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Voicyそなえるらじお #144『強震・火災・水害の複合災害、震度7を作った福井地震』

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #144『強震・火災・水害の複合災害、震度7を作った福井地震』

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、6月28日(月)、本日も備えて参りましょう!

巨大複合災害、福井地震

本日のテーマは「大地震」です。

  • 本日6月28日は、福井地震が発生した日です。
  • 73年前の本日、1948年(昭和23年)6月28日、夕方の16時13分、福井県で最大震度6、マグニチュード7.1の大地震が発生しました、福井地震の発生です。
  • ちなみに余談ですが、終戦間もない1948年当時は、GHQの指示で日本にサマータイムが導入されていましたので、福井地震が発生した夕方16時13分は、当時の時計では17時13分という記録になります。

福井地震

  • 福井地震が発生したのは、福井市の北側約10キロ辺りの場所、現在の福井県坂井市付近、福井平野のど真ん中での大地震でした。
  • マグニチュード7.1とかなりの大きさの地震でしたが、震源の深さもゼロキロと、ほぼ地上で発生したため、極めて強い揺れが周囲に襲いかかり、甚大な被害を生じさせました
  • 震源が浅いということは、狭い範囲に強烈な揺れが襲うことになります。
  • 現在の行政区分で言えば、福井市、永平寺町(えいへいじちょう)、坂井市、あわら市などが特に大きな被害を受け、
  • これらの地域はほとんど壊滅状態となり、全体で3,769名の死亡者が発生しております。これは戦後の地震被害で言うと、2011年の東日本大震災、1995年の阪神・淡路大震災に次ぐ、3番目の被害規模ということになります。福井地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。

震度7「相当」の強い揺れ

  • 福井地震で特に大きな被害をもたらした要因は3つあります。強い揺れ、火災、そして水害です。
  • まず揺れについては冒頭の通り、マグニチュード7.1という大きな地震が、ほぼ地上近くで発生したため、南北15キロほどの地域が極めて強い揺れに襲われました。
  • 1948年当時は戦後復興のただ中にある時代であり、空襲でほぼ全焼している福井市街地などはまだ簡易な住宅再建が始まったばかりで、そこを大地震が襲ったため、地区によっては建物の全壊率がほぼ100%に達したエリアもありました。
  • 当時の福井市には1万5千500棟の住宅がありましたが、そのうち80%にあたる、1万2千棟以上が全壊するなど、とんでもない状況になったということです。
  • この福井地震で観測された最大震度は「6」です。これだけの被害が生じる地震であれば、震度「7」となっても良さそうですが、当時の震度階級には単純に震度6までの数字しか無かったため、福井地震の最大震度は6となりました。
  • そのため、この被害を受けて法律が改正され、翌年1949年、震度階級に「7」が追加されました。ちなみに、福井地震の後、新設された震度「7」の揺れを初めて観測したのが、1995年の阪神・淡路大震災です。
  • 震度「7」という数字が、どれほど強烈な被害をもたらす物であるのか、という象徴になっています。
  • また、福井地震の3年後、1950年に制定された建築基準法の耐震基準にも、この福井地震による建物被害の教訓が生かされているということです。

地震火災

  • 福井地震の被害を大きくしたもうひとつの要因は、地震火災です。
  • 阪神・淡路大震災や、関東大震災などの地震でも、火災による大きな被害が発生していますが、福井地震においても、大規模な火災が発生しました。
  • 地震の発生とほぼ同時に、福井市内だけでも24箇所から出火し、倒壊した建物を含め2,400戸あまりが焼失したということです。
  • この状況、強い揺れで多くの建物が倒壊し、大規模な火災が被害を拡大させるという状況は、阪神・淡路大震災と全く同じ状況です。ある意味では、福井地震による貴重な教訓が生かされておらず、忘れられた震災となってしまっていた訳で、これは大きな反省点と言えます。

地震による水害

  • そして最後は水害のお話です。
  • 福井地震は地上の浅い場所で発生したたため、津波は発生しませんでした。
  • しかし、地震の強い揺れにより、福井市内を流れる九頭竜川や足羽川(あすわがわ)などの堤防が、場所により1m~5mも沈下し、各地で亀裂が生じたり、場所によっては崩壊するなどの影響が生じました。
  • そして地震発生から約1ヶ月後の、7月23日から25日かけて、福井地方を集中豪雨が襲い、仮復旧中の堤防などが決壊し、福井平野の広い範囲が水没、福井市街地も冠水、
  • 当時の福井市の面積の6割が浸水し、総戸数の4割が罹災したということです。
  • 福井地震により、福井市の住宅8割が大破、翌月の大雨で4割が浸水被害、地震と大雨による複合災害となったのが、福井地震の大きな特徴です。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「福井地震」のお話でした。

  • 近い将来の発生が想定されている首都直下地震でも、やはり建物倒壊や大規模な地震火災による甚大な被害が想定されていますが、これは、福井地震や阪神・淡路大震災で実際に生じた事実です。
  • 想定外ではなく想定内の被害です。
  • 自宅が新しい建物であれば、地震の揺れで倒壊する可能性は低くできます。しかし、周囲に古い木造住宅が多い地域に住んでいる場合は、大地震直後に避難がままならなくなり、そして火災にのまれて命を落とす可能性があります。
  • 本当にそこに住んでいてよいのか、住み続ける場合、地震火災からの避難計画は万全か、ぜひお考えいただきたいと思います。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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