Voicyそなえるらじお #237 ハイパーインフレ対策・資産編…住居はどうなるのか?
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、11月16日(火)、本日も備えて参りましょう!
米ドルを持ちたい
本日のテーマは「ハイパーインフレ対策」です。
- 昨日の放送では、ハイパーインフレという「物が買えなくなる災害」について、お話をいたしました。
- 本日は対策編ということで、このハイパーインフレに対して個人レベルで備えられることがあるのか、考えて参りたいと思います。
- なお、ハイパーインフレが日本で起きるのかどうかは誰にも分かりませんので、その点については考えません、仮に生じたら、という前提で対策を考えたいと思います。
ハイパーインフレ対策の方向性
- ところで、大地震や大規模な風水害が発生すると、人の命はもちろん、住宅、街のインフラなどにも大きな被害が発生します。
- 一方、現在進行系の新型コロナウイルス感染症をはじめとする、パンデミック災害が発生した場合は、住宅やインフラそのものには影響を与えませんが、人の命や人が関わる社会の運営に大きな被害が生じます。
- では、ハイパーインフレが発生すると、何がダメージを受けるのでしょうか。
- ハイパーインフレが発生しても、直接人が死ぬことはありませんし、住宅や都市のインフラが破壊されるということはありません。
- ハイパーインフレが破壊するのは、通貨を用いた経済活動全般、もう少し厳密に言えば日本円を用いた仕組みが破壊されます。個人で言えば日本円で積み立てている預貯金が影響を受けることになります。
- ということは、ハイパーインフレに対する備え方を考える際の方向性は二つあります。
- ひとつはハイパーインフレによって破壊される金融資産を守る対策を講じること。
- そしてもうひとつは、ハイパーインフレによって破壊される通貨を用いたシステムに頼らない生活スタイルを構築することです。
ハイパーインフレに強い資産
- ハイパーインフレが発生すると、日本円の価値が暴落します。そのため、一般的にハイパーインフレ対策として推奨される手段としては、資産を日本円以外で保持するということになります。
- 具体的には、資産の一部を土地や建物などの不動産、金などの貴金属や宝石、企業の株式、そしてドルなどの外貨などで持つことが推奨されています。
- まず住宅、持ち家であれば日本円がどうなろうと影響は受けませんので、住居を確保する意味で住宅を持っておくことは有効です。
- ただ、変動金利の住宅ローンを組んでいる場合、ハイパーインフレにより金利が急上昇すると、金利見直しタイミングで返済額が上がり、支払不能に陥る可能性があります。もちろん、こうした状況を防ぐため、変動金利の場合も返済額が急激に上昇しない仕組みはありますが、これが長期間続くと限界があります。
- ハイパーインフレになると、給与をもらっている場合は賃金も上がって行きますが、ローン返済額上昇と賃金上昇、どちらが早いかによってローン破産するかどうかも定まりますので、ハイパーインフレ対策のことだけを考えるのであれば、固定ローンで住宅を購入したいところです。
- また賃貸住宅の場合は、ハイパーインフレになると家賃が無条件で見直される可能性があります。ただし、日本全国で同時にこのような自体が生じた場合、数千万人が家賃を払えなくなりすみかを失うことになりますが、これでは社会を維持することができませんので、何かしらの法律的な制限が入る可能性もあります。
- また現実問題、日本中で家賃滞納が同時多発的に発生することになりますが、これら全ての方々を物理的に追い出していくことは困難ですので、ハイパーインフレで即住居を失うと言うことにはならないと私は思っています。
- ただ、いずれの場合もハイパーインフレとなると、変動金利で家を購入した方や賃貸住宅に住んでいる方は、長期的に住宅問題が生じるということになりそうです。
株式や貴金属は
- 株式はどうでしょうか。日本円が暴落しても、会社が無事であれば株式の価値が即座に失われることはありませんので、資産の一部を株にしておくことは有効です。ただ、ハイパーインフレともなれば、多くの企業が苦しい状況になり、最悪倒産もあり得ますので、日本株だけを持つことはリスクが高めだろうとは思います。
- また貴金属や宝石類はその価値そのものがなくなるわけではないため有効ですが、ハイパーインフレの状況下において、適切に換金できるかどうかは分かりませんし、金や宝石はお腹の足しにはなりませんので、これらはハイパーインフレ中の生活を守る手段と言うよりは、ハイパーインフレから回復する状況へ残したい資産ではないかと思います。
- ということで、私個人としては、預貯金の一部を米ドルなどの外貨や、外国の株式で持っておくことが、比較的容易にできる資産防衛ではないかと考えています。実際、ハイパーインフレに見舞われた国家の多くでは、価値を失った自国の通貨ではなく、外貨が流通するようなこともありますので、やはり一定のドルを持っておきたいなと考える次第です。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「ハイパーインフレ対策」のお話でした。
防災の話まで行きたかったのですが、少し長くなってしまいましたので、本日は資産防衛編。明日は生活防衛のお話を、完結編と言うことでご紹介したいと思います。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!