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Voicyそなえるらじお #255 米国で生じた最悪レベルの竜巻災害、日本で注意することは?

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #255 米国で生じた最悪レベルの竜巻災害、日本で注意することは?

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、12月13日(月)、本日も備えて参りましょう!

竜巻銀座・アメリカ

本日のテーマは「竜巻対策」です。

  • 先週末にアメリカ南部の広い範囲で、同時多発的な竜巻発生が生じ、甚大な被害が生じていると報道されています。
  • 竜巻が発生したのは、アメリカの現地時間で10日金曜日の夜から11日土曜日にかけての時間帯で、数百件の竜巻または強風が数百キロ圏内で同時多発的に発生、被害の全貌はまだ明らかにはなっていませんが、多くの建物が根こそぎ破壊され、100名を超える死亡者が生じている恐れも報道されています。
  • 竜巻の強さは、EFスケール・改良藤田スケールと呼ばれる指標で表現され、軽微な被害のEF0から鉄筋コンクリートの建物まで破壊されるEF5までの6段階ありますが、現時点では最低でもEF3の竜巻が発生、今後の現地調査ではEF4・EF5という記録的なスケール判定がなされる可能性もあるということです。

大気上の状態が不安定になるとゲリラ豪雨と竜巻が生じる

  • 竜巻は、「大気の状態が不安定」な時によく発生します。
  • 大気の状態が不安定とは、日本の天気予報でもよく耳にする言葉ですが、具体的には、温かい空気が地上付近にあり、冷たい空気が上空付近にあると、この大気が不安定という状態になります。
  • 空気にしても水にしても、温めると上昇し、冷やすと下降します。ということは、上空が冷たくなり、地上が暖かくなると、地上付近の暖かい空気が上昇して大気を激しくかき混ぜます。この時に生まれる物が、巨大な積乱雲・入道雲です。
  • 夏の夕方に積乱雲が生まれて夕立…近年では、ゲリラ豪雨などの災害になっていますが、これ生じるのはまさにこの、大気の状態が不安定になるからです。夏の日差しで地上の空気が暖められ、これが上昇する時に積乱雲が生まれ、そして夕立がザーッと降るとことで地上が冷やされ、大気が安定状態となって積乱雲が消滅します。
  • 竜巻も、その多くは積乱雲から生まれる自然現象ですので、大気の状態が不安定になると発生しやすくなります。
  • 今回のアメリカでの竜巻は、12月にしては記録的な暑さになっていたアメリカ南部に、北極圏から強烈な寒気が浸入することで、地上は真夏並みの気温、上空は真冬並みの気温と、極めて大気が不安定な状態となり、積乱雲を作る条件が完璧に整い、とんでもない数の竜巻が同時多発的に発生したということなのです。

竜巻対策は難しい

  • 竜巻対策は難しいです。当チャンネル、そなえるラジオの #107『難しい竜巻への備えと発生時の避難行動』もお話をしましたが、
  • 竜巻は発生からピークまでの時間が短く、また発生する範囲も狭いため、リアルタイムかつピンポイントで予測や警報を出すことが難しい現象です。
  • すぐ近くで竜巻を察知した場合、竜巻の移動速度は数十キロ、特に大型他の物は時速100キロ近くで移動するなど、自動車並の速度になりますので、気づいてからの避難では間に合わないということもあります。
  • 大地震による津波から逃げる場合は高い場所が鉄則ですが、竜巻から身を守る場合は地下が最も安全ですので、アメリカでは、竜巻からの水平避難が間に合わない場合に逃げ込む最後の場所として、地下室などが一般住宅でも多く広まっています。
  • 日本で過去に生じて観測された竜巻のうち、もっとも強かったものは、改良藤田スケール・EF3が最高です。EF3の竜巻は、風速で言えば時速200キロ以上となり、自動車や基礎の弱い住宅が飛んで行くレベルです。
  • このレベルの竜巻から身を守るためには、戸建てであれば自宅の一階で、できるだけ窓のない部屋や廊下、トイレなどで布団をかぶって縮こまる。お風呂場に水を張っていなければ浴槽の中で小さくなる等の対策が。
  • またマンションなどの建物は、それ自体が吹き飛ばされる恐れはすくないですが、窓ガラスなどが砕けて大変な状態になりますので、やはりできるだけ建物中央 の窓ガラスのない場所で縮こまるなどが必要です。
  • また屋外にいる場合、自動車やプレハブ小屋、倉庫等に逃げ込むと確実に吹き飛ばされて即死しますので、時間があれば地下に潜る、コンクリートの建物に逃げ込む、どうにもならなければ、道路脇などでうずくまって姿勢を低くして祈る、ということしかできることがありません。

アメリカは竜巻もアメリカサイズ

  • 一方、今回のアメリカの竜巻では、改良藤田スケールでEF4・EF5の最大規模の値が指定される可能性があるということですが、
  • EF4・EF5クラスになると、風速は時速300キロを超え、進路上にあった木造住宅は完全に破壊され、全ての自動車は吹き飛ばされ、また鉄筋コンクリートの建物にも損害が生じるということで、地下室以外に安全な場所がなくなります。
  • 現地の報道写真などを見ますと、ちょうど、3.11東日本大震災の津波の直撃を受けた被災地と同じような状況になっていることが分かります。おそらくそこに、何かがあったことしか分からない、上にあった建物が完全になくなっている、という状況です。まさに空からやってくる津波という状況であり、今後全貌が明らかになるにつれて、被害の大きさが報道されることになると思われます。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「竜巻対策」のお話でございました。

ちなみに日本でも竜巻は起こります。アメリカほど巨大な竜巻が生じることは極めて希か、起きたことはありませんが、面積辺りの発生頻度は、アメリカの半分程度と意外と多いのです。

日本の竜巻シーズンは、8月・9月・10月と台風シーズンと重なっていますが、台風と異なりまったく生じない時期という物はないため、竜巻に関する注意報などが呼びかけられている際には、すこし気にして頂きたいなと思います。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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