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Voicyそなえるらじお #107『難しい竜巻への備えと発生時の避難行動」』

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #107『難しい竜巻への備えと発生時の避難行動」』

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、5月6日(木)、本日も備えて参りましょう!

竜巻に備える

本日のテーマは、「竜巻への備え」です。

  • ゴールデンウィークの5月初日、5月1日の夕方に、静岡県牧之原市で竜巻とみられる突風が発生し数名の負傷者の発生、数十棟の建物破壊、電柱の倒壊による停電などの被害が発生しました。
  • 連休中と言うこともあり詳細な報道発表はこれからですが、住宅などの被害は狭い地域のおける直線上のエリアに集中しているということで、恐らくは竜巻の発生だと想定されています。

つくば竜巻

  • また、本日は、9年前の2012年5月6日に、茨城県周辺で大規模な竜巻災害が発生した日です。
  • この日の正午前後、茨城県や栃木県などで、合計4つの竜巻が発生して、それぞれ、幅数百メートル、長さ十数キロの広い範囲に対して、大きな被害をもたらしました。
  • とりわけ、茨城県つくば市周辺での竜巻が大変強いものとなり、とくに大きな被害が発生しています。

藤田スケール

  • 竜巻はその特性上、正確な風速を図ることが困難です。竜巻の中に突入して風速計を突っ込むということが現実的に無理だからですね。
  • そのため、被害の状況から風速を推定する方法がとられており、これは藤田スケールと呼ばれる指標で表されます。
  • 藤田スケールは、1971年にアメリカ・シカゴ大学の藤田哲也博士が考案した、竜巻やダウンバーストなどの突風により発生した被害の状況から、風速を大まかに推定する方法です。
  • F0からF5までの6段階があり、日本ではF4までの竜巻が観測されています。2012年のつくば市での竜巻被害は、藤田スケールのF3に達する竜巻が発生したと推定されています。
  • 藤田スケールのF3とは、平均風速が70~92m/sに達する猛烈な風で、住宅が倒壊し、物置小屋などがバラバラになって飛散、電車は転倒、自動車も持ち上げられて飛ばされ、森林の大木でも転倒するか引き抜かれるという、想像を絶する強さの竜巻です。
  • これが「普通の住宅街を」襲った結果、基礎を残して全てバラバラに吹き飛ばされた住宅被害が生じたり、逆に基礎ごとひっくり返された住宅が生じたり、屋根瓦や屋根そのものが吹き飛ばされる住宅は多数発生、窓ガラスは粉々に砕け、自動車や自転車が空を舞い、電柱は根元から折れるなど、ミサイル攻撃を受けたような被害が発生しました。
  • またこの竜巻被害では中学生1名が犠牲となるなどの被害も発生しております。ご冥福をお祈りいたします。

竜巻への備え

  • ひとたび発生すると局地的に大きな被害をもたらす竜巻ですが、備え方としてはなかなか難しい物があります。
  • 竜巻は、他の気象災害と異なり、事前の予測やピンポイントでの警報の発表を出すことが難しい現象です。
  • すぐ近くで竜巻を察知した場合も、竜巻は幅数百メートルにわたって被害をもたらしながら移動するため、避難が手遅れになりやすいという特性もあります。
  • 特に屋外にいる際、生身で巻きこまれた場合はまず助かりませんので、できるだけ屋内の安全な場所に留まり、あとは運を天に任せるしかないと言えます。
  • まず、竜巻は基本的に発達した積乱雲から発生します。
  • そのため、真っ黒な雲が近づいて来たり、雷の音が聞こえてきたり、急に冷たい風が吹き込んできたり、またゲリラ豪雨が生じたり、といった状況では、竜巻がいつ発生してもおかしくない状況となります。
  • また竜巻に関する気象警報としては、「竜巻注意報」の発表がありますので、こうした情報が出た際にも警戒が必要です。
  • これら、竜巻が発生しやすい状況になっている場合は、できるだけ安全な屋内にとどまるようにします。と言っても、基本的には自宅や職場の建物に入ることになります。

竜巻事前対策

  • 事前対策としては、頑丈な家を建てて、雨戸やシャッターを取り付けるといった建物自体への対策に加えて、さらに窓ガラスを、割れない合わせガラスにするか、飛散防止フィルムを貼り付けるといった、台風への暴風対策と同じことをすることが有効とされています。
  • 究極の竜巻対策としては、竜巻の本場であるアメリカのように、地下室などに避難場所を作って置くことがありますが、一般の住宅ではなかなか難しいところがありそうです。
  • そして、自宅のすぐ近くまで竜巻が迫っている場合は、戸建てであれば自宅の一階で、できるだけ建物の中心にある窓のない部屋、またはトイレなど窓が小さく物がすくない空間に逃げ込み、布団などをかぶって、小さく縮こまるなどの行動を取ります。
  • お風呂場にお湯を張っていなければ、浴槽の中に入って布団をかぶって縮こまるなども考えられます。
  • マンションなどに住んでいる場合、戸建てと異なり建物毎吹き飛ばされる可能性は小さいですが、窓ガラスが砕けて室内がめちゃくちゃになる可能性はありますので、できるだけ建物中央にある窓のない部屋に逃げ込む、という対応が必要です。
  • なお、物置、プレハブ小屋、車庫、自動車などは、確実に吹き飛ばされますので、わずかな時間でもあればコンクリート製の建物に逃げ込む、もうどうにもならなければ、建物脇にうずくまったり、道路の側溝などに伏せるなど、とにかく姿勢を低くするしかできることはありません。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「竜巻」のお話でした。

強力な竜巻に襲われた場合、確実な避難方法は地下に逃げるしかないため、そうした避難場所がなければ、あとは運頼みとなります。ただ、竜巻に気づいてから巻きこまれるまでの時間的猶予はあまりないため、竜巻発生時にどこに逃げ込むか、ということを考えておくとよいでしょう。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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