おはようございます！備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、5月26日（水）、本日も備えて参りましょう！

貞観時代は大変だ

本日のテーマは、「複合災害」のお話です。

• 昨日 #120 の放送では「アフリカ中部、コンゴ民主共和国にある「ニーラゴンゴ山」が大規模な噴火」のお話をいたしましたが、溶岩流の影響が大きかった噴火として、864年（貞観8年）に発生した、富士山貞観大噴火のお話を少しいたしました。
• ところで、本日5月26日は、いまから1152年前の今日、869年の5月26日、旧暦で貞観11年の7月9日に、三陸沖を震源とするマグニチュード8.3から8.7程度と想定される巨大地震、「貞観三陸地震」が発生した日です。
• この時代は平安時代の前期に当たりますが、この頃は大規模な自然災害が集中的に発生した時代でした。

悪夢のような貞観時代

• まず、864年の7月には富士山貞観噴火が発生し、大量の溶岩流が噴出する被害が発生。
• 同じ年の11月には九州・阿蘇山が噴火
• 3年後の867には現在の大分県にある鶴見岳が噴火
• 1年後の868年には現在の兵庫県周辺を震源とする、マグニチュード7程度とみられる播磨国地震（はりまのくにじしん）が発生
• 1年後の869年にマグニチュード8クラスの巨大地震、貞観三陸地震が発生
• 2年後の871年には現在の山形・秋田県境に位置する鳥海山が噴火
• 3年後の874年には現在の鹿児島にある開聞岳（かいもんだけ）が大噴火
• 4年後の878年には相模トラフによる海溝型地震とみられる、相模・武蔵地震がが発生
• 9年後の887年には南海トラフ巨大地震とみられる、マグニチュード8クラスの仁和（にんな）地震が発生
• さらに28年後の915年には、現在の青森・秋田県境に位置する十和田火山が、火山爆発指数・VEI5という極めて巨大な噴火を起こし、東方地方全域に火山灰が降り積もるなど甚大な被害が生じました。
• この貞観以降、9世紀の後半は、大規模な地震・噴火などが相次ぐ時代であり、当時の日本国内に大きな影響をもたらしました。
• そして毎度のことながら、千年前の災害記録が鮮明に残っている日本という国は、大変な条件を抱えながら、素晴らしい歴史を持つ国だなと実感いたします。

ところで富士山貞観噴火

• ところで、昨日の放送で簡単に触れた、864年の富士山貞観噴火、
• 現在進行系の災害、コンゴ民主共和国ニーラゴンゴ山の噴火と同じ、溶岩流による影響が大きかった噴火ですが、どのようなものだったのでしょうか。
• 貞観噴火が発生した平安時代は、300年ほどの期間で富士山が10回程度噴火する、活動期に当たる時期でした。
• その中で最大規模だった噴火が、864年の貞観噴火です。
• この噴火では、山頂ではなく、山頂から北西に10キロほど離れた地点、現在の山梨県側で生じた大規模な割れ目噴火でした。
• 膨大な量の溶岩が噴出し、富士山麓北西地域を広く埋め尽くした他、
• 当時この地域には、「せのうみ」と呼ばれる巨大な湖がありましたが、これを溶岩が埋めました。この時に埋め残った湖の残骸が、現在の富士五湖、西湖と精進湖です。
• そして、溶岩流に埋め尽くされた広大なエリアに、1,000年の時を経て復活した広い森林地帯が、現在の青木ヶ原樹海です。
• ちなみに、青木ヶ原樹海に関する都市伝説として、方位磁石・コンパスが狂うというものがありますが、これは溶岩流に含まれる磁鉄鉱の影響で、多少磁石が影響をうけるための俗称です。実際には、多少のズレは生じますが、コンパスがくるくる回るようなことはありません。

本日も、ご安全に！

ということで、本日は「富士山貞観噴火とこの時代の大規模災害」のお話でした。

現代の日本でも、1995年の阪神・淡路大震災以降、地震・台風・噴火などの災害が連続しております。しかしこれは日本の特性上珍しい状況では無く、過去にも幾度となく生じた現象です。災害は起こるかどうかではなく、いつ来るか、という意識での防災対策が重要です。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に！