Voicyそなえるらじお #153『お前はもう死んでいる…?!土砂災害の「前兆現象」に頼るのは危険!』
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、7月9日(金)、本日も備えて参りましょう!
前兆現象ではなく初期現象
本日のテーマは「土砂災害」です。
- 7月3日に発生した、静岡県熱海市での土石流被害、引き続き現地での捜索が続き、新たな死者の発見が続くなど、徐々に被害の全貌が明らかになりつつあります。
- ところで本日7月9日は、7年前の本日、2014年7月9日に、長野県南木曽町(なぎそまち)で大規模な土石流が発生し、中学生1名が死亡、住宅10棟が全壊するなどの被害が発生した日でもあります。
- 土砂災害…崖崩れ・土石流・地すべりといった災害は、基本的に生じる地形がほとんど決まっています。想定されている災害であるからには、被害を限りなくゼロにするための対策が必要なのですが、この時注意しなければならない情報があります。
- それが、前兆現象です。
土砂災害の「前兆」
例えば、内閣府の防災情報ページには、土砂災害に関する前兆現象として、次の様な注意点がまとめられています。
(1)がけ崩れの前兆現象
- がけにひび割れができる
- 小石がパラパラと落ちてくる
- がけから水が湧き出る
- 湧き水が止まる
- 湧き水が濁る
- 地鳴りがする
(2)地すべりの前兆現象
- 地すべり地面がひび割れたり陥没したりする
- がけや斜面から水が噴き出す
- 井戸や沢の水が濁る
- 地鳴り・山鳴りがする
- 樹木が傾く
- 亀裂や段差が発生する
(3)土石流の前兆現象
- 山鳴りがする
- 急に川の水が濁り、流木が混ざり始める
- 腐った土の匂いがする
- 雨が降り続いているのに川の水位が下がる
- 立木がさける音や石がぶつかり合う音が聞こえる
このような前兆現象に気づいたら、周囲の人にも伝え、すぐに避難をすることが大切です、ということです。これは事実ですが、注意があります。
前兆現象は「前兆」ではなく「初期現象」
- 土砂災害の前兆現象で注意することは2点あります。
- ひとつは、必ずしも前兆現象を伴って災害が生じる訳ではなく、いきなりドカンと崩れることもあるということです。
- 前兆現象に気づいてから避難をすればよい、ではなく、前兆現象なし・気づいたら死んでいるかもしれない、ということを前提に、
- ハザードマップで土砂災害警戒区域に指定されている場所にいる時、避難指示が出た、キキクルで危険度が高まった場合は、早期避難を行って欲しいと思います。
- そしてもうひとつは、土砂災害の前兆現象は、厳密に言えば、すでに土砂災害が起こり始めている、初期現象であると捉える必要があることです。
- なまじ「前兆現象」などの言葉を言われると、ソレを観測してから、土砂災害発生の警戒を促し、避難すべきかどうかを検討すれば良い、などと考えたくありますが、
- 例えば先ほど上げた土石流の前兆現象、「急に川の水が濁り、流木が混ざり始める」、これは、すでに土石流が発生し始めています。
- 運良く、前兆現象のようなものを見かけた場合、もしかすると数秒後にドカンと、土石流の本体が襲ってくることもあり得ます。
- この場合、もう逃げることは手遅れです。
- 土砂災害の前兆現象的なものを感じた場合は、もう自分が土砂災害に巻きこまれつつあると認識し、文字通り走って少しでも高い場所、崖から離れた場所へ逃げるということを、行っていただきたいと思います。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「土砂災害の前兆現象」のお話でございました。
- 引き続き全国で大雨が続いておりますが、今週末にかけて、特に日本海側での大雨が想定されており、警戒が呼びかけられています。
- 週明け来週には、九州南部での梅雨明けの可能性も報道されていますが、その後は台風シーズンとなりますので、毎日の天気予報チェックが欠かせない時期が続きます。大雨情報にはぜひ耳を傾けて下さい。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!