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Voicyそなえるらじお #164『丈夫な建物を!大地震は自然現象だが被害は人災』

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #164『丈夫な建物を!大地震は自然現象だが被害は人災』

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、7月28日(水)、本日も備えて参りましょう!

大地震は自然現象だが、被害は「人災」によるものが多い

本日は、「大地震」のお話です。

本日7月28日は、ふたつの大きな地震が発生した日です。

1889年・明治熊本地震

  • ひとつは「熊本地震」です。
  • といってもこの熊本地震は、今年の4月に5年目を迎えた2016年の熊本地震ではなく、今から132年間、1889年(明治22年)7月28日に発生した、明治熊本地震です。
  • この明治熊本地震は、2016年4月14日と16日に発生した熊本地震と同じ地域で発生した地震で、推定される地震の大きさはマグニチュード6.3、死者21名、200棟以上の建物が全壊したと記録されています。
  • 明治熊本地震は、2016年に発生した熊本地震と、同じような特徴を多く持つ地震でした。発生した時間帯は深夜、23時45分頃と同じ。また地震の後も余震活動が続き、特に6日後の8月3日の深夜2時頃、二度目の大きな地震が発生したと記録が残っています。
  • 2016年の熊本地震が発生するまで、熊本と周辺の地震リスクは比較的低めに見積もられ、地震に対して安全な地域と言われていました。
  • 実際、この明治熊本地震以降120年間ほど、熊本では大きな地震が発生していませんでしたので、地震保険の金額は安く、また地震安全地帯とうたい、企業の工場などを積極的に誘致するなどの活動も行われていました。
  • しかし現実には、その120年前の地震と同じ場所で、同じ特徴を持つ大地震が発生し、大きな被害を出したことになります。100年程度大きな地震が発生していない地域はあちこちにありますが、地震大国日本、100年間地震が来ていないのはたまたまです。
  • いつでもどこにでも、あるいは今この瞬間にも、大地震がやってくるかもしれない、と考えた準備が絶対に必要である、それを改めて思い起こす、1889年の明治熊本地震と、2016年の熊本地震のお話でした。

 1976年・中国 唐山地震

  • 本日発生したもうひとつの大地震は、1976年の中国・唐山地震です。
  • いまから45年前の今日、1976年(昭和51年)7月28日、現地時間で深夜の3時42分、中国・河北省(かほくしょう)・唐山市(とうざんし)付近で、マグニチュード7.8、中国の震度で11・日本の震度階級に直せば6強から7に該当する、極めて強く大きな地震が発生しました。
  • この地震では、震源直上となった唐山市はもちろん、100キロほど離れた天津(あまつ)や200キロほど離れた北京(ぺきん)でも大きな揺れを観測しています。
  • 唐山地震で特筆すべき被害は、建物倒壊率の高さと、これによる甚大な被害の発生です。
  • 唐山地震が発生した1976年当時、唐山市の人口は90万人ほどでしたが、住宅の96%と、住宅以外の工場や産業向けの建物の78%が倒壊、唐山市は文字通り壊滅状態となりました。
  • これは、この地域では長らく大きな地震が発生したことがなく、建物の多くが耐震性のない煉瓦造りの建物であったことが原因と考えられています。
  • この甚大な建物崩壊により、市民の70%にあたる60万人以上がガレキの下敷きとなり、数万人が即死、数十万人が生き埋めとなり、最終的な犠牲者のかずは、中国政府の発表では24万人あまりが死亡、外部の調査では65万人からそれ以上が死亡という、甚大な被害が発生しています。
  • この結果、全世界でも20世紀最大の地震災害となりました。

耐震!耐震!耐震!

  • 唐山地震の被害がここまで大きくなった原因は、とにもかくにも、耐震性が皆無の建物のみで大都市を作ってしまったこと、これにつきます。
  • 大地震という自然現象は、いわば揺れるだけです。
  • そこが海底であれば津波をもたらしますし、崖があれば崖崩れが発生し、そこに人が住んでいれば被害が生じます。
  • しかし平地で大地震が生じた際に、被害が発生するかどうかは、そこに建物があるかどうか、そして建物が地震に対して頑丈か、室内の家具がどのように配置されているかで決まります。
  • 都市部を襲う大地震による被害は、きっかけは大地震という自然現象ですが、被害の発生は人災なのです。人災は防ぐことができます。頑丈な建物に住み、家具や家電を固定すれば、被害は限りなくゼロにすることができます。
  • 建物が無事であれば道路をふさがず、素早く救助車両を展開することができます。
  • 建物が無事であれば、火災が発生しても延焼する速度を低くしたり、火災そのものをくいとどめることができます。
  • 建物が無事であれば、命を守った後に避難所で厳しい生活をする必要はなく、自宅で在宅避難を行うことができます。
  • 建物が無事であれば、都市部の大地震被害は、とても小さなものにできるのです。
  • ちなみに唐山地震の後、2008年には中国の四川省で大地震が発生していますが、この時にも学校などをはじめとする建物が多く倒壊し、大勢の子どもが犠牲となっています。地震の教訓が生かされていない、あるいは教訓を生かすつもりがない、と言うべき被害が生じてしまったことは、大変残念なことです。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「1889年の明治熊本地震と、1976年の唐山地震」に関するお話でした。

建物が無事であれば地震の被害は減らせる、これは過去の数多くの大地震を乗り越えてきたから得られる教訓であり、例えば日本の場合は建築基準法の耐震基準を、より厳しい物に改正することで、少しずつ建物倒壊被害を減らしてきています。

頑丈な建物に住む、基本にして最も効果の高い地震対策、重要でございます。 

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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