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Voicyそなえるらじお #180 富士山が噴火したらどの方向へ逃げるか?ヒントは物流にあり。

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #180 富士山が噴火したらどの方向へ逃げるか?ヒントは物流にあり。

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、8月24日(火)、本日も備えて参りましょう!

富士山が噴火したら北陸へ

本日は「大規模噴火時の広域避難」に関するお話です。

イタリア・ヴェスヴィオ火山の噴火

  • 本日8月24日は、今から1942年前に、イタリアのヴェスヴィオ火山が巨大噴火を起こした日です。ヴェスヴィオ火山と言われてピンとこない方は多いかもしれませんが、ローマのポンペイを生き埋めにした火山、と言われるとなんとなく理解できるかもしれません。
  • 西暦79年の8月24日のお昼過ぎ、ヴェスヴィオ火山が大規模な噴火を起こしました。噴火の規模は大きく、直後から大量の噴石や火山灰が、麓にあったポンペイの街に降り注ぎました。
  • 当時、ポンペイの人口は2万人ほどと推定されていますが、9割ほどの住民は火山灰の中を避難して街を離れました。
  • 噴火は翌日になっても続き、8月25日の朝、大規模な火砕流がポンペイの街を直撃し、避難をしていなかった2000名ほどの住民全員が、火砕流に飲まれて即死しました。
  • これが、現在遺跡となって発掘されている、ポンペイの街です。

ポンペイ噴火の時期

  • ちなみに余談ですが、ヴェスヴィオ火山の噴火は、8月24日という説と、10月中順という説のふたつがあります。残された文献的には8月の噴火とあったのですが、ポンペイの街から発掘された衣類や農作物などの様子から考察すると、10月頃ではないかと推定されていたためです。
  • ヴェスヴィオ火山の噴火が8月か10月か、長らく8月24日が定説とされてきましたが、2018年の発掘調査で、ポンペイの遺跡から特定の日付を意味するとみられる壁の落書きが新たに発見され、恐らく10月に噴火したのではないかと、最近は見られるようになっています。
  • この日付がそれほど重要かと言えば、重要な可能性があります。
  • 例えば日本でも、富士山が噴火した際の首都圏に与える影響が心配されていますが、火山灰の影響は風向きで決まります。
  • 8月の富士山周辺の風向きは、比較的バラツキがあり、東西南北どの方向へ火山灰が飛ぶか想定がしづらいのですが、秋になると偏西風が強まり、富士山を含む日本列島周辺の風向きは西から東になります。
  • この状態で噴火が生じれば、首都圏も大きな影響を受けるということで、火山の噴火においては風向きが重要、そしてその風向きが季節ごとにかわるのであれば、噴火する季節も重要になるとと言うことなのです。

富士山が噴火したらどの方向へ逃げるか

  • ポンペイを飲み込んだヴェスヴィオ火山の噴火、噴火直後に早期避難した住民は助かりましたが、ギリギリまで街に留まった住民は全滅しました。
  • 大規模噴火の際には、温度数百度のガスや個体が、時速100km以上で襲いかかる火砕流が極めて恐ろしい存在となります。
  • 火山灰をあびても即死はしません、溶岩は走って逃げられます、しかし火砕流は発生したら最後、逃げられず、巻きこまれたら100%死ぬしかないためです。
  • そのため、近隣で火山の噴火が生じた場合は、早めに避難をすることが重要になります。
  • また先ほども少し触れましたが、 1707年に発生した、江戸の富士山宝永噴火と同じような大規模噴火が発生し、大量の火山灰が噴出した場合、首都圏にも大きな影響が生じる恐れがあります。
  • そういえば、SNSやゴシップ界隈で、今年の8月20日富士山が噴火するという予言が流れていましたが、結局何も起きませんでした。ただ、富士山はいつ噴火してもおかしくない火山ですので、警戒は常に必要です。
  • 実際に火山灰が降り始めると、停電が発生します。停電が生じると、鉄道が止まり、自動車も信号などが停止するために大渋滞となります。
  • そのため、首都圏を脱出して避難する計画を立てている場合は、できるだけ早めに行動を開始して、交通網がマヒする前に噴火の影響範囲から離脱しなければなりません。

北陸経由で西日本へ

  • 富士山噴火の影響は、当然ながら富士山に近づくほど大きくなりますので、避難する方向は東北方面です。ただ、富士山が噴火すると、静岡県・山梨県を中心とする、太平洋側の東西の交通網が完全に停止します。
  • 首都圏でライフラインが停止した場合、東北地方だけで首都圏の住民を支えることは難しく、食品や生活物資の供給が足りなくなる恐れがあります。
  • そのため、私が首都圏に住んでいる時に富士山噴火が発生した場合は、東北方面ではなく、交通網が動いている間に長野経由で北陸へ移動し、そこから西日本でしばらく避難生活を送るだろうなと考えております。
  • ただ、私、現在は富士山のお膝元、静岡県三島市の住民ですので、富士山噴火が生じた場合はもろに影響を受ける場所にいます。
  • 噴火の兆候が観測され、警告が出た段階で、早めに名古屋方面へ一時的に引越をすることになるだろうなと考えております。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「大規模噴火時の広域避難」に関するお話でした。

  • 日本は火山大国です。
  • ポンペイを飲み込んだヴェスヴィオ火山の噴火と同じような噴火が生じないとも限りません。頻度は低いですが恐ろしい自然災害、巨大噴火、せめてそうした災害があるのだという事実と、万が一の時にどう逃げるか、くらいは考えておきたいなと思います。
  • ちなみに、東京ディズニーシーには、シンボルとして大きな火山「プロメテウス火山」がありますが、あの火山のモデルは、ヴェスヴィオ火山ということです。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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