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Voicyそなえるらじお #137『線状降水帯の発生を知らせる新しい気象情報開始!』

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #137『線状降水帯の発生を知らせる新しい気象情報開始!』

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、6月17日(木)、本日も備えて参りましょう!

嘉祥の祝

本日のテーマは「線状降水帯」のお話です。

  • 本日2021年6月17日より、気象庁から発表される情報に「顕著な大雨に関する情報」、というものが追加されます。
  • この「顕著な大雨に関する情報」は、「線状降水帯」と呼ばれる現象の発生を知らせるものです。
  • 「線状降水帯」とは、大雨を降らせる積乱雲が、ほぼ同じ場所で数時間停滞することにより、局地的な大雨を降らせるもので、災害の危険度が急激に高まる状況をもたらします。
  • この、線状降水帯の発生を知らせるものが、本日より運用開始となる、「顕著な大雨に関する情報」なのです。

近年相次ぐ線状降水帯による被害

  • 近年、この線状降水帯による水害が多発しています。
  • 例えば昨年、令和2年7月豪雨、通称熊本豪雨をもたらした大雨でも、九州で多数の線状降水帯が発生しました。
  • また2018年、平成30年7月豪雨、通称西日本豪雨でも、九州から東海の広い範囲で線状降水帯が発生し、局地的に大雨をもたらしました。
  • 2017年、平成29年7月九州北部豪雨でも、各地で線状降水帯が掲載され、大きな被害をもたらしています。
  • さらに2015年の平成27年9月関東・東北豪雨、鬼怒川などで大規模な洪水が生じた水害でも、台風から吹き込む湿った風が線状降水帯を生じさせ、大きな被害をもたらしています。
  • そして、2014年の平成26年8月豪雨、広島などで大規模な土砂災害をもたらした水害も、やはり線状降水帯により大雨が生じています。
  • 近年発生する大雨による水害、台風以外の水害の多くで、線状降水帯が発生し、甚大な被害をもたらしています。
  • こうした状況を受け、災害発生前に、線状降水帯の発生を知らせる情報が、「顕著な大雨に関する情報」です。

予測では無く速報

  • ところで、この線状降水帯を知らせる情報ですが、これは「予報」ではなく「発生」を伝える情報です。
  • 線状降水帯の発生を予測することは現状まだ困難であるため、今回の情報は、あくまでも線状降水帯が確認された場合に、それを広く伝えることで、手遅れになる前の避難を呼びかけることを目的としています。
  • 今後、線状降水帯発生の予測ができるようになれば、予報という形の情報に進化することが期待されますが、現在の科学においては、発生を確認したことを素早く伝えることが限界であり、今回の情報となりました。
  • ただ、これでも有益な情報には違いありませんので、今後の気象情報などで、「顕著な大雨に関する情報」が発表され、「線状降水帯」による激しい雨が同じ場所で降り続いています、などの報道がされた場合は、避難などを実施する段階であると捉える必要があります。
  • これは、大地震で言うところの、緊急地震速報に近いイメージかなと思っています。自宅や職場が洪水ハザードマップなどで危険な場所にある場合は、線状降水帯の発生というキーワードを見聞きした際に、素早く命を守る行動をとるということが重要です。

その他の情報

  • 今回追加された「顕著な大雨に関する情報」は、線状降水帯の発生を伝えるものですが、これと似たような情報は、すでにいくつか存在します。
  • 例えば、「記録的短時間大雨情報」というものがあります。
  • これは、数年に一度程度しか発生しないような、短時間の大雨を確認した際に気象庁から発表されるもので、そのまま雨が続くと、土砂災害・浸水害・洪水などにつながる恐れがあることを伝えるキーワードです。
  • 顕著な大雨に関する情報・線状降水帯の発生は、自然現象を伝えるものであり、その結果大雨となれば、記録的短時間大雨情報が続報として発表されるということはありますので、どちらかではなく、両方の情報に関心を持つことが重要です。
  • また、広い範囲での被害が想定される場合は、大雨特別警報などが発表されますし、
  • 総合的に地域の危険度が高まっている場合は、自治体から避難指示などが発表されることになります。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「線状降水帯」のお話でした。

さて、本日は色々な用語が登場しましたので、正直なところ、全てを記憶して、上手く使い分けるということは、難しいと思います。大雨に関する情報が多すぎてよく分からないと言うことであれば、とにかく、住んでいる自治体から発表される、警戒レベル3・高齢者等避難、そして警戒レベル4・避難指示、これに従って行動するようにしてください。

そして、避難指示が発表されている状況で、顕著な大雨に関する情報、線状降水帯の発生、記録的短時間大雨情報、などの言葉が出てくる場合は、今回はいよいよマズいぞと、そうした判断をするための材料にしていただくのがよいかと思います。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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