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Voicyそなえるらじお #138『直近100年、大地震が生じていなかった山形と大阪』

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #138『直近100年、大地震が生じていなかった山形と大阪』

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、6月18日(金)、本日も備えて参りましょう!

100年ぶりの大地震はひさしぶりではない

本日のテーマは「大地震」のお話です。

  • 本日6月18日は、2つの大きな地震が発生した日です。
  • ひとつは2年前、2019年(令和元年)6月18日の、深夜22時22分に発生した、マグニチュード6.7、最大震度6強を観測した山形県沖の地震です。
  • もうひとつは3年前、2018年(平成30年)6月18日の、早朝7時58分に発生したマグニチュード6.1、最大震度6弱を観測した、通称大阪府北部地震です。

地震が少ない山形

  • 山形県は、直近100年に限れば、大きな地震があまり生じていない地域です。
  • 気象庁震度データベースには、1919年以降に発生した全ての地震が記録されていますが、これを使って山形県周辺の大地震を検索しますと、
  • 陸地で発生したマグニチュード6以上の大地震は、1944年8月18日に生じた、マグニチュード6.4・最大震度3を観測した地震ひとつだけです。
  • また日本海の山形沖で発生した地震は、1964年6月16日に発生したマグニチュード6.1、最大震度3を観測した地震と、
  • 冒頭でご紹介した、2019年6月18日に発生した、マグニチュード6.7、最大震度6強を観測した地震の2つです。
  • 3.11、東日本大震災でも、山形県で観測された最大震度は5強であり、山形県は、過去100年間で、震度6弱以上の強い揺れを観測したことがない地域でした。
  • そこに発生したのが、最大震度6弱を観測した大地震ということで、多くの山形県民の方が驚かれたのではないかと思います。

ただ、地震が無い訳ではないよ

  • ただ、これは山形県が地震の生じない、安全な場所であるということを示すものではありません
  • 大地震の発生頻度は、千年・万年という単位で考えるべきものですので、たかが100年程度大きな揺れに見舞われなかったからと言っても、地球レベルでみれば一瞬の静寂に過ぎません。
  • 実際、1894年(明治27年)の10月22日には、マグニチュード7の通称・庄内地震が発生しており、当時の震度階級で最も強い揺れを観測したとの記録が残されています。
  • この地震では、とりわけ山形県酒田市を中心に大きな被害が発生し、死者726名、家屋の全壊は3,858棟という大惨事をもたらしています。
  • また1833年(天保4年)の12月7日にも日本海の山形沖でマグニチュード7以上とみられる大きな地震が発生し、現在の山形県に該当する地域で死者44名の被害という記録が残されています。
  • また1983年(昭和58年)5月26日に発生した日本海中部地震では、揺れの大きさこそ山形県内では震度4でしたが、酒田港では82cmの津波を観測しています。
  • 日本の場合は、北海道から沖縄まで、大地震が生じない場所はありません。100年程度静かな期間が続くことはあり得ますが、それは永遠ではなく、明日100年ぶりの大地震が発生してもおかしくない、そうした考えでの準備が重要です。 

大阪府北部の地震

  • 6月18日に発生した大地震、もうひとつは2018年の大阪府北部の地震です。
  • この地震では、高槻市の小学校のブロック塀が倒壊し、登校途中の小学生が死亡するといった事態も生じて大きな問題となりましたが、全体では死者6名、重軽傷者462名、また家屋の被害も6万棟以上に登っています。
  • この地震で亡くなられた方の、ご冥福をお祈りします。
  • 実は大阪府も、記録の上では1919年以降、震度6弱以上の大地震に見舞われたことがない地域です。
  • 大阪府内、および大阪湾で発生したマグニチュード6以上の大地震、直近100年では1つだけであり、それが1995年の阪神・淡路大震災です。ただ、大阪府内の最大震度は4であり、2018年の大阪府北部の地震が、ここ100年では唯一大阪を直撃した大地震ということになります。
  • しかし、大阪は日本でも有数の大都市であり、人口密集地帯であり、地震に弱い木造住宅も数多く存在する地域です。
  • そのため、大阪府内で大きな地震は確かに生じていないのですが、周辺で発生する大地震により、度々大阪府内でも被害が生じています

もちろん大阪にも地震はあります

  • 阪神淡路大震災でも、大阪府内で31名の死者が生じている他、
  • 1952年7月18日に奈良県で発生したマグニチュード6.7の地震では大阪でも2名の死者が、
  • 1946年12月21日の昭和南海地震は、マグニチュードが8と、南海トラフ地震の割には小さな規模であったため、大阪湾の津波被害は限定的でしたが、それでも大阪府内で32名の死者が発生しています。
  • さらに過去の南海トラフ地震、1854年に生じた安政の南海トラフ地震や、1707年に生じた宝永の南海トラフ地震では、大阪湾にも数メートルの津波が襲来し、大阪府の沿岸では甚大な被害が発生しています。
  • また大阪府の場合は、大阪平野を南北に縦断する上町(うえまち)断層が走っており、ここで直下型の地震が発生した場合、大阪中心部を直撃する甚大な被害が生じることが想定されています。
  • そしてこの、上町断層帯での地震、今後30年間での発生確率は2~3%と、小さく見えますが、これはかなり高い値なのです。
  • 大阪も、直近100年ではたまたま大きな地震が少ない地域となっていましたが、これは偶然であり、明日、大地震に見舞われてもおかしくはないのです。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「大地震」のお話でした。

今日は山形県と大阪府を取り上げましたが、このように、直近100年レベルでは大地震に見舞われていない地域、日本にも多く存在します。

ただ、これはあくまでも偶然であり、大地震は来るか来ないかでは無く、いつ来るか、で考えて、対策を講じることが、世界有数の地震大国、日本の宿命と言えます。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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