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Voicyそなえるらじお #205 すっごい遠くだけが揺れるよ地震…9/29の異常震域について

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #205 すっごい遠くだけが揺れるよ地震…9/29の異常震域について

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、9月30日(木)、本日も備えて参りましょう!

Webセミナーのリハ中に緊急地震速報が来ました

本日のテーマは「大地震における異常震域」です。

  • 昨日9月29日、夕方の17時37分、緊急地震速報と共に異常な地震が発生しました。この地震で静岡・関東・東北までの太平洋沿岸を中心に最大震度3の揺れを観測しましたが、異常な地震だったとして報道されています。
  • 何が異常だったのでしょうか。

異常震域

  • この地震、発生した場所は石川県の能登半島沖、200~300kmも沖合となる、日本海中部です。地震の大きさを示すマグニチュードは6.1、いわゆる大地震に分類されます。
  • 地震発生の直後から、高度利用者向けの緊急地震速報、緊急地震速報(予報)が発表され、私もこれを見ていたのですが、まず日本海のど真ん中でマグニチュード6以上の地震が生じたということで、津波の心配をしました。
  • 一方この地震、普段の緊急地震速報と異なる点がありました。想定される最大震度が不明、また通常示される地域別予想震度も全て不明という表示になっていたのです。
  • おかしな地震だなと思いましたが、震源の深さが400kmと、かなり深い場所での地震だという表示がありましたので、そのためかと合点がいったのです。
  • 基本的に地震は、震源の真上の揺れが一番強くなります。しかし、震源が地面の深い場所になると、地震の揺れが地上に届くまでに距離があるため、かなり広範囲に揺れが伝わるようになりますが、この時、地盤の影響などを受けて揺れの大きさがばらつきます。
  • 今回の地震も、まさにこの、陸地の深い場所で発生し、地盤・プレートの影響を受けることで、地上におかしな揺れ方をもたらす、「異常震域」と呼ばれる現象が生じていたということなのです。
  • 震源は日本海側、しかし日本海側はほとんど揺れを観測せず、本州の太平洋側の広い範囲で震度1から震度3程度の揺れを観測しました。

日本を取り巻くプレート達

  • さて、ご存じの通りと思いますが、日本列島は多くのプレートがぶつかり合う場所にあるため、世界的にも地震の多い地域になっています。そしてこのプレートがぶつかりあう場所は、特徴的に地形になっています。
  • 例えば、東日本が乗っている北米プレートの下には、太平洋プレートが潜り込んでいますが、このプレートがぶつかり合う場所は日本海溝となっています。
  • また、西日本が乗っているユーラシアプレートの下には、フィリピン海プレートが潜り込んでいますが、このプレートがぶつかいあう場所は南海トラフとなっています。
  • いずれも、プレートの潜り込みによりエネルギーが蓄積され、これが開放されると、例えば3.11東日本大震災を生じさせたような大地震が生じたり、また将来の発生が想定されている南海トラフ地震が発生したりします。
  • プレートの境界は、海溝やトラフという地形で、海の底ではありますが目に見える形で存在しています。
  • ではその先はどうなっているのかと言えば、プレートに潜り込んでいる別のプレートは、別に潜り込んだ瞬間にバラバラに破壊されて無くなっているわけではなく、ずっと地球の奥底まで潜り込んでいます。
  • 昨日、日本海中部で発生したM6.1の大地震は、本州・東日本の下に潜り込んでいる太平洋プレートの、深く深く潜り込んだ境界で発生したと考えられています。
  • そして、この地中深く潜り込んだ太平洋プレートの上には、地震の揺れを伝えづらいエリアがあり、日本列島の日本海側はそのエリアの上に乗っています。
  • すると、この大地震の揺れは、震源には近いものの、揺れづらいエリアのある日本海側ではなく、揺れを伝えやすい太平洋プレートをブルブル揺らしながら拡散し、太平洋プレートが地上に出てくる場所、つまり本州の太平洋側に地震の揺れを伝えたのです。
  • このような揺れ方は「異常震域」と呼ばれています。
  • 異常という名前がついていますので、なにか恐ろしい巨大地震の前触れなのかと考えたくなりますが、揺れ方が異常なだけで、こうした地震は割とよく起きていますので、そういう地震もあるのかと、そういうことを認識する程度でOKです。
  • 名前が悪いですね、大深度遠隔地震とか、すっごい遠くだけが揺れるよ地震とか、そうした分かりやすい名前をつけてほしいものです。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「大地震における異常震域」のお話でした。

突発的な大地震はいつでも生じます、それは今かもしれません。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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