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Voicyそなえるらじお #123『大地震で住民の6割が死亡し消滅した都市・ネフチェゴルスク』

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #123『大地震で住民の6割が死亡し消滅した都市・ネフチェゴルスク』

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、5月28日(金)、本日も備えて参りましょう!

カワウソはかわいい

本日のテーマも、「大地震」のお話です。

  • 本題の前に雑談ですが、一昨日5月26日…と申しますか、毎年、5月の最終水曜日は、「世界カワウソの日」に指定されています。
  • 世界のカワウソの現状や保全について考えることを目的に、国際カワウソ生存基金が制定しました。
  • 日本の水族館などでよく見かけるカワウソは、東南アジア原産のコツメカワウソですが、かつての日本には、ニホンカワウソという在来種がいました。
  • しかし乱獲や開発の影響で生息数が減少し、1979年を最後に目撃例が無くなり、2012年に絶滅種に指定されています。
  • 日本の国内では見ることができなくなってしまったニホンカワウソですが、
  • このニホンカワウソが生きのびている…地域があります。それがサハリン・樺太島です。今日の本題は、このサハリンの話です。

ネフチェゴルスク地震

  • 本日5月28日は、いまから26年前に、サハリン北部で「ネフチェゴルスク地震」または「平成7年サハリン北部地震」が発生した日です。
  • 1995年(平成7年)5月28日の深夜1時3分、日本時間では5月27日の22時3分、ロシア、サハリン北部の都市、ネフチェゴルスク付近を震源とする、マグニチュード7.6の大地震が発生しました。
  • この地震による想定震度は、日本の震度階級では5強から6弱程度と、それなりにつよいが、大震災とまでは行かない程度の地震に分類されるのですが、現地では甚大な被害が発生し、壊滅状態となったネフチェゴルスクは再建されず、放棄されることになりました。

崩壊したアパート

  • ネフチェゴルスクは、油田開発が行われていた都市で、当時は約3,500人が居住する地域でした。
  • 住民の多くは石油関連産業に従事していた訳ですが、産業のために作られた都市でしたので、多くの住民はアパート・集合住宅に居住していました。
  • ネフチェゴルスクには、主要な建物が40建っていましたが、この地震の影響で、全体の半分、20棟が崩壊するか大破し、11棟が中破し、被害を免れた建物は9棟のみでした。
  • そして、崩壊した20棟の建物の大部分、17棟は5階建てのアパートというかマンションのような建物だったのですが、これが地震でバラバラに崩壊し、瓦礫の山と化し、居住者の大部分が死亡するという大惨事となりました。
  • ネフチェゴルスクの人口3,500人中、この大地震で2000名以上が犠牲となったのですが、そのほとんど全員が、この17棟の崩壊したアパートに暮らす方々だったそうです。
  • 地震発生が深夜1時で、ほとんどの方はアパート内にいたことが被害を大きくした要素のひとつでしたが、
  • 崩壊したアパートは、耐震性がほとんど考慮されていない建物であり、
  • コンクリート製の建物でしたが、鉄骨は無く、鉄筋も細く、溶接も雑で、地震に見回ればひとたまりも無いことが、明らかだったそうです。

重要な建物対策

  • 昨日お話をした、2006年のジャワ島中部地震でも、地震の大きさの割に甚大な被害が生じたことをお話しましたが、これは建物の耐震性がほとんど考慮されてなかったことが原因のひとつでした。
  • また本日のお話、1995年のネフチェゴルスク地震でも、震度5強から6弱程度の揺れで、住民の半数以上が死亡する大惨事を招いたのは、建物の地震対策が皆無であったことが主要な原因です。
  • 1995年と言えば、阪神・淡路大震災で日本も大きな被害を受けた都市ですが、この地震でも建物倒壊により大きな被害が発生しました。
  • 日本の場合、建物の地震に対する強さは、建築基準法の耐震基準で定められます。耐震基準は、1981年6月1日に大きく改正されているため、阪神・淡路大震災で倒壊した建物も、その多くは旧耐震基準の建物でした。
  • 日本の建物が地震に強くなったのは、繰り返し大地震で被害を受けるなかで、徐々に建築基準法の耐震基準を改正し、改正し、少しずつ建物を頑丈にしてきたからです。
  • 自然現象としての大地震を避けることはできませんが、ゆれても全然大丈夫、という状況にすることは技術で可能です。
  • 水や食べ物をしっかり準備しても、建物が倒壊して死んでしまえば、意味がありません。
  • 死ななかった後の準備は、死なない対策ができてから行うべきであり、地震で死なない対策として最重要なことが、建物の耐震化なのです。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「1995年・サハリン・ネフチェゴルスク地震」のお話でした。

北海道から沖縄まで、いつでもどこにでも最大規模の地震が生じる国日本、自然現象としての大地震を避けることはできませんが、揺れについては、しっかりとした対策を講じることで、被害をなくすことができます。

やれば確実に効果の出る防災対策、引越をする際の建物選びは、ぜひ慎重に行ってくださいませ。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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