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Voicyそなえるらじお #166 海を越えてやってくる巨大津波、太平洋の津波は誰が監視しているの?

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #166 海を越えてやってくる巨大津波、太平洋の津波は誰が監視しているの?

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、7月30日(金)、本日も備えて参りましょう!

M8級の大地震は全世界でも年1回ペース

本日は、「太平洋における津波の観測と警報」のお話です。

  • 昨日、7月29日の15時15分頃、アメリカ、アラスカ半島の西、アリューシャン列島沖で、マグニチュード8.2の巨大地震が発生しました。
  • 余談ですが、直近100年間(1921/7/21~)で、マグニチュード6以上の大地震は、全世界で11493回、平均すれば3日に一度のペースで発生しておりますが、マグニチュード8を超える巨大地震は、全世界でもここ100年で83回しか発生しておりません。
  • 今回のアリューシャン列島沖の地震は、1年に1回あるかどうかの、そうとう大きな地震だったということですね。
  • なお、ここ100年間で83回しか発生していない、マグニチュード8を超える巨大地震のうち、13回は日本の周辺で発生しています。巨大地震の15%が集中する日本列島は、改めて地震大国であると認識できます。

海は広いな大きいな

  • アリューシャン沖の巨大地震、発生から6分後にアラスカ周辺に津波警報が、また発生から10分後には太平洋の広い地域に、津波が発生する可能性の通知が発表されました。
  • その後各種の警報は解除され、幸いにして大きな被害は発生しませんでした。
  • 日本周辺で地震が発生した場合は、気象庁が即座に津波の可能性を調べ、津波の恐れがある場合には2~3分で警報が発表されます。
  • しかし、海は広いな大きいな、巨大地震が発生した場合は、発生した周辺だけでなく、太平洋の反対側まで津波が被害をもたらすことがあります。
  • そのため、太平洋に浮かぶ日本列島の場合も、日本周辺だけでなく、太平洋全域の津波についてウォッチをしなければ、津波の不意打ちを受ける可能性があるということです。
  • 例えば1960年に発生した、南米のチリ地震では、地球史上最大のマグニチュード9.5を観測する超巨大地震でしたので、地震発生から24時間後に日本の太平洋沿岸全域に大きな津波が襲来し、全国で142名の死者が発生する被害が生じています。もちろん地震の震源地周辺が壊滅的な状況となったことは言うまでもありません。
  • また、2011年・3.11東日本大震災をもたらした、東北地方太平洋沖地震もマグニチュード9の超巨大地震でしたが、チリ地震とは反対に、日本側から太平洋に向けて津波が走り出し、ハワイやアメリカ西海岸のカリフォルニア州などで被害をもたらしています。
  • 太平洋のどこかで発生する巨大地震は人ごとではなく、常に監視と津波に関する警報を出す準備をしなければならないのですね。

太平洋の津波観測

  • では、太平洋の津波観測は誰が行っているのでしょうか。
  • 元締めの組織は、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の政府間海洋学委員会の下部組織である、「太平洋津波警戒・減災システムのための政府間調整グループ」、通称「ICG/PTWS」という組織です。
  • ちなみにこの、ICG/PTWS の正式名称は『Intergovernmental Coordination Group for the Pacific Tsunami Warning and Mitigation System』です(テストには出ません、覚えなくてOKです)。
  • この組織名に「Tunami」という言葉が入っている通り、私たちが知る、あの津波は、国際的な言葉として完全に定着して、使われています。
  • そして、このICG/PTWSに協力する組織がいくつかあり、そのひとつが日本の気象庁で、気象庁は北西太平洋の津波を観測し、地震発生時は各国へ津波情報の提供を行っています。
  • 気象庁の津波観測は、日本だけでなく、太平洋の多くの国々の人々の命を守る働きをしているのですね、素晴らしいコトです。
  • また、昨日のアリューシャン沖での巨大地震は、気象庁の担当エリアではなく、アメリカが運用する「太平洋津波警報センター」が観測し、情報を発表しています。ここも、略称はPTWC、正式名はPacific Tsunami Warning Centerと、やはり「Tunami」という言葉が組織名になっているのですね。
  • その他にも、北米を監視する「米国津波警報センター」や、南シナ海を監視する中国の「南シナ海津波情報センター」、そして中米沿岸を監視するニカラグアの「中米津波警報センター」などがあり、太平法全域の地震活動や津波の影響について、目を光らせています。
  • こうした情報を、私達はニュース速報などを通じて即座に受け取れるようになり、遠くはなれた場所の巨大地震による、津波の不意打ちを防げるようになっているのですね。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「太平洋の津波観測」に関するお話でした。

夏です。昨年2020年は日本中の海水浴場がコロナ影響で閉鎖されましたが、今年はいくらか海開きをしている海水浴場が出て来ています。しかし津波は人間には忖度しませんので、海遊びの際にはぜひ、近くでの地震だけでなく、遠くの地震でも津波がくる可能性があるのだ、ということをしっておいてください。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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