備える.jp
サイトメニュー仕事依頼・お問合せ

Voicyそなえるらじお #168『13秒に1回のペースで地震が生じ続けた松代群発地震』

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #168『13秒に1回のペースで地震が生じ続けた松代群発地震』

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、8月3日(火)、本日も備えて参りましょう!

松代群発地震

本日のテーマは「松代群発地震」です。

地震大国なのですが…

  • 日本は地震が多い国です、というお話は度々しております。
  • 本日は大地震ではなく、小規模な地震のお話となりますが、
  • 1920年1月1日から、一昨日、2021年7月31日までのおよそ100年間に、日本国内で発生した、「震度1以上」を観測するすべての地震、何回くらい発生していると思いますか?
  • 直近100年で発生した地震の数は、なんと21万回以上に登ります。1日辺りにすれば5回、4時間に1回のペースで、日本のどこかが揺れているという計算になります。
  • 100年で21万回ということは、年平均にすれば2千回ほどになるのですが、この地震の回数、時期によって多い少ないはもちろんあります。
  • 例えば昨年2020年に発生した「震度1以上」の地震は、1,714回、2019年の場合は1,564回です。この地震の回数、どこかで大地震が発生すると余震の数が増えるため、年間の総数も増えます。
  • 例えば2016年、熊本地震が発生した年の地震回数は6,587回、多いです。さらに2011年、3.11東日本大震災が発生した年の地震回数は、なんと10,638回、平均の5倍となっています。巨大な地震が生じると、小さな地震の回数も増えると言うことになります。

1965年 松代群発地震

  • いまから56年前の本日、1965年(昭和40年)の8月3日、長野県松城町(まつしろまち)、現在の長野市で、体に感じない程度の小さな地震が3回発生しました。
  • 8月に発生した震度1以上の地震の回数は69回、これでも十分に多い数ですが、翌月9月には200回、10月には1137回と地震の数が増え続け、ピークとなった翌年、1966年(昭和41年)4月には、1ヶ月で体に感じない無感地震が107,003回、震度1以上の地震は12,121回にも登りました。
  • 3.11東日本大震災が発生した2011年、日本全国で生じた地震の回数を上回る地震が、わずか1ヶ月の期間に松代周辺だけで発生したのです。
  • その後も小規模な地震がカタカタカタカタ生じ続ける状況は続き、翌月1996年5月には震度1以上の地震が8,089回、6月には4,372回と、ピークは過ぎたものの平時とは桁外れの数の地震が発生し続けました。
  • この、松代での群発地震は、50年以上が経過した現在も続いており、体に感じる震度1以上の地震の回数こそ、1年に1回あるかどうかになっていますが、体に感じない無感地震は、未だに毎年数百回ペースで発生しています。
  • この一連の地震活動は「松代群発地震」と呼ばれています。

150秒に1回、体に感じる地震が発生。

  • 松代群発地震がピークを迎えたのは、1966年(昭和41年)4月17日でした。この日に発生した震度1以上の体に感じる地震は、なんと1日で585回、体に感じない無感地震を含めると、6,480回の地震を観測しています。
  • 13秒に1回のペースで地震が発生、さらに150秒に1回は揺れを感じる地震がが発生、とんでもない状況です。
  • この一連の群発地震では、あまり大きな地震は発生していません。
  • 最も大きかった地震は、マグニチュード5.4、最大震度5を観測した地震です。震度5以上を観測した地震は、全期間あわせて10回でした。

小さな地震で大地震を解消するのは無理

  • ところで、大地震がくるのは怖いから、小さな地震がたくさん起きて、地震のエネルギーを解放できないものか、という話題が上がることがあります。
  • しかし、これはなかなか難しいのです。
  • 例えば松代群発地震では、一連の地震活動において、体に感じない無感地震が70万回以上、体に感じる震度1以上の地震も6万回以上発生しています。
  • そして、この小さな地震のエネルギーを全て足し合わせると、おおよそマグニチュード6.4相当になります。
  • どうでしょうか、それなりに大きな、いわゆる大地震クラスとなりますが、およそ1年回、毎日毎日100回以上小さな地震が発生し続けて、ようやくちょっと小さな大地震1発分、どちらがよいか、なかなか判断ができません。
  • ちなみに、この松代群発地震の22倍の規模の地震だったのが、1995年の阪神・淡路大震災で、松代群発地震の7,900倍の規模の地震だったのが、東日本大震災となります。
  • 東日本大震災の地震のエネルギーを群発地震で解消しようとしたら、国内7900箇所で、毎日100回の小さな地震を、1年以上発生し続ける必要があります。無理ですね。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「1965年・松代群発地震」のお話でございました。

冒頭で、直近100年間で発生した震度1以上を観測する地震の数は、合計21万回以上というお話をしました。

このうち約6万回は、この松代群発地震だけで発生した地震なのです。これを省いた地震の総数はおよそ15万回、年平均では1,500回程度、これが、日本で生じる地震のおおよその平均値となります。…といっても十分多いですね。日頃の警戒が重要です。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

新着のブログ記事

ブログカテゴリ

ブログアーカイブ

備える.jp 新着記事