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Voicyそなえるらじお #103『人類史上最悪の原子力事故、チェルノブイリ原発事故』

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #103『人類史上最悪の原子力事故、チェルノブイリ原発事故』

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、4月26日(月)、本日も備えて参りましょう!

チェルノブイリ

本日のテーマは、「原子力事故」です。

  • いまから35年前の今日、1986年4月26日、深夜1時23分、旧ソ連・ウクライナ共和国の原子力発電所、チェルノブイリ原発で、人類史上最悪の原子力事故が発生しました。
  • チェルノブイリ原発事故です

ベース電源となる原子力発電所

  • 当時チェルノブイリ原子力発電所には1号機から4号機まで、4つの原子炉があり、発電を行っていました。
  • 4号機は最も新しい原子炉で、1984年の3月に営業運転を開始し、2年後の1986年4月、点検修理のために始めて原子炉を停止させる作業を行うことになっていました。
  • 原子炉というものは、その性質上、止めたり動かしたり、出力を上げたり下げたりすることが難しい、あるいは非効率なため、基本的に運転を開始したら数年単位で動かし続けることになります。
  • そのため3.11の福島第一原子力発電所事故以前は、原子力発電で作られた電気を、いわゆる「ベース電源」と呼ばれる、常に発電し続ける電気として利用しており、日中の電気需要の増加には、火力発電所や、水力発電所などの電気が追加されるような運用が行われていました。
  • 現在の日本では、ほとんどの原発が運転を止めていますので、大規模な火力発電所が、このベース電源を担っています。

 

炉心融解(メルトダウン)事故の発生

  • さて、チェルノブイリ原発の4号機は、始めての運転停止作業を行っていたのですが、原子炉の停止に際して、いくつかの機器のテストや、各種の試験が行われる予定でした。
  • その試験のひとつに、万が一原発で事故が発生し、外部電源が失われた場合を想定した、緊急炉心冷却装置の動作テストがありました。
  • しかし、原子炉の構造、試験の手順、機器の操作、各所にあった問題点が不幸にも重なり合わさり、原子炉の出力が急上昇、制御不能に陥り、メルトダウン・炉心融解をおこし、大規模な爆発が発生してしまったのです。
  • これが4月26日の深夜1時23分のことでした。
  • この爆発により大規模な火災が発生し、消火に当たった多くの消防士・兵士の方々が、急性の放射線障害などで命を落としています。
  • またこの事故により、高レベルの放射能が、大気中にまき散らされまして、原発周囲が汚染され、現在も人が住まない場所になっています。
  • この放射能を持つ放射性物質は、風に乗って北半球の全域に拡散し、日本でも放射性物質が確認されています。

現在のチェルノブイリ原発

  • チェルノブイリ原発周辺は、現在も封鎖されて人が住めない地域になっています。
  • 一方、事故が発生した4号機は、放射能の拡散を防止するため、通称「石棺」と呼ばれる、コンクリート製の建物ですっぽり覆われました。
  • しかし、その後老朽化が進んだことと、そのままでは炉心の解体作業を行うことができないため、新しい閉じ込め構造が建造され、2016年からは「新・安全閉じ込め構造物」と呼ばれるドーム屋根を持つ建物に、すっぽり覆われています。
  • 今後、数十年から数百年をかけて、この建物の中で、炉心および汚染されている石棺、原子力発電所の建物全てを解体し、最終的には更地にしていく計画と言うことです。
  • ただ、現在の技術では、遠隔操作による解体も、解体された構造物の放射能を除去することもまだできないため、作業完了の目処は全く建っていません。

福島第一原子力発電所事故

  • 原子力事故に関する被害の程度は、
  • 国際原子力機関・IAEAと、経済協力開発機構原子力機関・OECDが策定した、国際原子力事象評価尺度・INES(イネス)と呼ばれるレベルで評価されます。
  • チェルノブイリ原子力発電事故は、程度の低いレベル0から、最悪のレベル7まである評価指標のうち、最悪のレベル7とされており、人類が引き起こした原子力事故の中でも最悪のものと位置づけられています。
  • ちなみに、同じレベル7に括られている事故がもうひとつあり、これがあ3.11東日本大震災で発生した、福島第一原子力発電所事故です。
  • 事故の規模、汚染のレベルなどはチェルノブイリ原子力発電所事故の方が大きいのですが、レベル7に括られる最悪の事故は、チェルノブイリと福島の二つしか存在しません。
  • チェルノブイリの事故の引き金は人為的なもの、福島の事故の引き金は自然災害であるという違いはありますが、私達が直面した、あるいは現在も進行しているこの福島の事故は、人類史上でも最悪クラスの災害であったことを、認識しておく必要があります。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「チェルノブイリ原子力発電所事故」のお話でした。

チェルノブイリ原発、福島第一原発、いずれも事故の処理は終わっていません。それどころか、現在の科学技術では、まだ対応できない課題も多くあり、今後数十年から数百年に渡って、後処理を継続していく可能性が高くあります。

しかし、原子力エネルギーは、化石燃料によらないエネルギー源として重要であることは事実です。事故の発生のみを恐れて、全ての原子力技術を放棄することはできません。事故の教訓を生かし、数百年、数千年先を見据えた、原子力開発は継続をしていく必要があると、私は考えます。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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