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Voicyそなえるらじお #253 津波は海水ではなく流動する瓦礫の山、ライフジャケットは併用手段

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #253 津波は海水ではなく流動する瓦礫の山、ライフジャケットは併用手段

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、12月9日(木)、本日も備えて参りましょう!

ガレキ流動体

本日のテーマは「津波避難」です。

  • 今回は、コメント欄にお寄せいただいた質問への回答です。
  • ご質問は、津波からの避難に関する内容でした。
  • 『建物が海岸沿いにあり、津波ハザードマップでは3m以上の浸水と想定され、地震発生から40分後に津波が到達します。市内には川が多く、橋を渡らないと高台へ避難できない環境です。このような場合、ライフジャケットや高速道路の高架橋等に避難することは、ひとつの手段になり得るでしょうか。』
  • というご質問でした。コメントを投稿くださいました、深夜のトレーラーさん、誠にありがとうございます!

津波避難の考え方

  • 津波避難の大原則は、とにもかくにも高い所への避難、水に浸からないようにすることが最重要であり、その他の対策は「合わせ技」や「念のため」になります。
  • ライフジャケット、あるいはゴムボートといった装備は、避難対策をあわせて準備するならば、生存率を高める効果が得られるかもしれませんが、それ単体で準備をやめてはいけない、という対象になります。
  • 深夜のトレーラーさんの場合、建物が津波の3m浸水地域にあると言うことですので、緊急避難の対象となります。地震の揺れを感じた場合や、スマホ・カーラジオ・テレビなどで津波注意報・警報・特別警報を見聞きした場合、特に津波警報・津波特別警報が発令した場合は、避難場所へ逃げなくてはなりません。
  • 一方、津波の到達予想時間は40分ということですが、津波到達までの時間や津波の高さの予想は、あくまでもひとつの地震や津波モデルによる予測結果ですので、実際には、これより早く津波が到達したり、逆に時間がかかったり、またより大きな津波が到達したり、逆に小さかったりする可能性もあります。
  • そのためハザードマップで津波浸水の恐れがある地域に建物がある場合は、地震の揺れを感じた場合や、遠方の地震で津波に関する警報がでた場合は、速やかに避難を開始、津波の恐れがありませんと発表がでるまでは、避難行動を継続することが原則になります。

自動車も使おう

  • 津波からの避難方法は、ひとつではありません。使える物は全て使う、準備できることは全てするといった、複合的な計画が重要です。
  • 例えば自動車、津波避難時に車を使うかどうかについては、賛否両論があります。私の考えとしては、使えるならドンドン使ったらよいと思います。
  • 避難を開始する時点で、すでに建物の前の道路が渋滞している状況であれば、車を使わずに走って逃げることになりますが、避難場所まで距離がある場合は、少なくとも車が走れる場所までは自動車で移動すればよいのです。
  • ただし、渋滞に捕まった場合は、即座に車を捨てて逃げ出す覚悟が必須です。車を捨てられないのであれば、最初から乗るべきではありませんし、動かなくなったらすぐに走って逃げると決めて実行できるなら、移動できるところまでは車をを使うのがよいと思います。
  • 具体的には、渋滞に捕まった瞬間、車両を道路の端に寄せて、鍵を着けたまま、ロックせずに走って逃げ出す覚悟が必要です。これは、結果的に津波がそこまで到着せずに済んだ場合、緊急車両などを通すために乗り捨てられた車を移動させるために必要な処置です。
  • 鍵を外して逃げた場合、力ずくで車を移動させられますので、かなりひどいことになります。もちろん盗難にあうリスクはありますが、それが嫌ならば、最初から車による避難をするべきではありません。

使えるものは全て使う

  • また、ご質問者様の環境では、身近に高台がないということですが、高速道路の高架橋などは、避難先になります。
  • 高速道路のバス停留所などがある場合は、地上と行き来する階段がありますのでそれを使うことができますし、最近は高速道路や高架橋を津波の避難場所として活用できるように、周囲に避難場所がない地域を通る高速道路に、避難用の階段やスロープなどをつける試みも広がっています。
  • 高台がない場合は、近所にあるマンション、立体駐車場、高架道路、なんでも構いません、とにかく利用できそうな施設は全てチェックをしておいて、非常時に駆け上がれる高くて頑丈な場所を、ぜひ確認しておいてください。

ライフジャケットは併用手段

  • またライフジャケットですが、避難時に安全性を高めるために着用することは構いませんが、ライフジャケットがあれば避難しなくてよくなるのか、といえばそうでは有りません。
  • あくまでも、ライフジャケットや救命胴衣の着用は、どうにもならなかった場合、つまり避難途中に津波に追いつかれた場合や、津波の高さが想定より高く、避難した先が沈んでしまった場合の、最後の手段です。
  • まずは逃げる計画が必須、そして想定を超える事態になった場合に、わずかでも命を守る可能性を高める手段として、ライフジャケットなどを併用することになります。
  • 津波が運んでくるのは海水だけではありません。
  • 海岸から自分のいる場所までにあった、動く物を全て巻きこみながら津波は移動してきます。船、自動車、あらゆる屋外設備、物置、破壊された住宅、様々な家具、危険物、さらにはガソリンまで。津波は海水ではなく、流動性を持った移動する瓦礫の山だと思ってください。
  • ライフジャケットを着用していても、ガレキに巻きこまれれば助かりません。運良く海水だけに浸かった場合に、生存率を高めてくれるアイテムです。とにかく避難をすることが最優先、登れそうな場所をできるだけ多く把握し、あらゆる手段で移動してください。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「津波避難」のお話でございました。

昨今、国内で群発地震や、マグニチュード5前後の中規模な地震が相次いでいます。地震は避けられない災害です。津波の恐れがある地域にお住まいの場合は、今のうちにハザードマップの確認と、逃げられそうな場所のチェックをしてください。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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