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Voicyそなえるらじお #192 カセットガスボンベ、普通タイプとハイパワータイプのは何が違うの?

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #192 カセットガスボンベ、普通タイプとハイパワータイプのは何が違うの?

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、9月9日(木)、本日も備えて参りましょう!

ずっとガスの話をしたかった

本日のテーマは「カセットガスの備蓄」です。

  • 昨日は飲料水の備蓄、一昨日は停電対策のお話をいたしましたが、この備蓄に関するお話の流れ、乗るしかない、このビッグウェーブに、ということで、本日はカセットガスの備蓄のお話をしたいと思います。

カセットガスの中身

  • カセットガスコンロは、災害時に自宅で生活を継続する「在宅避難」において、とても役立つアイテムです。
  • 燃料となるカセットガスとあわせて、ぜひ備蓄を行っていただきたいと思うのですが、皆さんの自宅に、カセットガスコンロとガス、ありますか?
  • ところで、カセットガスの中には、具体的に何が入っているか、ご存じでしょうか。もし手元にカセットガスボンベがあれば、手で持って降ってみていただきたいのですが、空っぽでなければ、チャプチャプと水の音がすると思います。
  • 逆に、降っても何も音がしなければ、そのカセットガスボンベは空っぽだということになります。
  • カセットガスボンベの中には、LPガスが詰められています。
  • LPガスは、英語で言うと、「liquefied petroleum gas」、日本語で言うと「液化石油ガス」ですが、ボンベの中には液体のガスが詰められています。
  • まぁ、ガスという言葉が本来は気体を意味しますので、「液体のガス」という言葉には少々語弊がありますが、もう少し厳密に言うと、
  • 液体のブタンか、イソブタンか、プロパンが詰められているのがカセットガスボンベです。

用途によって異なるガス

  • ブタン、イソブタン、プロパンは、全てLPガスの仲間で、同じような性質を持っています。これが、用途にあわせて、カセットガスボンベに詰められています。
  • この三つのガスは何が違うのか、一番大きな違いは、使える気温です。
  • まず、いわゆる「普通のカセットガスボンベ」に詰められているのは、ブタンです。
  • ブタンは、沸点がマイナス0.5度という性質を持っています。沸点というのは、液体が沸騰する温度ですが、例えば水の沸点は100度ですので、水を沸かして100度になると、ブクブクボコボコと沸騰して、激しく水が気体に変わります。
  • カセットガスボンベの場合も、例えば「普通のカセットガスボンベ」には液体のブタンが詰められていますが、ブタンの沸点はマイナス0.5度ですので、
  • この液体ブタンの温度がマイナス0.5度より高くなると、液体のガスが気体に変わり、これを外に取り出すことで、カセットガスコンロなどで使えることになります。
  • ということは、気温がマイナス0.5度より低い場所では、液体ブタンの温度が沸点であるマイナス0.5度より高くなれないため、液体ブタンが気体にならず、カセットコンロに装着しても、中身が出て来ないということになります。
  • そのため、カセットガスを使う時には、中に詰められているガスの沸点よりも気温が高い場所でなければならない、という決まりというか、構造的な制約があるのです。
  • 厳密に言えば、ガスの沸点プラス10度くらいの温度を下回ると、液体のガスが気体になる速度がゆっくりになるため、カセットガスコンロをつけても、チョロ火程度にしかならなくなります。
  • 普通のカセットガスボンベに詰められているブタンの沸点はマイナス0.5度、だいたい室温が10度以下になると性能が低下し始めて、マイナス0.5度になると完全に使えなくなるということになります。

ハイパワーガス

  • ところで、カセットガスボンベの中には、値段の高いガスがあります。
  • ハイパワーガスとか、寒冷地用ガスとか、ゴールドガスとか、メーカーによって名称は様々ですが、具体的には何が違うのでしょうか。
  • これらハイパワー仕様のボンベには、ブタン以外のガスが詰められています。
  • 具体的には、沸点がマイナス11度のイソブタン、また沸点がマイナス42度のプロパンなどが詰められています。
  • 普通のカセットガスボンベに使われるブタンは、沸点がマイナス0.5度ですので、氷点下では全く使うことができませんが、ハイパワーなボンベに詰められるイソブタンは、沸点がマイナス11度ですので、
  • 気温0度程度の場所であれば、ギリギリ使えることになります。
  • さらに、プロパンについては、沸点がマイナス42度ですので、理屈上はマイナス30度程度の環境まで使うことができますが、プロパンは圧力がかなり高く、普通のカセットガスボンベに詰めるのは危険ですので、カセットガス向けにはほとんど使われません。
  • プロパンは、カセットガスよりも、家庭向けのガスボンベに充填されて使われることが多いガスです。
  • 都市ガスではなく、プロパンガスのエリアにお住まいの場合は、自宅に大きなガスボンベが置いてありますが、あのなかにはプロパンガスが詰められています。
  • 家庭向けのガスボンベは屋外にボンベを置きますので、気温によっては氷点下になります。
  • この時、沸点マイナス0.5度のブタンや、沸点マイナス11度のイソブタンでは、家庭のコンロや給湯器で使えない恐れがあるため、沸点がマイナス42度と低い、プロパンガスが使われるということになります。

都市ガスは

  • ちなみに、ご家庭のガスが都市ガスの場合は、ブタンでもイソブタンでもプロパンでもなく、LNG・メタンが使われています。
  • メタンは沸点がマイナス161度と極めて低く、超低温で保存しなければ液体の状態を維持できず、カセットガスボンベなどに入れて液体のまま持ち運ぶことができません。
  • そのため、メタンは、巨大なタンクで厳密に温度管理されて貯蔵され、使う分だけ液体から気体に戻して、ガス管を通じて都市ガスとして供給されています。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「カセットガスの備蓄」のお話…をしようとおもったのですが、カセットガスボンベの中身で終わってしまいました。

しばらく、シリーズカセットガス備蓄として続けたいと思います。

ちなみに、今回で放送192回目となりますが…

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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