Voicyそなえるらじお #228 地震火災を起こさない備え、地震火災から避難するポイント
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、11月2日(火)、本日も備えて参りましょう!
月初の自己紹介とちょっとしたお話の日
本日のテーマは「地震火災対策」です。
- 本日は、前々回にお話をいたしました、大地震による恐ろしい二次災害、地震火災から身を守る方法について、考えて参りたいと思います。
- 地震火災対策には2つの方向があります。ひとつは地震火災そのものを発生させないための備え、もうひとつは地震火災が生じてしまった場合の避難への備えです。
- まずは、地震火災を起こさないための備えについてお話をいたします。
地震火災を起こさない対策
- 地震火災の被害を最小限にするためには、とにかく1件でも火災を減らすことが重要になります。
- まずは建物そのものを守ることです。
- 大地震の揺れで建物が倒壊してしまうと、火元になりかねない住宅設備や家電などをもろともまきこんでしまったり、ガス漏れを起こしたり、電気の配線などから出火する原因にもなります。
- また住宅は健全な状態であれば、火災に襲われてもすぐに燃え出すことはありませんが、倒壊してバラバラになると、いわば薪の束状態となりますので、地震火災を大きくすることに繋がります。
- さらに、倒壊した住宅が道路をふさいだりすることで、避難が遅れたり、消防車の通行を妨げたりすることになりますので、とにかく建物を倒壊させないことが、地震火災防止の第一歩となります。
- さらに、室内での火災を抑えるために、家具や家電の転倒防止対策を行ったり、普段からガスコンロやストーブなどの周りに可燃物を置かないようにしたりという、基本的な火災対策も重要です。
- 3.11東日本大震災をはじめとする近年の大地震では、「通電火災」による出火被害も増えています。
通電火災と感震ブレーカー
- 大地震が発生した際に停電が発生し、そのまま緊急避難を行って家を空けて、そのご停電が復旧した際に、転倒したストーブやドライヤーなどが動き出して火災に繋がったり、電気配線がショートして出火したりということが起きています。
- これが、大地震による通電火災です。
- 通電火災を防ぐためには、自宅から避難をする際に、ブレーカーを落としてから自宅を出たり、大地震の揺れで自動的に自宅のブレーカーを遮断してくれる、感震ブレーカーなどの装置を取りつけることが有効です。
- しかし、自宅に大きな被害が生じている場合は、ぜひブレーカーを落としてから避難をしていただきたいのですが、自宅が無事であり、念のために避難を行うような場合は、ブレーカーを落とすと、冷蔵庫や熱帯魚の水槽なども停止するため、それはちょっと困るというご家庭も多いと思います。
- この場合は、配電盤の大元ではなく、部屋別のスイッチのみをいくつか落としたり、発熱する家電のコンセントだけは全て抜いて家を出るなどの対応をしていただきたいと思います。
- また、あらゆる対策を講じても、なにかの原因で火災が発生することはあり得ますので、ぜひ初期消火を行うための道具として、ご家庭に1本、住宅用の消火器を設置していただくことを、強くお進めいたします。
最良の対策は引越
- では、地震火災から避難をするためのポイント、事前対策としてはどのようなことが考えられるのでしょうか。
- まず、大規模な地震火災に発展した場合、100%有効な避難方法という物はありません。
- 究極的には、地震火災が発生しやすい都市部に住むことを避ける、とりわけ木造住宅が密集しており、隣の家との間隔がほとんどないような地域を避けるということが根本的な対策となります。
- 私自身も、もともとは神奈川県川崎市に住んでおりましたが、地震火災に発展した場合は逃げ場がないなと考えまして、現在住んでいる静岡県三島市に引越をおこないました。本気で地震火災の被害を免れるためには、引越をするしか方法はありません。
- とはいえ、全ての方が現在のお家から引っ越せるかといえば、それは難しいのが現実です。この場合に有効な対策としては、大地震が発生した後、できるだけ早く、安全な場所へ避難をするということが考えられます。
地震火災からの避難
- 地震火災からの避難は、とにかく距離を稼ぐことが重要です。
- 通常の火災であれば、消防活動によっていずれ消火されますので、とにかく火元から離れれば安全です。
- しかし地震火災の場合は、同時多発的に火災が発生し、しかも消防活動の限界を超えて延焼するため、燃える物がある限りどこまでも火災が大きくなる恐れがあります。最悪の場合は燃え尽きるのを待つか、雨などが降って自然に鎮火するのを待つか、対策がない可能性もあるわけです。
- さらに、地震火災の規模が大きくなると、火災旋風と呼ばれる炎の竜巻が発生して、大規模な延焼に発展することもあり得ます。
- さて、このような状況で、例えば最寄りの学校の運動場などに避難した場合、どうなるでしょうか。
- 地域で大規模な地震火災が発生した場合、学校の運動場などには多くの避難者がたくさんの荷物を持って詰めかけます。運動場はなにも無ければ炎から身を守る空間を得られますが、避難者でごったがえした場合、避難者自信が可燃物となりますので、決して安全な場所とは言えなくなります。
- 少しこわい言い方をすると、人間は脂肪分が豊富な可燃物であり、しかも表面を髪の毛や衣類などの着火剤で覆われています。避難者が多い空間というのは、むしろ火災の延焼が広がりやすくなる場所と言えるのです。
あゆみを止めてはいけない
- では、もし私が、地震火災の恐れがある場所で被災した場合はどうするか。とにかく歩き続けることを基本します。
- 地震火災は、燃える物がある限り際限なく広がる可能性があり、この場合の燃える物には人間やガソリンを満載した自動車も含まれます。
- 大地震が発生した際には、現在地の周囲360度をよく観察して、火災の煙が発生していないか、夜間であれば空が赤くなっていないかをチェックします。火災の要素が皆無であれば、いつでも移動できる準備はした上でその場に留まることも有効ですが、どこかに火災を確認した場合は、すぐに避難を開始します。
- この時は、最寄りの学校などへ行って一息つくのではなく、私であれば、家族の足が動く限り、火災から離れられる方向へ歩き続けます。
- 移動する方向の決め方としては…
- まず、スマートフォンなどが生きていれば、天気予報サイトで風向きを確認し、できるだけ風上方向を優先。
- また地震の震源地を確認して、震源から離れる方向、すなわち被害が少なく火災の恐れが少ない方向を優先。
- また可能であれば、都心方向ではなく郊外方向を目指すことで、可燃物を減らすことが可能となります。
- こうした要素を組み合わせて、できるだけ安全な方角を目指して、歩き続けます。
- 地震火災から完全に逃れるためには、物理的に燃える物が連続していないエリアまで避難をするしかありません。最寄りの避難場所で一息つくのではなく、できるだけ遠くまで歩いて避難をし続けることが、重要であると考えます。
- そのため、地震火災が想定されている場所に住んでいる場合は、避難用のリュックサックはあまり大きくしすぎず、無理なく背負える重さにしておくことを推奨いたします。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「地震火災対策」のお話でございました。
地震火災に対するハザードマップの整備は、あまり進んでいません。
全国で最も進んだ地震火災ハザードマップは東京都が作成したもので、東京危険度マップという名前で公開されています。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!