Voicyそなえるらじお #115『アメリカの富士山・セントヘレンズ山の大規模噴火』
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、5月18日(火)、本日も備えて参りましょう!
アメリカの富士山
本日のテーマは、「火山の噴火」のお話です。
- 本日5月18日は、ちょうど41年前の本日、
- 1980年5月18日に、アメリカ西部、ワシントン州にある、セントヘレンズ山が大規模な噴火を起こした日です。
- セントヘレンズ山は、標高2,950m、成層火山と呼ばれる綺麗な円錐形をした山で、日本人が見れば、アメリカの富士山と呼びたくなるような、よく似た姿をした綺麗な火山でした。
- 綺麗な火山でした…とわざわざ過去形で申し上げたのには理由があり、
- 1980年の噴火の際に、大規模な山体崩壊という現象が起こり、山の頂上から中腹までが崩れて消滅し、標高が2,550mと、400mも低くなり、
- さらに綺麗な富士山のような形をしていた山体も、山の上半分が無くなってしまったことで、馬蹄型・馬の蹄のような形の山になってしまったためです。
VEI:火山爆発指数
- 火山の噴火の規模は、いくつかの指標で表されますが、よく使われる指標に「VEI:火山爆発指数」というものがあります。
- 1914年の桜島大正噴火はVEI4の大規模噴火、1707年の富士山宝永噴火も、同じVEI4の大規模噴火で、この規模の噴火が人口密集地で発生した場合、甚大な被害が生じることになります。
- 1980年のセントヘレンズ山の噴火は、VEI5で、発生時点では20世紀最大の噴火とされていました。歴史に残る巨大噴火だったのが、セントヘレンズ山の噴火です。
- ちなみに、その後1991年に、フィリピンのピナトゥボ山がVEI6の巨大噴火を発生させ、20世紀最大の噴火という項目はこちらに譲られていますが、
- 火山灰の影響で北半球の太陽光が低下し、その年の平均気温が低下するなどの影響が発生しました。
- VEI6以上の噴火が生じると、地球規模での気候変動が生じる場合があり、火山の噴火がすさまじい自然災害であることをあらためて実感します。
セント・へレンズ山の噴火
- セントヘレンズ山は、1980年の噴火以前から、繰り返し噴火を起こしてきた火山であることが分かっており、噴火の数年前頃にも、近い将来大規模な噴火が生じるかも知れないと指摘されて、噴火ハザードマップなどが作成されていました。
- また噴火の数ヶ月前から、火山の周辺では火山性の地震が増加し、有人の観測地点なども設けられて、詳しい事前観測がなされていました。
- 周辺住民も事前避難が行われるなどしていたのですが、避難が長期化したため、ちょうど噴火を起こした前日と当日、運悪く住民の一時帰宅がおこなわれていました。
- そして5月18日、現地時間の朝8時32分、マグニチュード5.1の地震が山体直下で発生し、これをきっかけに山の北側斜面が大規模な山体崩壊を発生させて、岩屑なだれと呼ばれる大規模な現象が生じました。
- その直後、大規模な噴火が発生し、岩屑雪崩、ブラストと呼ばれる爆風、そして大規模な火砕流が周囲に襲いかかりました。
- 噴火の影響は主に火山の北側に対して発生し、山体崩壊による岩屑なだれと爆風で10キロほどのエリアが跡形も無く吹き飛ばされ、20キロほどのエリアの森林はなぎ倒されるなど、広範囲に被害が広がりました。
- 最終的には、50名以上の方が命を落とし、周囲の野生動物、また鉄道や道路などのインフラの破壊など、大規模な被害がもたらされました。
早く逃げよう
- セントヘレンズ山の噴火は、事前のハザードマップ作成や噴火予知が比較的うまく行ったため、最悪の状態よりは被害を軽減させることに成功しています。
- 日本の場合も、2000年に発生した北海道有珠山の噴火では、事前予知と避難が行われたため、人的な被害はゼロでした。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「セントヘレンズ山・噴火」のお話でした。
- 予知ができない大地震とことなり、火山の噴火については、事前予知ができる場合があり、適切な避難により人的被害を減らすことができます。
- 最寄りに火山があり、あるひ突然噴火の避難が呼びかけられた際に、迅速に従えるよう、何を持って逃げるかなど、決めておけるとよいでしょう。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!