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Voicyそなえるらじお #83『富士山噴火ハザードマップ改訂・煽りコンテンツには注意』

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #83『富士山噴火ハザードマップ改訂・煽りコンテンツには注意』

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、3月29日(月)、本日も備えて参りましょう!

ハザードマップの最大想定について

今日のテーマは「ハザードマップ」です。

先日、山梨・静岡・神奈川県などでつくる「富士山 火山防災 対策協議会」が、富士山噴火時のハザードマップを改定したと発表しました。

  • 従来のハザードマップは、国が2004年に策定したもので、17年ぶりに改訂されました。
  • 新しい富士山噴火ハザードマップでは、溶岩流や火砕流などが到達するエリアが広がったり、溶岩の到達予想時間が10時間程度早まった地域などがあるということです。
  • 今回の想定見直しでは、富士山で生じた噴火について、過去5600年間のデータを元にして、
  • 火口が生じる範囲を、富士山の山頂から半径4キロ以内全域にするなど広く設定したり、
  • 溶岩の想定噴出量を、過去最大規模の噴火を最大に従来の2倍程度に設定したり、
  • 噴火直後に襲ってくる恐ろしい現象、火砕流についても従来の4倍の規模にしたり、
  • また地形データも2004年の策定時と比べて詳細なものを用いるなど、
  • 全体的に被害想定を大きめにして、地図の改訂ががなされております。

新しいハザードマップでは

  • 従来の「富士山噴火ハザードマップ」では、例えば溶岩流の到達範囲は、静岡県・山梨県に限られていましたが、
  • 今回見直しがなされた、新しい「富士山噴火時のハザードマップ」では、例えば神奈川県相模原市には噴火から9日後、神奈川県小田原市には噴火から17日後に溶岩流が到達するなど、被害の範囲が広がっています。
  • また、富士山の麓、山梨県富士吉田市の市街地へは溶岩流が噴火から2時間で到達、東海道新幹線には5時間後に溶岩流が到達するなど、近隣自治体の被害想定も見直しがされています。
  • 今後、より詳しいハザードマップを、各自治体が作成していくことになるようです。

毎年見直しを

  • ハザードマップは、噴火だけでなく、津波・高潮・洪水・内水氾濫・土砂災害・地震火災など、様々な災害に対して作成されています。
  • また被害想定は定期的に見直しが行われますので、ハザードマップも一度見ればOKということではなく、毎年地図が更新されていないか、確認を行い、自宅周辺に危険が生じる場合には、災害の種類ごとに避難場所をチェックしておくことが重要です。
  • 特に毎年、新年度になった後、水害シーズンに入る前、4月から5月頃にハザードマップの確認を行うのがおすすめです。

煽りコンテンツに注意

  • また、ハザードマップが改訂されますと、いろいろ、よからぬ「煽りコンテンツ」や「過剰反応ニュース」を、SNSやインターネットメディアで見かけることがあります。
  • 例えば今回の「冨士山噴火ハザードマップ」では、神奈川県などへの溶岩流到達という新しいトピックが入りましたので、「富士山噴火で静岡・山梨・神奈川壊滅か!助かりたければこのパワーストーンを購入すべし!」といった、しょうもない記事が出てくるかもしれません。
  • ハザードマップは、最悪の状況を想定した地図です。
  • 富士山噴火ハザードマップの場合も、かなり広範囲に溶岩流の到達地域などが記されていますが、これは最悪の噴火が発生した場合の想定です。
  • 次の噴火が、この最悪の噴火になるかどうかは分かりません。備えておくことは重要ですが、あまり過剰に心配しすぎないことも重要です。
  • またハザードマップは、基本的に複数の被害ケースを重ね合わせて表示します。
  • 例えば富士山の場合、噴火は山の山頂から起きるとは限りません。噴火の火口がどこ方向にできるかによって、被害を受ける地域は変わります。
  • 今回のハザードマップでも、地図に示された全ての範囲に、同時に溶岩などが押し寄せることはありません。例えば山梨県側から噴火した場合、富士吉田市などはハザードマップの想定通り大きな被害を受ける可能性がありますが、静岡県側の東海道新幹線などは無傷という可能性もあります。
  • あるいは、小田原市が大きく被害を受ける方向、富士山の東側から噴火した場合、今度は山梨県などはほとんど影響なし、という可能性もあるわけです。

噴火のタイプも二つありまして

  • またそのたの煽りコンテンツ例として、例えば、「富士山の令和噴火!火山灰で首都圏壊滅、さらに静岡・山梨・神奈川は溶岩に埋め尽くされて地獄に!助かりたければこの壺を購入すべし!」といった、やはりしょうもない記事が出てくるかもしれません。
  • さらに有史以来の大規模な富士山噴火では、大きく分けると、火山灰が大量に噴き出し、首都圏などにも大きな影響を生じさせた、1707年の宝永噴火タイプと、
  • 溶岩流が大量に流出し、青木ヶ原樹海などを生み出すきっかけとなった864年の貞観噴火タイプの2つがあり、
  • 大量の溶岩と大量の火山灰が死ぬほどたくさん出て来た噴火、は最近発生しておりません。
  • 最大限の被害に備えることは重要ですが、どうしようもないインターネットの煽り記事などに惑わされることのないよう、情報の内容についてはぜひ見極めるようにしてください。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「富士山噴火ハザードマップ改訂」のお話でした。大地震より頻度は低いですが、日本は世界有数の火山大国でもあります。噴火ハザードマップがあるということは、噴火の危険があるということです。周辺にお住まいの場合は、他人事と思わず、ぜひ資料の確認を行うようにしてください。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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