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Voicyそなえるらじお #146『かつて首都圏を焼き尽くした噴火、箱根山の恐ろしさ』

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #146『かつて首都圏を焼き尽くした噴火、箱根山の恐ろしさ』

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、6月30日(水)、本日も備えて参りましょう!

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本日のテーマは「火山の噴火」です。

  • 本日6月30日は、神奈川県にある箱根山が噴火を起こした日です。
  • いまから6年前の本日、2015年6月30日に、神奈川県と静岡県の県境にある箱根山が小規模な噴火を起こしました。
  • 箱根山は活火山ですが、大涌谷と呼ばれる地域では常時水蒸気と硫黄の噴気が噴出し続けています。ここは観光名所として整備されていて、地熱を利用して作られたゆで卵、黒たまごが名物でした。
  • そういう意味では、鹿児島の桜島と同じく、常に噴火が続いている地域だったのですが、水蒸気が噴出する以外に大きな噴火は生じていませんでした。

箱根山の噴火

  • その箱根山で、2015年の4月末頃から、火山性の地震が増加しはじめました。さらに5月に入ると、大涌谷周辺で水蒸気が激しく噴き出す様子などが観測されました。
  • GWの観光シーズンを直撃する異変に、地元の宿泊施設や飲食店などが大きな影響を受ける様子などが、当時報道されていました。
  • さらに、5月6日になると、噴火警戒レベルが平時の1から「2」へ引き上げられ、大涌谷周辺への立ち入りが規制されるようになりました。
  • 約2ヶ月後、6月29日になると、5分間という長時間に渡る「火山性微動」が箱根山の観測史上初めて発生し、大涌谷周辺で火山性の降下物が確認されました。
  • そして2015年6月30日、大涌谷周辺で火山灰などの堆積が確認され、小規模な噴火が発生したと判断され、噴火警戒レベルも2から3に引き上げられました。
  • これが、6年前の箱根山の噴火です。
  • その後、噴火は徐々に沈静化へ向い、噴火から約2ヶ月後の9月11日には噴火警戒レベルが3から2に、さらに2ヶ月後に11月20日には、噴火警戒レベルが2から1に下げられ、2015年の箱根山の噴火は終了しました。
  • 普段おとなしく噴火をしていた箱根山が、あわや大噴火かという姿を見せたことで、改めて火山の恐ろしさを周辺に知らしめた出来事でした。
  • ちなみに、当チャンネル、そなえるらじおの放送をしております、静岡県三島市は、箱根山の西側山麓に位置しますので、大規模な噴火が生じた場合には大きな影響を受ける地域です。私も、かなり、ビックリしました。

箱根山の巨大噴火

  • 2015年の箱根山噴火は、幸いにして小規模なもので終わりましたが、過去にはしばしば大規模な噴火を生じさせています。
  • その中でも大規模だった噴火が、およそ6万年前に発生した巨大噴火です。
  • この噴火で想定されている規模、火山爆発指数VEIは6、これは、桜島と大隅半島を陸続きにする程の溶岩を噴出させた1914年の桜島大正噴火のVEI4や、首都圏全域に火山灰を降らせた1707年の富士山宝永噴火のVEI5を超えるレベルの巨大噴火です。
  • 先日 #129 の放送で、20世紀最悪の噴火、北半球の平均気温を下げて、日本には平成の米騒動被害をもたらしたとされる、フィリピン・ピナトゥボ山噴火についてお話をしましたが、この噴火のレベルがVEI6で、6万年前の箱根山の巨大噴火と同じレベルになります。

東京軽石層

  • この時の噴火は、箱根山の噴火の中でも最大級のものと考えられています。
  • まず大規模な火砕流が発生し、箱根火山の周囲、半径50キロの地域は大きな影響を受けました。現在で言うところの、静岡県東部地域と、神奈川県湘南エリアは、瞬間的に焼き尽くされて、埋め尽くされ、消滅したと想定されます。
  • さらに、この噴火では大量の軽石や火山灰などの噴出物が噴き出し、西風に乗って首都圏の広い地域、神奈川県の全域と、東京・埼玉・茨城・千葉の広い地域に降り注ぎました。
  • 現在の東京23区や多摩地区にも、10cmを超える火山灰が降り積もったと想定されています。
  • 直近では、富士山の噴火により、首都圏の広い地域に火山灰が降り積もる可能性が指摘されて大きな脅威となっていますが、火山灰はわずか数センチの厚みであっても、現代の都市機能をマヒさせるような影響をもたらす恐れがあります。
  • これが首都圏の広い地域に、数センチどころではなく、数十センチ降り積もるような噴火が、6万年前の箱根山巨大噴火でした。
  • 考えたくもありませんが、現在同じような噴火が発生した場合、まず火砕流の影響を受ける地域、静岡県東部から神奈川県横浜市に到る数百万人は、避難をするまもなく噴火から数十分~数時間で消滅します。この場合、私ももれなく消えて無くなります。
  • さらに軽石や火山灰の影響を受けて、首都圏全域が数時間から数日で身動きが取れなくなり、電気・水道・道路・鉄道を含む全てのライフランが完全に停止します。この影響で、1千万人以上の犠牲者が生じてもおかしくない被害が生じる可能性があります。
  • こうした巨大噴火は、もう打ち止めになったわけではありません。箱根山は現在も活火山であり、地下にはマグマが蓄積され続けています。今後、同じような噴火が生じる可能性もあるという訳です。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「2015年の箱根山噴火」のお話でした。

正直なところ、現在6万年前に生じた、箱根山の巨大噴火と同じような噴火が発生した場合、これを有効に防ぐ手段はありません。恐らく首都圏は地図から消えて無くなります。ただし、これだけ大規模な噴火が不意打ちで突然生じるとも考えづらく、何かしらの警告が出される可能性が高いです。

これは以前の放送でもお話しましたが、火山の巨大噴火については、大規模な噴火の警告が出た段階で、それを信じ、認識し、遠方への避難をするしか身を守る方法がありません。そうした可能性もあるのだ、ということをぜひ知っておいてください。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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