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Voicyそなえるらじお #148『「前回の」首都直下地震、1830年の京都地震と天皇の避難所』

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #148『「前回の」首都直下地震、1830年の京都地震と天皇の避難所』

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、7月2日(金)、本日も備えて参りましょう!

時代により首都直下地震の場所は変わる

本日のテーマは「大地震」です。

  • 本日7月2日は、191年前に「首都直下地震」が発生した日です。
  • といっても東京の話ではなく、京都の中心部を直撃した大地震、京都地震のお話となります。
  • 1830年(文政13年)8月19日、現在の京都市から亀岡市周辺を震源とする、推定マグニチュード6.5の地震が発生しました。
  • この大地震では、京都の中心部でも建物倒壊等を含む大きな被害が発生し、全体の死亡者は1,000名以上と推定されています。
  • 1830年と言えば江戸時代後半ですが、この時代の首都は東京ではなく京都でした。つまり1830年の京都地震は、「首都直下地震」という言い方ができる訳なのです。

京都地震

  • 京都地震はいわゆる内陸型の直下地震で、京都の中心部を直撃した大地震としては最も最近のものになります。
  • 二条城や京都御所などでも大きな被害が発生し、建物の倒壊、石垣や堀の破壊などが多く発生したと記録に残されています。
  • ちなみに京都御所、これは現在で言うところの皇居と同じ役割の施設と言うことになりますが、1830年の京都地震の被害を受けて、「地震殿」という小さな建物が敷地内に建てられました。
  • 地震殿はその名の通り、大地震をはじめとする緊急時に、天皇が避難生活をするために建てられた建物で、6畳間と3畳間とトイレだけが設けられている、小さな建物です。
  • 特別頑丈に作られていると言う訳ではありませんが、シンプルかつ屋根なども軽く作られているため結果として地震にも強い構造になっていて、現在まで200年近く残されています。

過去の京都の地震

  • ところで、京都も大きな地震が少ないイメージがありますが、実際の所はどうなのでしょうか。
  • 気象庁震度DBで1919年以降の地震被害を見てみますと、京都府で震度6弱以上の大地震が観測された例は、過去100年で1回、1927年(昭和2年)3月7日に発生した北丹後地震(きたたんごじしん)が該当します。
  • 推定されるマグニチュードは7.3、最大震度は京都府宮津市と兵庫県豊岡市で観測された6で、約3千名の死亡者が発生する甚大な被害をもたらしました。
  • ただ、北丹後地震で観測された京都市中心部の震度は5と中規模で、京都市中心部に限って言えば、直近100年で震度6弱以上の揺れは観測されたことがありません。
  • 2018年の大阪府北部の地震では震度5強、1995年の阪神・淡路大震災では震度5、また前回の南海トラフ地震である1946年の昭和南海地震と、1944年の東南海地震では震度4が観測されています。
  • 1830年の京都地震は、京都の中心市街地を直撃した最も最近の大地震であると言えます。
  • そういう意味では、確かに京都は大地震が少ない地域、というイメージが付きそうです。

将来の京都の地震

  • ただし、これは日本中どの地域でも言えることですが、直近数百年程度大地震が発生していない地域であっても、いつでもどこにでも、大地震の直撃する可能性を秘めているのが日本の特徴です。
  • 京都市中心部にも、いくつもの断層が走っていることが確認されていまして、これら判明している断層による地震や、未知の断層による直下地震が発生する可能性は常にあります。
  • 現在判明している断層の中で、京都中心部に最も大きな被害をもたらす可能性を指摘されているのが、滋賀県から京都にかけて走る「花折断層」による地震です。
  • この断層が大きく活動した場合に想定されるマグにチュートは7.5と極めて大きく、京都市街地のほとんどが震度6弱以上の揺れに見舞われ、かなり広い範囲で震度6強、また場所により震度7の破壊的な揺れが生じると想定されています。
  • この地震が発生した場合、約15万棟の建物が全壊および半壊し、死者は3,300名から5,400名という、まさに京都大震災と呼ぶべき大きな被害が想定されています。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「京都における大地震」のお話でございました。

繰り返しのお話となりますが、直近で大きな地震が発生していない地域は、単に幸運だっただけに過ぎません。日本の場合、自分が住んでいる街への大地震は、来るか来ないか、ではなくいつ来るのか、という前提での準備が重要です。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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