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Voicyそなえるらじお #154『災害の教訓がかえって被害を拡大する!津波・走って・逃げる!』

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #154『災害の教訓がかえって被害を拡大する!津波・走って・逃げる!』

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、7月12日(月)、本日も備えて参りましょう!

奥尻島地震

本日は、3.11東日本大震災が発生するまで、大津波の事例として多く参考にされていた、地震発生から数分で襲来した夜間の大津波「北海道南西沖地震」通称「奥尻島地震」のお話をいたします。

  • 本日7月12日は、28年前に北海道南西沖地震が発生した日です。
  • 1993年(平成5年)7月12日の夜22時17分、札幌から西に180kmほど進んだ日本海で、マグニチュード7.8の巨大地震が発生しました。
  • 特に、震源の南、約70kmに位置していた北海道奥尻島では大津波や火災で甚大な被害が発生したことから、通称「奥尻島地震」とも呼ばれています。

奥尻島の被害

  • この地震、最大震度は6と推定されていますが、当時の奥尻島には地震計が設置されていなかったため、震度が推定となっています。
  • 地震の規模を示すマグニチュードは7.8、これは日本海側で発生した地震としては、記録に残る限り最大級のものですが、海で発生した地震であるため、大きな津波を生じさせました。
  • 地震が発生したのは夜22時17分、奥尻島にも強い揺れが襲いかかりましたが、この地震からわずか3分後、22時20分頃には津波の第一波が奥尻島に到達しました。
  • 日本海沿岸に津波警報が出されたのは22時22分、すでに津波の第一波が襲いかかった後のことでした。
  • 津波は日本海沿岸の各地に到達しましたが、とりわけ奥尻島の被害が甚大で、震源に近い側の海岸には、軒並み10mを超える津波が到達、最大では30mの高さまで津波が到達しています。
  • この津波だけでも建物・人命に対する甚大な被害が発生しておりますが、さらにこの地震では、津波火災という被害も生じています。
  • 地震発生後にいくつかの建物から出火し、これが運悪く吹いていた10mを超える強風に煽られて瞬く間に周囲へ広がり、津波により流されたプロパンのガスボンベや、灯油タンクなどに延焼することで手のつけられない状態となりました。
  • また地震のゆれで大規模な土砂災害も発生し、ホテルが飲み込まれて多くの犠牲者が出るなどの被害も生じています。
  • 地震の揺れ、津波、火災、土砂災害と、狭い範囲にあらゆる二次災害が集中したことで、全体では死者202名・行方不明者29名・重軽傷者321名の被害が発生しています。
  • 奥尻島の人口が少ないため、一見小さな被害に見えますが、地震発生の5分後に10m近い津波に襲われた青苗地区では、住民の3人1名にあたる70名の死者・行方不明者を出すなど、壊滅的な被害が発生しました。

南海トラフ地震に向けて

  • この奥尻島地震による津波の教訓は、いま私達が肝に銘じておかなければならない教訓と言えます。
  • 1993年の奥尻島地震、このちょうど10年前、1983年5月26日、秋田県沖でマグニチュード7.7の巨大地震、「日本海中部地震」が発生しました。
  • この地震でも津波が発生し、奥尻島にも津波が到達していましたので、この時の記憶を頼りに、10年後の1993年に奥尻島地震が発生した際にも、多くの方が津波の襲来を予想し、高台へ避難をおこないました。
  • ところが、ひとつだけ異なる点があったのです。それは津波の到達時間です。
  • 日本海中部地震の際には、奥尻島に津波が到達したのは、地震発生の20分から30分後でした。しかし、奥尻島地震では地震の3分後に津波の第一波が到達しています。
  • そのため、奥尻島地震が発生した際にも、津波は来るだろうが10分程度の余裕はありそうだ、ということで、荷物をまとめて避難をしようとした、車で避難しようと自動車を取りに移動した、近所の方々に津波から逃げようと呼びかけた、一旦避難したが自宅に荷物を取りに戻った、といった行動を取り、しかし想像以上に早い津波にのまれて命を落とす、そのようなケースも報告されています。
  • 3.11、東日本大震災でも甚大な津波被害が発生しました。
  • この時、津波の第一波が到達したのは最短で地震発生の30分後でした。
  • しかし、近い将来の発生が想定されている、南海トラフ巨大地震では、震源に近い静岡・和歌山・高知といった地域では、地震発生の数分後に、津波の第一波が到達する想定が出されています。

教訓で死なないために

  • これはまさに、奥尻島地震から学ぶべき教訓です。
  • 奥尻島地震の10年前の地震では、揺れから30分後に津波が到達。
  • この教訓を得て、10年後の地震に襲われた方は、30分後に津波が来ると考えて行動し、数分後の津波にのまれて命を落とす。
  • 2011年の東日本大震災では、揺れから30分後に津波が到達。
  • この教訓得ている方が、南海トラフ巨大地震に巻きこまれた際、30分の猶予があると思って行動を開始すると、数分後に到達した津波で命を落とす。そうした被害が再現される可能性があるのです。
  • 海岸付近にいるとき、また津波ハザードマップで浸水想定区域にいるとき、地震の揺れを感じたり、津波警報が発令された際には、文字通り走って逃げる、そうした避難のあり方を認識して置く必要があります。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「1993年・北海道奥尻島地震」のお話でございました。

津波避難は、自宅にいるときだけとは限りません。旅行や仕事で海岸付近にいるときにも同じことが言えます。しかも土地勘がない分、どこへ避難をすればよいのか分からないという危険もあります。

海に出かける際には、ハザードマップを確認し、危険があるエリアである場合は、とっさの時の避難場所を確認してから、遊んだり仕事をしたりする。しかもその津波は地震発生の数分後に到達するかもしれない、ということをぜひ知っておいてください。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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