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Voicyそなえるらじお #204 台風は停滞すると弱くなる、ポイントは海水面の温度

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #204 台風は停滞すると弱くなる、ポイントは海水面の温度

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、9月29日(水)、本日も備えて参りましょう!

台風16号の進路が大変気になります

本日のテーマは「台風豆知識」です。

  • 大型で猛烈だった台風16号、本州への上陸の可能性はかなり低くなりましたが、現時点でも大きな暴風域を伴っていますので、進路上に当たる伊豆諸島や、近くを通過する関東も暴風や大雨に警戒ということです。

台風の発生する季節と海水温

  • ところで台風は、毎年何個くらい発生しているのでしょうか。気象庁の統計によると、1991年から2020年までの直近30年間では、毎年平均して25個の台風が発生、うち11.7個が日本に接近し、上陸する台風の平均は年間3個ということです。
  • この25個の台風のうち、6割に当たる15個は、7月・8月・9月・10月の4ヶ月間に発生しています。また、記録的な台風の多くは9月10月に集中しており、秋は台風シーズンのピークとなるのですが…
  • 夏に台風が発生して発達するのは分かりますが、9月10月はだいぶ気温も下がり、涼しい日も出て来ます。なぜ涼しくなった秋に台風がたくさん発生し、大きくなり、被害をもたらすのか、それは海水の温度が関係しています。
  • 台風が発生して大きく成長するためには、水蒸気が必要です。水蒸気は温かい海水からもたらされますが、おおよそ26.5度以上の水温があると、台風が発生し、海面付近の水温が高いほど大きく成長することになります。
  • 海水が温められるには、太陽のエネルギーが必要です。北半球の場合、昼の時間が最も長くなるのは6月の夏至です。単純に太陽に照らされる時間だけで言えば、6月の夏至前後、5月から7月辺りがピークになります。
  • しかし、物が温まるのには時間がかかります。
  • 太陽のエネルギーが最大化するのは夏至ですが、まず大気が温められて気温のピークを迎えるのは夏至の1~2ヶ月後、7月から8月になります。
  • また、水は空気よりも暖まりにくい性質があるため、さらに遅く、9月頃に暖かさのピークを迎えます。そのため台風は、海水が一番温かくなる9月前後に発生数や被害が最大化するということになるのです。

ソーラーパネルのピークは5月です

  • ちなみに太陽つながりで余談ですが、屋根の上に設置する太陽光発電システムや、モバイルソーラーパネルも、太陽の光が強いほど発電量が増えます。
  • 太陽の光の強さだけで言えば、夏至の6月が最も発電する季節になりますが、6月は梅雨に当たるため晴れの日が少なく、結果的に発電量は減ります。
  • またソーラーパネルは、温度が高くなると発電量が低下するという性質を持っているため、よく晴れた7月8月の真夏よりも、そこそこ晴れてまだ気温がそれほど高く無い5月辺りの方が、発電量は多くなる傾向にあります。そのためソーラー発電で最も多くの電力が供給される季節は、平均するとそこそこ涼しく、日射も強いい5月なのです。余談でした。

台風の停滞と再発達

  • 現在接近中の台風16号、発生直後は動きが遅く、同じ場所で停滞して動かなくなる時期などもありました。
  • 南の海で台風が停滞すると、温かい海水から供給される水蒸気の影響で、ドンドンドンドン大きくなりそうなイメージもありますが、実際には逆で、台風が同じ場所に停滞すると、次第に勢力が衰えます。
  • まず、台風の影響で強い風が吹くと、海水からの蒸発が盛んになります。これは台風を大きくする働きがあるのですが、水が気体になると気化熱の影響で温度が下がります。そのため海水が蒸発するほど、海面の温度は低下します。
  • さらに、台風の低い気圧の影響で、海面と海中がかき混ぜられる「湧昇(うゆしょう)」と呼ばれる現象が発生し、冷たい海水が海面に上がってくるため、さらに海面の温度が低下します。
  • そのため台風は、その場に留まることで、海面付近の暖かいエネルギーを消費してしまうのです。常に移動して温かい海面から水蒸気を奪う必要がありますが、マグロやサメと同じように、動き続けなければ生きて行けないのが台風なのです。
  • そのため、南の海上で発生した台風が、その場に留まることなく、温かい海面を長距離かつそこそこそのスピードで通過してくると、非常に勢力の強い台風に成長し、そのまま日本列島に直撃をするというパターンになると、大きな被害をもたらすことになります。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「台風豆知識」のお話でした。

台風16号の進路に引き続き警戒しつつ、もうあと1ヶ月ほど続く台風のピーク期間に備えて参りたいところです。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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