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Voicyそなえるらじお #244 マンホールトイレのメリットデメリット、無限に使える訳ではない?

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最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #244 マンホールトイレのメリットデメリット、無限に使える訳ではない?

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、11月26日(金)、本日も備えて参りましょう!

トイレは重要ですが

本日のテーマは「マンホールトイレ」です。

トイレに走っている途中で地震がおきたら、5分後には限界になります

  • 災害で停電や断水が発生した際に、特に問題となるのがトイレ問題です。
  • 仮設トイレを持ってくるまでには、早くても数日の時間が必要となるため、備蓄用の非常用トイレなどを用意しておき、断水後、トイレを誰かに使われてしまう前に、袋を被せてやらなければなりません。
  • ただ、学校の体育館などに設置される避難所などでは、もともと大量のトイレ設備がないこともあり、備蓄用の袋や凝固剤があっても、トイレが足りなかったり、また袋や凝固剤を使ったトイレの使用には手間がかかるため、生活の難易度が上がるという問題があります。
  • そこで近年注目され、避難所の整備などで用意されるようになっている設備が、マンホールトイレです。

マンホールトイレとは

  • マンホールトイレとは、あらかじめ地面の中にトイレ用の穴や配水管を埋めておき、普段はその上を駐車場や広場として活用し、災害時にはその穴の上に、便器とテントなどの目隠しを被せて、トイレを設置することができるようにしている設備のことです。
  • つまり、事前にマンホールトイレの地下設備を埋めておく必要があるため、その辺のマンホールを開ければトイレが作れる、という仕組みではありません。
  • マンホールトイレには、事前に埋めておく構造物の種類によって、いくつかのタイプが存在します。比較的多く使われているのが、「流下型」または「貯留型」と呼ばれているマンホールトイレです。
  • これらは、普段街の中を流れている下水道の近くに、マンホールトイレ用の配水管を埋めまして、その上に何カ所か穴を通しておき、非常時にはその穴の上に、便器とテントなどを被せられるようにしているものです。
  • そして、配水管には水を流せるようにしておき、定期的に水を流すことで、配水管にたまった排泄物を、下水道の本管に押し流すようになっています。そのため、マンホールトイレという名前ですが、流すための水をどこからか調達しなければ、排泄物で溢れて使えなくなってしまうのです。
  • そのため、「流下型」「貯留型」のマンホールトイレ用配水管が埋められるのは、学校のプール、雨水のタンク、非常用の井戸など、トイレを流すための水源を確保できる場所の近くが多くなっています。

下水直上の物もある

  • また、設置条件は厳しめですが、災害時に利用しやすい「本管直結型」と呼ばれるマンホールトイレもあります。
  • これは、普段から使用されている下水道の真上に、トイレ用の穴を確保する仕組みで、日頃から下水道に流れている水を直接利用することができるため、マンホールトイレ用の水源を確保する必要が無い、というメリットがあります。
  • ただ、設置できる場所などが限られるため、後から準備する場合は、別に流すための水を用意しておく必要がある、「流下型」「貯留型」のマンホールトイレが多く整備されています。

メリット

  • マンホールトイレのメリットは、普段の使い勝手に近い洋式トイレを、災害時に素早く設置できることです。仮設トイレは、設備が大がかりになりますので、持って来て設置するまでに時間がかかりますが、
  • マンホールトイレの場合、排泄物を処理する部分は、あらかじめ地下に埋めてありますので、用意すべきものが簡易便器と目隠し用のテントだけで済み、避難所などでも簡単に備蓄しておけ、また組み立ても簡単という点がメリットです。
  • また、トイレの下に汚物タンクが必要な仮設トイレと異なり、マンホールトイレは設備を埋め込んである地面の真上に便器を設置しますので、段差ができないという点もメリットです。足の悪い方、子ども、車椅子の方でも利用しやすいというのは強みと言えます。
  • さらに、備蓄用の非常用トイレをつかう場合は、排泄物を受け止めた袋を、しばらく保管し続ける必要がありますが、マンホールトイレは擬似的な水洗トイレですので、衛生状態を保ちやすいという点も、メリットになります。

デメリット

  • とはいえ、いいことばかりではありません。
  • まず、地下に設備を埋めておく必要がありますので、設置には手間とコストがかかります。予算がなければ準備ができないということになります。
  • 当然ながら埋めてある設備は移動できませんので、他の被災地へ運んで活用するということはできず、これも予算的な制約を受ける要因となります。
  • さらに、津波や洪水でマンホールトイレ周辺が水没すると、当然ながら使用することはできません。浸水の恐れがない地域でなければ使えないと言うことになります。浸水しない地域の場合も、トイレの上に被せるテントなどが簡易的なものの場合は、強風が吹くと吹き飛ばされる可能性がありますので、これも利用時に注意が必要です。
  • また、普及している「流下型」「貯留型」のマンホールトイレには、流すための水が必要になりますので、無限に使えるわけではありませんし、水がなくなれば利用することができなくなってしまいます。
  • 永遠に使い続けるトイレではなく、他のトイレや設備と併用することが重要だと言うことですね。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「マンホールトイレ」のお話でした。

いろいろと制約もあるマンホールトイレですが、それでもデメリットを上回るメリットが多くありますので、今後様々な設備に、あらかじめ埋込がなされるようになると良いなと思います。

また、設営が簡単とは言え、誰にでも設置ができたり、運用ができたりするものではありませんので、お住まいの街の自治体等が主催する防災訓練などで、マンホールトイレに触れるきっかけがあれば、ぜひ設営訓練などに参加していただきたいと思います。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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