Voicyそなえるらじお #95『2016年熊本地震、死者の8割は「地震後」の関連死』
最終更新日:
執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、4月14日(水)、本日も備えて参りましょう!
2016年熊本地震
本日のテーマは「2016年熊本地震」です。
ちょうど5年前の本日、2016年4月14日、夜21時26分、熊本県熊本地方の深さ11kmを震源とする、最大震度7、マグニチュード6.5の大地震が発生しました。
- 「平成28年(2016年)熊本地震」の発生です。
- 熊本地震、最大の特徴は、1回目の大地震の28時間後、4月16日の深夜、1時25分に、最大震度7・マグニチュード7.3の2回目の大地震が発生したことです。
- マグニチュード6から7クラスの大地震が連続することは、2011年の東日本大震災でも経験していましたが、一連の地震活動の中で、同一の市町村が震度7の揺れを2度連続して受けたことは、観測史上初めてとなりました。
- 熊本地震では、この2回の大地震以外にも余震が活発に発生し、
- 1回目の地震の約40分後に、震度6弱の地震が、
- その2時間後には震度6強の地震が、
- さらに3分後には震度5強の地震が発生し、
- そして翌日、震度7の、2回目の本震が発生、
- その20分後、4月16日の1時45分には震度6弱の地震が、
- 1時間後には震度5強の地震が、
- さらに1時間後にも震度6強の地震が、
- そして16日の朝9時48分には震度6弱の地震が発生するなど、
- わずか2日の間に、震度5強が2回、6弱が3回、6強が2回、そして震度7が2回発生するなど、とにかく強い揺れが発生し続け、1回目の揺れに耐えた建物が相次ぐ地震の揺れで倒壊するなど、被害が拡大しました。
- その後、地震から約半年後、2016年の10月末までの期間に、4,000回を超える震度1以上の地震が発生するなど、長期間にわたり余震活動が続いたことも熊本地震の特徴です。
熊本地震による被害
- この、すさまじい、地震の揺れにより、激しい揺れに見舞われた地域では多くの建物が倒壊した他、道路、電気、水道、通信設備などのインフラにも多大な影響が発生しました。
- また南阿蘇村では、地震により発生した土砂災害によっても、人的被害・住宅被害・道路の破壊など、甚大な被害が発生しています。
- さらに追い打ちをかけるように、地震から約2ヶ月後、6月19日ごろから降り続いた大雨の影響で、土砂災害各地で頻発し、二次的な地震被害をもたらしていいます。
- この一連の災害により、地震の直接的な影響で50名の方が命を落とし、
- 6月19日からの豪雨で5名の方が命を落とし、
- さらに避難生活などによる、いわゆる「災害関連死」で、217名の方が命を落とされています。
- 死者の8割が、地震や二次災害による直接的な影響ではなく、一度助かった後の被災生活が原因となっていることも、熊本地震の大きな特徴のひとつと言えます。
- なお、地震そのもので命を落とされた方の死因としては、
- 38名が家屋の倒壊や家具の転倒で、
- 10名が土砂災害に巻きこまれて、
- 1名が火災の影響で、
- 亡くなられていることが分かっています。
- 多くの方が家屋倒壊や家具の転倒に巻きこまれていますが、倒壊した家屋の少なくとも8割は、1981年6月1日より前の基準で立てられている、いわゆる「旧耐震基準」の建物であり、地震対策のキホンとして、最低でも「新耐震基準」の頑丈な家に住むことが重要であることが、明らかになっています。
- また、同じく亡くなられた方の、すくなくとも9割の方は2階建て以上の建物に住んでおり、このうち7割の方は、1階で寝ているところを潰されて亡くなられています。古い木造住宅に住まざるを得ない場合は、できるだけ、せめて近くで大きな地震が起きた1週間程度の期間は、2階で寝起きするようにすることも、応急的な地震対策としては有効と言えます。
※上記の被害状況については、以下の資料を参照にしています。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「2016年・熊本地震」の、まずは被害状況に関するお話でした。
新しい建物に住むこと、家具をきちんと固定すること、こうした最低限の対策を行うだけで、地震による即死の可能性は大きく下げることができます。水や食料の備蓄が役立つのは、地震で即死しなかった方だけです。まずは死なない準備を、ぜひ万全に行ってください。また明日以降、熊本地震のお話をして参りたいと思います。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!