Voicyそなえるらじお #175 大雨で沈む場所に住むのは自分を末代に、子孫をどこへ住まわせたいか
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、8月16日(月)、本日も備えて参りましょう!
氷河期と温暖化、どちらがいいとも言えない
本日は「水害とライフタイル」に関するお話です。
- 先週末から全国の広い地域で大雨が続き、浸水や土砂災害の被害が続いています。そしてこの大雨、今週もしばらくの間降り続くということで、さらなる被害の拡大が懸念されています。
- 大雨が長期間続くと、雨による地盤の緩みなども問題になりますが、大地震が重なる可能性が高くなり、すると大規模な土砂災害を招くことになりかねないため、引き続きの警戒が必要となります。
増える大雨
- 最近、毎年の様に「過去に経験のない大雨」とか、「100年に一度の危険度」とか、そうした言葉をよく聞くようになりました。
- これは、SNSが普及することで、これまで全国ニュースにはならなかった地方の被害に接する機会が増えたり、またテレビそのものも、個人が撮影した災害映像などを活用するようになったりと、居住地以外の「100年に一度」を見聞きすることが増えたことがひとつの要因です。
- また、その一方で、実際に大雨をはじめとする極端な気象現象の数も増えています。
- 気象庁の発表している観測データによれば、
- 例えば全国のアメダスが観測する大雨の回数、
- 「滝のような雨」と表現される1時間に50mmの大雨の年間回数は、直近40年間ほどで1.5倍に増加。
- 「息苦しくなるような圧迫感のある、恐怖を感じるような雨」と表現される、1時間に80mmの大雨の年間回数は、直近40年間ほどで1.9倍に増加しています。
- また短時間の大雨だけでなく、例えば数十年にいちどの大雨レベルである、1日の降水量が200mmを超える大雨の日数も、直近40年ほどで1.7倍に増加。
- 100~200年に一度の大雨レベルとなる、1日の降水量400mmを超える災害級の大雨の回数に到っては、ここ40年ほどで2.7倍に増加しています。
- このように、大雨の回数は体感だけでなく、データ上もはっきりと増加傾向にあることが分かっています。
極端な大雨の増加は温暖化が原因
- 大雨が増加している原因のひとつは地球温暖化現象です。
- 例えば最高気温30度以上となる「夏日」の年間日数は、この100年間で1.2倍に増加。最高気温35度以上になる「猛暑日」については、3.1倍に増加。
- 逆に、最低気温がゼロ℃以下となる「冬日」の年間回数は、ここ100年間で80%の日数に減少しています。
- 夏は暑くなり、冬も暖かくなる、こうした現象も、個人のイメージだけではなく、統計上の数値として表れているのです。
ライフスタイルの転換が必要
- しかし、地球温暖化現象をいますぐ止めることはできません。当面の間は同じような傾向が続く物としてライフスタイルを検討する必要があります。
- ではどうすれば良いのか、長期的には、大雨で沈んだり流されたり崩れたりしない場所に住む、これしかありません。
- 当チャンネル、そなえるらじおでも繰り返しお話していることですが、防災対策の根幹であり最も重要な対策ですので、何度でもお話します。
- 防災の基本は、安全な場所に建っている、大地震でつぶれない家に住むことです。これができれば災害で即死する可能性はほとんどゼロにすることができます。
- ハザードマップを見て、色が付いていない場所に住む、これだけで、大雨による避難指示が出たとしても全て無視することができるようになります。
- 避難指示が出るたびに逃げ続けることはいやだ、毎年の大雨にもう疲れた、これを解決するためには、引越をする以外の根本的な方法はないのです。
先祖代々の土地にしばられるなら、あなたがぜひ末代に
- といっても、いま危険な場所に住んでいる全ての方が、いますぐ引越をするのは現実的ではありません。
- また、親から受け継いだ家だから、先祖代々の土地だから、そうした方々もいらっしゃると思います。
- しかし、そうした個々人の事情には忖度せず、今後も大雨は増加し、水は高い場所から低いところへ流れ続けます。
- 建物をあなたに引き渡した両親も、子孫に土地を残したご先祖さまも、子どもや子孫が災害に苦しむ姿は見たくないと思います。
- 今危険な場所に住んでいる、しかし自分の代での引越は難しい、その場合は、ぜひあなたが、その土地に住む末代となってください。
- あなたの子ども、孫、甥や姪が家探しをする時、引越をするとき、ぜひ伝えてあげてください。
- 安全な場所に建っている、地震で潰れない家に住みなさいと。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「水害とライフスタイル」に関するお話でした。
日本の気象は代わりつつあります。周辺の気候が変化するならば、私たちの生活スタイルも、周辺に合わせて変化させなければなりません。
土地選び・家選びという防災対策は、世代をかけて実行すべきことです。自分にできないから関係無い、ではなく、10年後、100年後の、私たちの子孫をどうしたいのかを考えて行く必要があります。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!