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Voicyそなえるらじお #231 津波避難3つのパターンと、ハザードマップが招く落とし穴

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #231 津波避難3つのパターンと、ハザードマップが招く落とし穴

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、11月8日(月)、本日も備えて参りましょう!

法律で定められている「津波防災の日」

本日のテーマは「津波避難」です。

  • 先週末11月5日は、津波防災の日でした。
  • 津波防災の日には、全国で津波に関する啓蒙活動や、避難訓練などが実施されていますが、津波防災の日はなんとなく定められている記念日などではなく、法律で定められている項目です。
  • 2011年(平成23年)に制定された「津波対策の推進に関する法律」というものがあり、この法律の中で毎年11月5日を「津波防災の日」にすると定められています。
  • なぜ11月5日なのか。ひとつの理由は、1854年(嘉永7年)11月5日の夕方16時半頃に発生した、前々回の南海トラフ地震、安政南海地震で大規模な津波被害が発生した日が11月5日だからです。
  • もうひとつの理由は、この津波によって生まれた経験談、「稲むらの火」にちなんでいることがあげられます。
  • 安政南海地震では大規模な津波が発生しましたが、例えば現在の和歌山県広川町(ひろがわちょう)では、村人の避難誘導を行うために、高台にあった田んぼの、刈り取ったばかりの稲の束・稲むらに火を付けて、津波の襲来を知らせました。この火を、火災だと思って集まって来た村人が津波被害をまぬがれた、という故事、通称「稲むらの火」にちなんで、11月5日が津波防災の日に制定されています。

質問回答

  • さて、今回の放送では、『#228 地震火災を起こさない備えと、避難するためのポイント』のコメントに投稿をいただいたご質問、
  • 「地震後の津波避難のタイミングが分からず悩んでおります。」
  • 「地震が長引いた場合や複数回に渡り起きた場合は、外に出るのが怖くなり避難できないのではないかと心配しております。」
  • というご質問への回答を含め、津波避難に関する注意点についてお話をしたいと思います。ねこひげさん、ご質問投稿をありがとうございます!

まずは津波ハザードマップを確認

  • 津波避難を考える際には、まず大前提として、避難の必要があるかどうかを確認しておくことが求められます。
  • 津波ハザードマップを見て、自宅が津波の浸水想定区域に入っている場合で、そのまま自宅に留まると命にかかわる場合は避難が必須です。
  • 例えば自宅の部屋が水没する深さまで津波が来る場合、また木造住宅の場合などは、その場に留まると命を落とす危険があります。この場合は、ハザードマップに示されている安全な場所まで、水平避難・立退き避難を行うことになります。
  • また避難場所までの距離が長く、避難が間に合わないと想定される場合は、最寄りにある津波避難ビル・津波避難タワーなど、鉄筋コンクリート製などの頑丈な建物の中に逃げる、垂直避難を行うこともあり得ます。
  • さらに、津波の浸水想定区域であっても、鉄筋コンクリートのマンションなどに住んでいて、津波がこない高さの部屋に住んでいる場合は、そのまま自宅に留まる在宅避難をする場合もあります。ただ、この場合は津波が引いた後長期間孤立する恐れもあるため、日頃から備蓄品を多めに確保することが重要です。
  • 遠くへ逃げるか、建物の上に逃げるか、自宅に留まるか、まずハザードマップで方針を定めておくことが津波避難計画のスタートです。
  • ちなみにご質問をくださった、ねこひげさんの場合は、津波浸水はギリギリまぬがれるエリアだが、洪水では最大3m浸水するエリアということですので、
  • もし私の場合であれば、自宅がマンションの3階以上であればその場に留まる、マンションの1F・2Fまた木造住宅の場合は、基本は在宅避難だがいつでも自宅を飛び出せる準備はしておく、という方針を立てるかなと思います。

津波避難を開始するタイミング

  • では、津波からの避難が必要な場所に住んでいる場合、これを開始するタイミングはいつでしょうか。
  • 基本的には、地震を感じたらすぐに避難開始、が原則です。
  • 現在気象庁では、地震が発生した際には、その規模や位置をすぐに特定し、即座に津波の高さを予測し、通常3分、最短2分で津波警報などを発表する体制を取っています。
  • そのため、大きな地震が発生した場合は、地震の揺れが収まった頃、あるいはまだ揺れている最中に、大津波警報・津波警報・津波注意報のいずれかが発表される可能性が高いということになります。
  • そのため、地震の後、テレビ・ラジオ・スマホ・地域の防災行政無線などから、津波警報などが発表された場合は、即座に避難を開始することが重要です。
  • また津波は、現在地で地震の揺れを感じていない場合でも、遠くからやってきたり、また地震以外の原因で発生することもあり得ますので、津波に関する避難の情報を見聞きした場合は、とにかく避難をはじめるということが重要です。
  • もちろん、地震直後に、津波の発生はない、という情報が気象庁から発表された場合は、避難の必要はありません。
  • ただし、地震の後、より大きな地震、あるいは他の場所での地震が誘発される恐れもありますので、念のためにすぐ避難を開始できる準備は、しておくのがよいです。

津波がすぐ来るケース

  • 一方、近い将来の発生が想定されている南海トラフ巨大地震をはじめ、地震の発生した場所によっては、地震発生後数分で津波の第一波が到達する恐れがあります。
  • 1993年に発生した北海道南西沖地震、通称奥尻島地震の際には、地震発生後、最短3分で津波の第一波が到達して大きな被害が発生しました。
  • じつはこの奥尻島、10年前の1983年に発生した日本海中部地震でも津波が襲来していたのですが、この時は地震発生から20~30分後に津波が到達していました。
  • この時の記憶がある方々は、1993年の地震の際にも、10分程度の余裕はありそうだということで、荷物をまとめたり車を取りに行ったり、などの行動を取ったのですが、津波が数分で到達したために、避難が間に合わずに命を落とされたというケースが生じています。
  • 例えばいま、全国で津波ハザードマップが整備され、地域によっては津波の到達時間なども示されるようになっています。
  • ただ、これはあくまでも、想定されている地震が発生した場合の到達時間であり、より近い場所で津波が発生した場合は、想定時間より早く津波に巻きこまれる恐れがあります。
  • そのため、津波避難が必要な場所にお住まいの場合は、基本的には揺れが収まり次第すぐに避難開始、避難をしなくてよいのは、テレビ・ラジオ・スマートフォンなどで、気象庁から「津波の発生はありません」という情報が出た場合に限る、という心構えが重要になります。 

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「津波避難」のお話でした。

自宅だけでなく、仕事やレジャーで海辺にお出かけの際には、現在地の標高や、津波の状況などをぜひ確認するようにしてください。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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