Voicyそなえるらじお #238 ポータブル電源&ソーラーパネルはハイパーインフレにも強い
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、11月17日(水)、本日も備えて参りましょう!
電気が自給自足できる世界になったのはすごい
本日のテーマは「ハイパーインフレ対策・最終回」です。
- 前回・前々回の放送では、ハイパーインフレという「物が買えなくなる災害」について、お話をいたしました。昨日の資産防衛対策に続き、今回は最終回、生活防衛編ということで、ハイパーインフレ発生時に生活を守る方法があるのかを、考えて参りたいと思います。
- なお、ハイパーインフレが日本で起きるのかどうかは誰にも分かりませんので、その点については考えません。また日本でハイパーインフレが生じる様な状況で、世界経済が無傷とも思えませんが、今回は、周辺の状況は考えず、何かの理由で日本でハイパーインフレが発生したらどうすべきか、を考えたいと思います。
1個2千円のタマゴを買えますか?
- ハイパーインフレによる生活防衛では、とにかく衣食住をどのように確保するかが重要になります。なお、衣服についてはただちに手持ちのものを失うわけではありませんので、衣食住の衣類をエネルギーのEに変えて、E食住の3つを確保することが重要だと考えます。
- 例えば現在進行系でハイパーインフレに見舞われている南米ベネズエラでは、例えば卵を10個買うと1ドルです。タマゴ1パックで100円、あれ、日本と大して変わらない、なにが問題なのか?と思われるかもしれません。
- しかし、問題なのはこれがドル建てということであり、ベネズエラの労働者の最低賃金をドル換算にすると、月額6ドル、つまり600円だそうなのです。つまり、ハイパーインフレに見舞われているベネズエラでは、1ヶ月働いて、1日2つのタマゴを入手したら、それで給料が吹き飛びます。
- これを日本の感覚にすると、だいたいタマゴ1つが2千円から3千円、10個入りのパックが2~3万円で売られている状況となります。どうでしょうか、どうにもなりませんね。こうした状況に備えるのが、ハイパーインフレに対する生活防衛ということになるのです。
ソーラーパネルとポータブル電源
- ではどうすればよいか、究極的には限りなく自給自足の生活を行えるようにするか、あるいは外貨を直接入手する手段を得ることになります。
- 分かりやすいのは自給自足です。ハイパーインフレ状態になっていると、輸入が難しくなるため、頻繁な停電・断水が発生する可能性が高くなります。例えば節電のため、1週間に1日だけ、電気と水道を使える日を設けて、残りの6日間は計画停電と計画断水にする、などもあり得そうです。
- この場合、安定的に電気を入手する手段としては、ソーラーパネルしかありません。大地震などによる停電対策に、ソーラーパネルと蓄電池の組み合わせは有効ですが、これはハイパーインフレ対策にも極めて有効な手段となります。
- また水の入手についても、例えばベネズエラなどでは川の水をくんで生活用水にするということも行われているそうなのですが、当然日本でもあり得ます。ここは1週間に1度だけ水道が動くことに期待し、しかしそのままでは飲むのには適さない恐れがありますので、非常用の浄水器などを準備しておきたいところです。
- また燃料の入手も難しくなりますが、その辺の里山から薪を拾ってきて煮炊きに使うというのは、現実的ではありません。都市部の場合は、ポータブル電源とソーラーパネルなどを用意しておき、1日かけてバッテリーを充電、電子レンジなどで1日分の食事をなんとか作成して食べる、などぎりぎりな感じになるのではと思われます。
- いずれも、ハイパーインフレよりも可能性が高い、大地震や浸水害などの災害時にも役立ちますので、電気を入手する手段は、ぜひ確保しておきたいところです。
食糧はどうするか
- 問題なのは食糧ですが、食糧の自給はかなり大変です。というより、日本の国土では1億2千万人を養うことはできませんし、輸入なしでは江戸時代の人口ピーク3千万人を即座に養う環境を作ることもできません。農業用の馬も牛もいませんし、燃料や堆肥を得るための里山も整備されていませんし、手動の農具も多くは存在しないからです。
- そのため、ハイパーインフレが長期化し、海外からの輸入ができない状態が長く続きますと、数千万人単位で餓死者が発生するのは避けられません。これを運命として受け止めるか、あるいは対策してあらがうかは考え方次第ですが、では対策するとしたらなにができるのでしょうか。
- まず、地震や水害はもちろん、パンデミックや大規模噴火対策に行う食糧の長期備蓄は有効です。例えば25年保存ができる、究極の備蓄食、サバイバルフーズの場合は、230万円ほどの金額と畳半畳分のスペースがあれば、1年分の食事を備蓄することが可能です。一家四人で1千万円あれば、事前に1年分の食事を用意することも不可能ではありません。
- お金があり余っている方に対しては、ぜひサバイバルフーズを一部屋分積み重ねるような備蓄を行っていただきたいと思います。なおこの時には、ビタミン&ミネラル分が不足しますので、5年保存できるサバイバルフーズ・サプリメントをあわせて備蓄することをオススメします。
- ただ、一般的にこれは無理です。地方の一戸建てであれば、庭を全て掘り返して、ジャガイモ・サツマイモの栽培を行いたいところですが、やはり限度があります。政府からわずかに配給される食糧、闇市場で売られる食べ物、こうしたものをなんとか入手しながら、言い方は悪いですがライバルが減るのをがんばって待つしかありません。
ドルを入手する手段を
- ハイパーインフレにそなえるもうひとつの手段は、外貨を入手するルートを確保しておくことです。日本円が暴落しても、外貨があれば一定の買い物などができる可能性があるからです。
- 海外でハイパーインフレが発生すると、その国では一般庶民は生きて行けませんので、国境を超えて隣国へ逃げて難民となったり、家族の誰かが海外へ出稼ぎへ行き、外貨を送金して何とか国内で買い物をして生きていくことになります。
- しかし日本は島国ですので、国境を越えて逃げることはほぼ不可能です。守りやすい国ですが、つまり脱出も難しいと言うことになります。
- そのため、外国語を使える家族がいる場合は、何としても海外へ出稼ぎへ行き、外貨を稼いで家族に送金するか、あるいは日本国内から外貨を得る手段を準備しなければなりません。
- 例えばYouTuberの方々は、広告収入をGoogleから受け取りますが、この時の報酬はドルベースであり、入金時の為替レートで振り込まれます。ハイパーインフレで日本円が超円安になっている場合は、それなりの金額が振り込まれることになりますので、youtuberになっておくというのも、ひとつの手段かもしれませんが…
- 恐らくハイパーインフレが生じている状況で、YouTubeに広告を出す企業はほとんど無くなっていると思われますので、この方法は難しいかもしれません。
- 結局のところ、エネルギーと食糧の大半を輸入に頼っている日本において、ハイパーインフレが発生した際のまともな対策は取りようがなく、今のうちに自給自足できる拠点を設けることができないのであれば、ひたすらこのような事態が生じないことを祈るしかない…ということになるのです。
- ただ、ポータブル電源、ソーラーパネル、可能な範囲での食糧備蓄などは行っておきたいところですし、無理のない範囲で預金の一部を外貨や、海外株式にしておくことも有効ではないかと思います。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「ハイパーインフレ対策・生活防衛編」のお話でした。
結局できることは、日頃の防災対策をきちんと行うということにつきます。今すぐハイパーインフレが生じるとは思えませんが、ある日突然物が買えなくなるという災害は、他の要因でも生じる恐れがありますので、生活必需品の日常備蓄は、普段からこまめに行って頂きたいなと思います。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!