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Voicyそなえるらじお #181 データの広域分散、里帰りは思い出の写真を更新す

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #181 データの広域分散、里帰りは思い出の写真を更新す

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、8月25日(水)、本日も備えて参りましょう!

ボイジャーは太陽圏を超えて

本日は「データと思い出の広域避難」に関するお話です。

ボイジャー1号

  • 本日8月25日は、人類史に記念すべき日…のひとつです。
  • 今から9年前、2012年8月25日、アメリカ・NASAの無人宇宙探査機、ボイジャー1号が、人類史で初めて、太陽圏を脱出して恒星間にたどり着いた人工物となりました。
  • ちなみに、ボイジャー1号の姉妹機である、ボイジャー2号も、2018年11月5日に、太陽圏を脱出して恒星間にたどり着いていて、いまのところ、このボイジャー1号・2号が、唯一太陽圏の外にある人工物と言うことになります。
  • ちなみに今、私は「太陽系」ではなく「太陽圏」という言葉を使いましたが、これは少し違う範囲を示す言葉です。
  • 太陽圏、頭がピカッと光る技の太陽拳ではありません…。
  • ボイジャー達が脱出をした「太陽圏」は、太陽から高速で流れ出している宇宙の風、「太陽風」の影響が及んでいる範囲を指します。この範囲内は、太陽由来の物質で満たされているのですが、「太陽圏」の外については、もう太陽の影響が直接及ばない宇宙、恒星間という場所になります。
  • この太陽圏と、その外側の恒星間の境界は「ヘリオポーズ」と呼ばれていますが、ここをボイジャー達が突破したと言うことなのですね。
  • 一方「太陽系」というのは、太陽の重力の影響が生じる範囲と解釈されていまして、太陽風が届く限界であるヘリオポーズよりもさらに外側に広がっています。この空間には、「オールトの雲」と呼ばれる物質が存在して、ここから彗星などがやってくるのでは、と考えられていますが、なにしろまだ誰も到達したことのない場所ですので、詳しいことはまだ分かっていません。
  • ボイジャー1号・2号が、太陽圏ではなく、太陽系を脱出するのには、まだまだ長い時間がかかるということです。

まだ動いているボイジャー

  • ところで、ボイジャー1号・2号が打ち上げられたのは、いずれも1977年と、いまから44年も前になりますが、実はボイジャー達、まだ現役です。
  • 現在ボイジャー達は、地球から200億キロ以上離れた、とんでもない遠方にいますが、搭載されている原子力電池はまだ生きており、なんと、毎日通信も行われていて、現役の観測器として動いているのです。ちょっとすごすぎますね。
  • また、地球を離れていく探査機と言えば、1972年と73年に打ち上げられた、パイオニア10号と11号があります。このパイオニア達は、すでに通信が途絶して運用終了となっていますが、宇宙怪獣などに食べられていなければ、現在も太陽から離れるように移動を続けているはずです。
  • この、パイオニア10号と11号には、人類や太陽系が描かれている金蔵版が取りつけられています。裸の男女がやあ、という感じで描かれている板は、教科書などで見たことがあるかもしれません。
  • 一方、パイオニアの後に打ち上げられたボイジャー達には、レコードが搭載されています。といっても普通のレコード盤では宇宙の旅には耐えられませんので、金メッキされた銅板でできています。
  • このレコードには、地球上の様々な映像を収めた画像、音、人の挨拶や音楽など、様々なデータがアナログ形式で記録されています。何かのアクシデントで地球が消滅した場合は、これら、パイオニア10号・11号の金属板と、ボイジャー1号・2号のゴールデンレコードが、人類の痕跡を示す唯一の存在になるかもしれません。
  • そう考えると、なかなか感慨深い物がありますね。

思い出のデジタル化と分散化

  • 大切なデータは、バックアップを取り、分散して保管する、というのは、防災対策においても重要です。
  • しかし、太陽系の外まで退避させても、それを取りに行くすべがないため、基本的には地球上での分散を行い、地球が爆発するような状況が生じた場合はあきらめるという判断が賢明かと思います。
  • 企業の場合は、これをBCP・事業継続計画と呼ばれる活動の中で行います。人は死んでも代わりがいる、物が壊れても再調達はできる、しかし企業の経営情報については、一度失われると再度調達することが不可能であるため、大切な情報は絶対に失わないようにすることが重要です。
  • もちろんこれは、個人の防災でも有効です。
  • 非常時に紙のアルバムを持って逃げるのは難しいため、写真などはあらかじめデジタル化し、クラウドのアルバムに保存したり、メモリカードなどに収納して別の場所に保管するなどが有効です。
  • また定期的に実家に帰省する、などの機会があれば、その時点での最新の写真データ一式を、バックアップとして実家に置いてくるというのも有効でしょう。写真が見られる形になっていれば、両親・祖父母も喜びますし、自宅が爆発するような状況になっても、前回の里帰りまでに残してきた写真データは残ります。
  • こうしたバックアップがあれば、自宅から避難する場合も、思い出の品はバックアップがあるから、失っても大丈夫ということで、素早く避難を開始できる後押しにもなりますので、オススメの対策です。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「データと思い出の広域避難」に関するお話でした。

  • ちなみボイジャー1号・2号の観測器としての寿命は、あと数年と想定されています。
  • 搭載されている原子力電池の出力が低下すると、観測機器を動かせなくなるためで、2025年前後に観測器としての役割を終えて、以後は宇宙を飛び続けるメッセンジャーとしての終わりないたびが始まると言うことです。
  • ボイジャー1号が太陽から最も近い恒星にたどり着くためには、20万年以上かかるということで、さて、人類が残っているか、ボイジャーに搭載されたゴールデンレコードの中だけの存在になっているか、楽しみなような、不安なような気持ちです。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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