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Voicyそなえるらじお #236 ハイパーインフレが生じると日常生活はどうなるか

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #236 ハイパーインフレが生じると日常生活はどうなるか

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、11月15日(月)、本日も備えて参りましょう!

物が買えなくなる災害の極み

本日のテーマは「ハイパーインフレ」です。

  • 98年前の本日、1923年11月15日、当時ハイパーインフレに苦しんでいたドイツが、レンテンマルクと呼ばれる臨時の通貨を発行しました。
  • 第1次世界大戦で敗戦国となったドイツは、膨大な賠償金を課せられたこともあり、通貨が暴落し、ハイパーインフレ状態に陥っていました。
  • パン一個を購入するために、カバンに詰め込んだ札束が必要になる、というような状況です。
  • こうした状況を立て直すため、各種の工夫がなされて、安定通貨として発行された物がレンテンマルクであり、実際この通貨が発行されてからドイツのハイパーインフレは急速に沈静化し、ようやくハイパーインフレ状態が解消されました。

ハイパーインフレとは

  • ところでハイパーインフレとはなんでしょうか。
  • これは、防災的な言い方をすれば、物が買えなくなるという災害を意味します。
  • 経済的には、急激な勢いで物価上昇が生じたり、通貨の暴落により海外からの輸入ができなくなるような状況がハイパーインフレとなります。
  • ハイパーインフレが発生する原因は様々で、戦争、災害、政治不安、色々ありますが、日本も戦後にはハイパーインフレに見舞われ、多くの国民の財産が紙くずとなりました。
  • 近年では、例えば南米のベネズエラが、現在進行系のハイパーインフレに襲われており、先月10月1日には、通貨の価値を100万分の1にするデノミが実施されたばかりです。
  • ハイパーインフレが日本でも起きるのかどうかは分かりませんが、今回は、ハイパーインフレ対策について考えてみたいと思います。

ベネズエラの状況

  • ハイパーインフレへの備えを考える際には、そもそもハイパーインフレに見舞われるとどうなるのかを知らなければなりません。
  • そこで、現在ハイパーインフレに陥っている、ベネズエラがどのような状況になっているのかをすこしお話します。
  • 現在ベネズエラでは、生活に必要なあらゆる物資が不足しています。
  • 停電、断水などが日常的に発生し、またあらゆるものが不足しているためお店に行っても物を買うことができません。病院にかかることはできますが、処方箋をもらっても薬を入手することができません。食料品や生活必需品も不足しており、政府が価格統制などを行い最低限の物資を、日本で言うところのマイナンバーに紐付けて管理販売していますが、圧倒的にものが足りないため、いわゆる闇市などでなんとか物を入手するような状況…などが、伝えられています。
  • 通貨の暴落により、海外からの輸入が止まり、また基本的にベネズエラの通貨、ボリバルの価値がなくなっているため、米ドル、あるいはビットコインなどの外貨を持っていなければ、まともに物を買うことができない状況ということです。
  • 当然、空き巣、強盗、略奪が横行し、多くの国民はまともに生活することができませんので、海外へ出稼ぎへ行ったり移住をしたり、という方も多く生じています。

日本ではどうなるか

  • では、仮に日本でハイパーインフレが発生したらどうなるのでしょうか。
  • まず、日本円が暴落して無価値になると、海外からの輸入ができなくなります。石油・石炭・天然ガスをはじめとするエネルギーはほぼ全てを輸入でまかなっていますので、これらが入ってこなくなると、停電、断水、あらゆる流通の停止などが連鎖的に広がって行きます。
  • また、食料品、日用品の材料なども海外から購入できなくなりますので、生活に必要なあらゆる物が不足し、価格が暴騰し、店舗ではまともに購入することができなくなります。
  • おそらくハイパーインフレの初期には、大量の生活必需品が、いわゆる転売屋に買い占められ、デジタル闇市的な状況も生まれると思われますが、停電の影響でインターネットがまともに利用できなくなり、また宅配業者も車を動かせなくなりますし、配達途中の盗難などの恐れが高まるため、ネット通販というサービスは成立しなくなるでしょう。
  • すると、物を入手する方法としては、わずかに店舗へ入荷する商品を、長時間並んで購入したり、あちこちに発生する闇商店で、米ドル紙幣を使って買い物をしたり、物々交換をしたり、と言う状況になることが想定されます。
  • このような、とにかく物が買えなくなる、入手できなくなる、というのがハイパーインフレによる、私たちへの生活の直接的な影響となります。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「ハイパーインフレ」のお話でした。

ではどう対策すべきか、というお話は、明日後編としてお話したいと思います。

災害が生じるかどうかは分かりません、ハイパーインフレが日本で発生するかどうかも分かりません。ただ、あり得ないとは言い切れませんので、せめて備え方を知っておくことは重要だと思います。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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