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Voicyそなえるらじお #259 その日首都圏は思い出した…大地震の恐怖と屈辱を

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #259 その日首都圏は思い出した…大地震の恐怖と屈辱を

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、12月17日(金)、本日も備えて参りましょう!

高度経済成長を支えた、地震のない東京

本日のテーマは「千葉県東方沖地震」です。

  • 本日12月17日は、34年前に千葉県東方沖地震が発生した日です。
  • 1987年(昭和62年)12月17日、お昼前の11時8分、千葉県東方沖を震源とする、最大震度5、マグニチュード6.7の強い地震が発生しました。
  • この地震により、千葉県の太平洋沿岸地域だけでなく、千葉県全域にわたり被害が発生しました。
  • 死者2名・重軽傷者150名弱の人的被害と、家屋の全壊16棟・一部損壊6万棟以上、また屋根瓦の落下、ブロック塀の倒壊、がけ崩れや液状化などの被害が、千葉県の広い範囲で発生しています。

忘れていた地震

  • 千葉県東方沖地震は、幸いにして大都市直下で発生したものではなかったため、大震災というような被害には到りませんでしたが、それ以上に注目された地震でした。
  • それは、首都圏の広い範囲で被害が発生した地震としては、1923年の関東大震災とその余震以来であったこと、特に首都圏の都市部で死者が発生した地震としては戦後初となったことから、
  • まさに「天災は忘れた頃にやってくる」を表現した地震として、大きな注目を集めたのです。その日、日本人は思い出した、大地震に支配されていた恐怖を、地震の巣の中に捕らわれていた屈辱を、それが千葉県東方沖地震だったのですね。

経済成長と地震

  • 戦後日本は、奇跡的な経済成長を遂げました。
  • もちろんこの間も、全国各地で大きな地震被害に見舞われています。
  • 1946年の昭和南海地震
  • 1948年の福井地震
  • 1964年の新潟地震
  • 1968年の十勝沖地震
  • 1978年の宮城県沖地震
  • 1983年の日本海中部地震
  • などは、特に大きな被害をもたらした地震として記録されていますが、いずれも首都圏および、名古屋・大阪といった大都市圏が被災地になることはありませんでした。
  • 戦後の日本を支えた経済成長の背景のひとつに、東京が大地震に見舞われることがなかったから、という側面はあろうかと個人的には思っております。
  • 東京は、1923年の関東大震災、1945年の東京大空襲で焼け野原となりました。そしてその後、東京では大規模な延焼火災が発生しなかったため、再び燃えやすい超過密都市として再生しています。
  • そういえば東京は危ない街だった、そういえば地震や火災でなんども焼け野原になってきた、そうした歴史を思い出させたきっかけのひとつが、1987年の千葉県東方沖地震だったのです。
  • 直接的な地震被害を経験しないまま、東京は戦後の焼け野原から、再び超過密都市として再生しました。
  • そして今、首都直下地震はいつ発生してもおかしくないと想定されていますが、その最大の被害要因は火災です。
  • かつての関東大震災や東京大空襲、そうした大規模災害と同じような被害が、次の首都直下地震でも繰り返そうとしている、それが東京の現実と言うことになります。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「千葉県東方沖地震」のお話でございました。

最近、日本中で中規模な地震が多いような気がしますが、直近20年ほどの地震の数を実際に数えてみますと、平均並みかやや少ない程度で、それほど珍しい状況にはなっていません。

震度1以上を観測した、マグニチュード5以上の少し大きめの地震の数は、2000年以降の平均で毎年101回発生しています。なお、2011年だけは多すぎるため、この年だけ省いた平均です。

一方今年、2021年は、12月14日現在で89回の、少し大きめの地震が発生しています。年平均101回と比較すると、まぁまぁ平年並み程度かなというところです。

大地震はいつでもやってきます。首都直下地震もまったなしです。しかし、地震の予知はできませんし、大地震の前触れを掴むこともできません。最大限準備をして、冷静に備える。最近地震が多いなと不安になる時は、例年との比較を数字でしてみる。そうした落ち着いた行動が大切だと思っております。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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