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Voicyそなえるらじお #124『大地震による土砂災害で消滅した街・ペルーのユンガイ』

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #124『大地震による土砂災害で消滅した街・ペルーのユンガイ』

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、5月31日(月)、本日も備えて参りましょう!

アルパカぱかぱか

本日のテーマは、「大地震による土砂災害」のお話です。

ペルー・アンカシュ地震

  • 本日5月31日は、いまから51年前に、南米・ペルー北部で「アンカシュ地震」が発生した日です。
  • 1970年5月31日、現地時間で昼過ぎの15時23分、ペルー北部のアンカシュ州の沖合の海底で、マグニチュード7.7の大地震が発生しました。
  • この大地震による死亡者は全体で67,000人と発表されていますが、
  • 震源に近かった、アンカシュ州の州都ワラスでは、建物の9割が崩壊し、ここだけで30,000人が犠牲になられたということです。
  • さらに特筆すべきは土砂災害の被害です。

土砂に埋められて消滅したユンガイの街

  • アンカシュ地震の被災地には、ペルー最高峰の山標高6,655mの「ワスカラン山」がありますが、この山の一部が地震の揺れにより大規模な地すべりを起こしました。
  • 崩れた岩壁は周囲の氷河と共に崩落し、堆積約一億立方メートルという巨大な岩屑なだれに成長し、平均時速300kmを超えるスピードで山麓に崩れ落ちました。
  • そして、この大規模な岩屑なだれの一部が、流れ落ちる谷底から230mもある尾根を乗り越えて周囲に広がり、人口約2.5万人の街、ユンガイを5mから10mの厚さに埋め尽くしました。
  • その結果、ほとんど避難するまもなくユンガイの街は土砂の下に埋められ、土砂災害の被害地域にいたほとんど全員に登る、1万5千名にものぼる方々がほとんど即死する甚大な被害となりました。

ある物理学者の避難体験談

  • たまたま、1人の物理学者がユンガイの街を車で通りかかっていましたが、この得の体験談が残されています。
  • まず大地震の状況としては、「突然震動を感じて車を降りて、周りを見たら家や橋が壊れていた」とのコメント。
  • そして土石流については、「揺れが収まってから30秒後、ワスカラン山から轟音が聞こえてきたので(山の方を)見上げると、山頂から岩と氷が砕かれて雲が立ち上っているのが見えた
  • 即座に200mほど離れた、墓地がある丘に走ってかけだしたが、約45秒後、岩屑雪崩がユンガイの街と、谷を隔てる尾根の上に達しており、その高さは80mはあった
  • 丘の頂上に走ってたどり着いたとき、岩屑雪崩が丘に襲いかかり、強風・轟音・震動を感じた。自分より数m後ろにいた人は泥流に飲み込まれてしまった
  • と、まさに危機一髪で難を逃れた体験談が残されており、この物理学者の象限から岩屑なだれの規模・速度などが求められ、貴重なデータとして残されております。

現在のユンガイ

  • 現在、土砂に埋められてしまったユンガイの街は、復興されずに地図から無くなっています。代わりに、この地域一帯が国立墓地に定められ、慰霊の場とされる一方、元の街から2kmほど離れた場所に、新しいユンガイの街が建設されて現在に到っております。
  • なおペルーでは、本日5月31にを、「天災教育と反省の日」と定めて、この災害の教訓を後世に残すようにしています。
  • 日本では関東大震災が生じた9月1日が防災の日になっていますが、同じような位置づけの記念日ということですね。

土砂災害は突然に

  • 大地震は、しばしば大規模な土砂災害をもたらします。
  • 日本の場合で新しいのは、2018年に発生した北海道胆振東部地震による大規模な土砂災害や、2016年の熊本地震による土砂災害、また2008年の岩手・宮城内陸地震でも、土砂災害による大きな被害が発生しました。
  • 日本は山が多い国で、土砂災害も非常に多い国です。
  • 昨年2020年末の時点で、国内の土石流警戒区域が20万箇所、崖崩れの危険区域は42万箇所、地すべりの危険箇所も1万3千箇所、合計64万箇所が土砂災害警戒区域に指定されています。
  • これらの危険箇所は、全て「土砂災害ハザードマップ」に掲載されていますので、誰でも無料で、重ねるハザードマップなどのホームページから危険な場所を把握することができます。
  • 土砂災害は、発生してからの避難では間に合いません。
  • 自宅や職場が、土砂災害警戒区域にある場合は、大地震発生後、速やかに安全な場所へ移動することが重要です。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「1970年・アンカシュ地震」のお話でした。

土砂災害は大地震だけではなく、当然大雨によってももたらされます。大雨の警戒がされる場合は、洪水や浸水だけでなく、発生してからの避難が間に合わない、土砂災害からの事前避難も重要です。必ずハザードマップで、影響範囲と避難先を確認するようにしてください。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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