Voicyそなえるらじお #134『2008年6月14日 岩手・宮城内陸地震による土砂災害被害』
最終更新日:
執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、6月14日(月)、本日も備えて参りましょう!
岩手・宮城内陸地震
本日のテーマは「大地震による土砂災害」です。
岩手・宮城内陸地震
- 本日6月14日は、13年前に「岩手・宮城内陸地震」が発生した日です。
- 2008年(平成20年)6月14日、朝午前8時43分頃、岩手県の南部でマグニチュード7.2の大地震が発生しました。
- この地震の最大震度は、岩手県奥州市と宮城県栗原市で観測された震度6強で、この揺れにより、死者13名・行方不明者10名・負傷者451名の人的な被害が発生しています。亡くなられた23名の犠牲者の方々の、ご冥福をお祈りいたします。
- また住宅への被害は、全壊33棟・半壊138棟・一部損壊は2,181棟となっています。
- これらの被害ですが、マグニチュードが同程度の、1995年、阪神・淡路大震災や、岩手・宮城内陸地震の4年前に発生したマグニチュード6.8の新潟県中越地震などと比べると、特に建物に対する被害が小さくなっていることが特徴です。
被害の規模が小さかった揺れ方
- マグニチュード7.2の直下型地震、それも最大震度6強を観測するような大地震は、いわゆる旧耐震の住宅などに大きな被害をもたらします。
- この、岩手・宮城内陸地震も、建物被害はもう1桁2桁大きなものであってもおかしくありませんでした。
- 地震の揺れによる被害は、単純にマグニチュードや震度の大きさだけでは決まりません。大地震それぞれに、揺れ方に特徴があり、木造住宅を壊しやすい揺れをもたらす地震であったり、ビルを揺らしやすい揺れであったり、様々です。
- 岩手・宮城内陸地震の揺れは、幸いなことに木造住宅を破壊しづらい揺れかたをしたため、類似の直下型の地震と比べて、建物被害がかなり小さく済み、結果、死亡者の人数も、地震の規模や震源の位置から想定されるものより小さな被害となりました。
土砂災害の被害
- 一方、岩手・宮城内陸地震では、土砂災害による被害が大きかったことが特徴となっています。
- 大地震による被害は、何が原因となるかが地震によって大きく変わります。3.11東日本大震災であれば、津波による被害が。阪神・淡路大震災であれば、家屋の倒壊による被害が。関東大震災であれば、火災による被害がクローズアップされますが、「土砂災害」による被害が大きかった災害としてよく事例に挙げられるのが、この、正式名称「平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震」です。
- この地震では、崖崩れや地すべりなどが3,500以上の箇所で発生したと報告させています。
- またこれらの土砂が河川や谷をふさぐことで生じる、河道閉塞による天然ダムの発生も多数発生しました。天然ダムは放置すると大規模な崩壊を起こして、下流に甚大な土石流被害をもたらすため、水の流れを作る緊急工事が行われるなど、二次災害を防止する対応が多く行われました。
土砂災害大国
- 日本は山が多い国で、土砂災害も多く想定されています。
- 2020年時点の指定箇所は…
- 崖崩れの恐れがある場所が全国で41万8千箇所、
- 土石流の恐れがある箇所が全国で20万2千箇所、
- 地すべりの恐れがある箇所が全国で1万3千箇所、
- 合計すると63万3千箇所もの場所が、土砂災害警戒区域に指定されています。
- こうした危険箇所は、大地震だけで無く、もちろん大雨によっても土砂災害をもたらす可能性があります。ハザードマップに乗っていない場所が崩れる可能性ももちろんありますが、逆にハザードマップに掲載されている危険については、まさか崩れることなど無いだろう、などとは思わず、災害が生じる前提で事前の準備、避難の計画などを立てるなどは行って下さい。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「2008年、岩手・宮城内陸地震」のお話でした。
土砂災害は、発生してからの避難が間に合わない災害です。少なくともハザードマップで土砂災害警戒区域に指定されている場所に建物などがある場合は、大雨であれば被害が生じるまえに避難を済ませる。大地震であれば、揺れが収まった後に避難場所へ移動する、そうした対応が重要になります。
旅行などで山間のホテルや旅館に宿泊する際も、ぜひ現地で重ねるハザードマップなどをスマホで開いて、土砂災害警戒区域に入っていないか、などをチェックしておくだけでも、避難時の行動を定めることができますので、ぜひ確認して見て下さい。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!