した通り、直近1ヶ月ほどでマグニチュード5以上の地震が8回発生し、少し不安な感じになりますが、直近30年の平均では、毎月9.7回、マグニチュード5以上の地震が発生していますので、怖い怖いと思いきや、実際には平均程度か、むしろ少し少ない状況と言えます。ちょっと意外だなと思いました。

一方、マグニチュードはあくまでも地震の大きさであり、この回数はつまり、自然現象の発生数です。
問題なのは、その自然現象が災害につながったどうか。その強めの地震がどこで発生したか、そして震度5弱以上の強い揺れにつながったかという点です。
では先ほどと同じく、気象庁の震度データベースで、直近100年・直近30年で生じた、震度5弱以上の、そこそこ強い揺れを感じた、場合によっては被害が生じ始める地震の回数を見てみますと、
震度5弱以上の地震…直近100年間で560回、直近30年で370回発生しています。
1ヶ月平均にすると、毎月約1回、震度5弱以上の地震が発生していることになりますが、直近1ヶ月で発生した震度5弱以上の地震の回数は2回、こちらは確かに、平均の2倍ですから、少し多めと言えます。

つまり、9月以降、なんとなく大きな地震が続いていて不安だなと感じますが、これは自然現象としての地震の回数ではなく、地震計が捉えた強い揺れが少し多いためであることが分かります。
ここ1ヶ月ほど、自然現象としての地震、マグニチュード5以上の地震の回数は、特別増えていません。
一方、震度5弱以上を観測する、人間にとって不都合な、自然災害としての地震は、平均より少し多めになっています。
地球のコンディションに大きな変化はありませんが、たまたま当たり所が悪い状況が続いているのが最近、そういう言い方になります。
そこまで怖がる状況ではないが、当たり所が悪い状況が続く恐れもあるため、家具の固定など、室内の安全対策の確認をして置くに越したことはない、という状況だと言えますね。

ということで、本日は「自然現象としての地震・自然災害としての地震」のお話でございました。

強めの地震が続くとなんとなく不安になりますが、こういうときは、自然現象としての地震が増えているのか、たまたま当たり所の悪い地震が多いだけなのか、この辺りを確認すると気持ちを落ち着けることができます。

もちろん、当チャンネルのコメント欄に質問として投稿いただければ、ネタとしてこれ幸い…もとい、検証してお話させていただきます！

あ、ちなみに全然防災とは関係ありませんが、私本日、10月7日で39歳になりました。30代最後の一年、引き続き、今この瞬間に自然災害で死亡しても悔いの無いよう、精一杯生きて参りたいと思います。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に！